皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

笹乃雪

2019-02-18 21:47:10 | いろはにほへと

「水無月や 根岸涼しき 笹乃雪」 正岡子規

台東区根岸2丁目豆富料理笹乃雪。初代玉屋忠兵衛が後西天皇の皇子の御供で江戸に下り、根岸の地にて絹ごし豆腐を作ったのが始まり。豆富を親王に献上したところ、京を懐かしみ「笹の上に積りし雪の如き美しさよ」称されたことから、料理屋の屋号を「笹乃雪」と名付けたという。

9代目当主奥村多吉は料理店に「腐る」という字はふさわしくないとして「豆腐」を「豆富」と記すようにしたという。

正岡子規、夏目漱石など多くの文人歌人も訪れたという。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台東区鶯谷 元三島神社

2019-02-18 20:33:26 | 神社と歴史

東京都台東区鶯谷。山手線鶯谷駅北口を降りて僅かなところに元三島神社は鎮座している。御祭神は大山祇命。

元三島神社縁起によれば、鎌倉幕府御家人、伊予の国の武将河野通有、元寇(弘安の役)に際し、三島水軍を率いて四国の大山祇神社に戦勝祈願し、御神徳、御加護を仰ぎ功成って帰国した折、夢の中に神のお告げを得て大山祇明神武蔵国勧請の発願を成し、時に上野山中にあった河野家の館に御分霊を祀ったことが始まりとされる。

 東京都内山の手区域にあり社地は狭い一方、多くの信仰を集めるためか社殿は石段の上に鎮座している。

大山祇命は伊邪那岐命、伊邪那美命によって生まれた山の神。天照大御神の兄神にあたり、諸国山々の精霊の神とされる。四国伊予の国、愛媛県越智郡大山祇神社は、10世紀後半に藤原氏の海難を救ったことから『日本総鎮守』の号が許されている。御神徳は航海の守護の他五穀豊穣と、山の神として鉱山安全もあるという。殊に三島水軍が活躍した当時戦勝の御礼として源頼朝の他河野家などから甲冑、刀剣等が奉納され、全国の国宝、重要文化財の約八割を所蔵し「国宝の島」と称されるという。

江戸期に入り徳川より社領を拝するが、慶安三年(1650)三代将軍家光の時、社地を金杉村に移転、次いで宝永六年金杉村社地幕府御用地に召されると、浅草に代替え地を賜って遷座する。代々住む氏子から氏神様の遊離は不都合と訴え起こり、金杉、根岸村民により当地にに合祀し元三島神社と称し、今日に至るという。

現在の社殿は昭和51年の建立という。鶯谷駅前の開発の歴史を見るかのように界隈はホテル街となっている。こうした中に凛とした佇まいで立派な社殿が建っているのが異様な感じではあるが、都会の開発の歴史に埋もれることなくこうした御社が信仰厚く祀られていることに感銘を受ける。

手狭な境内地には正岡子規の句碑も建っていた。

「木槿咲きて 絵師の家問ふ 三嶋前」とは神社の奥にあった明治時代の洋画家浅井忠邸を訪ねた際に詠まれたとされる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする