自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

地域ミュージアムで考える(60)

2017-04-20 | 随想

昨日4月19日(水)のこと。前回取り上げたケント紙製及び段ボール製立体地球について強い関心を抱かれた来館者がありました。大阪から来られた小さなお子さん連れのご夫婦で,初めて訪れたとのことでした。そのうちのお母さんが興味津々で聞いて来られたのです。


話の内容は簡単に書くと以下のとおりです。

  •  館内あちこちに置かれた段ボール製地球はどうやって作ったのか。座っても大丈夫か。
  •  ケント紙製地球はとてもおもしろく,よくできている。どうやって作ったのか。
  •  ケント紙製の方(モビール作品)を入手したいのだが,販売されていないのか。

館内の見学でとてもご満足の様子。きっちりおもてなしをしてお帰りいただくことが大事です。とりわけ,目が輝くような感じでいろいろお聞きになる方って,わたしたちスタッフから見れば,ミュージアムの心強い味方です。

いったんは展示しているモビール作品を差し上げようと判断したのですが,完成品を差し上げてもおもしろさをたっぷり味わっていただけないでしょう。それで,余分に置いていた展開図を数枚準備してプレゼントすることに。自宅でご自分で作っていただくことにしたのです。


それで,うちの一枚を使い,作る要領をお伝えすることにしました。実際に作業をしてみるのです。カッター板の上で,展開図に折り線を入れ,のりしろ付きにして切りとりました。できると,その方に実際に折り曲げて立体を作っていただきました。出来上がったとき,お母さんの目がほんとうに輝いて見えました。よかった,よかった。吊り下げ方は口頭で伝えました。終始,興味をもって聞いてくださっていました。

あとで,スタッフから販売に向けて本格的に検討してはどうかと提案があり,いろいろ議論しました。窓口案内で,立体地球は販売していないのかと聞かれることが度々だということで,このままではもったいないというのです。では,どんなかたちで販売し,価格をいくらに設定するのか。完成品を販売するのではおもしろさは半減するでしょう。クラフトというものは自分で手作りして,組み立てるところにほんとうのたのしさが詰まっているはず。

折り目とのりしろを付けて,予め切っておくというのがいちばん手っ取り早いのですが,たくさん準備をするのは労力を考えると今はできない話。とかといって,印刷業者に発注するゆとりはまったくなし。

そんなこんなで,結局,商品として大々的に並べるのではなく,興味深く尋ねて入手を熱望される方があればお渡しできる程度の分を準備しておき,試験販売してはどうかという話にまとまりました。これも魅力あるミュージアムづくりの一環です。

ミュージアムは人がつくり,人が育てる施設です。いのちを注ぎ込むのはあくまで人です。来館者の思いはもちろん,スタッフのそれを大事にしていかなくてはなりません。