へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

顔も見たくないのなら…

2011-06-16 23:24:03 | へちま細太郎

犬猿の仲である藤川先生・桧山先生・のぶちゃん先生の3人は、今日もやってきたご隠居さまのベンツの前でにらみ合っていた。
ご隠居さまはふつうは軽トラで移動するんだけど、今日は当代でありこの学園の理事でもある藤川先生のおとうさんもきていたため、ベンツで来校したというわけ。
でもって、その周りを団部とサッカー部の部員たちが取り囲んでいたのも、ものものしく大げさで険悪なムードを漂わせていた。(仮)嵐軍団さんたちもいた。
そんな中でけんちゃん先生は、ご隠居さまたちと応接室にいた。藤川家において、けんちゃん先生の信頼度がどれだけ大きいかがわかる。
「うちの相続問題になんで赤の他人が首を突っ込むんだ」
「家臣あっての藤川家だ。幕末を乗り切れたのは、われわれ武道派があったればこそだ」
藤川先生と桧山先生の、微妙にずれた会話にぼくたちも黙って聞き耳をたてた。
「バスケ部と団部に首を突っ込んでいるじゃないか」
のぶちゃん先生の嫌味ったらしい声に、藤川先生は年季の入った凄みのある視線を向ける。
「なんだよ、みたくない顔だな」
「ああ?見たくねえんだったら、てめえは失せろ」
う~、元ヤンキーの本領発揮だけど、どこかで聞いたようなセリフを言っていて、めちゃくちゃ笑えるんだけど。
「総理大臣か、おめえは」
桧山先生の応援団仕込みの迫力のある声に、
「ボケとツッコミ」
と、ぼくらのそばにいた匿名希望の東山先生がつぶやいた。
さすが、吉本で育った関西人。違いがわかるんだなあ。
と、もはや学園ドラマではなく時代劇になりつつある、へちま細太郎でした。

コメント
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