皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

ヤクルト1000人気で思い出す時任三郎

2022-09-12 22:48:35 | 食べることは生きること

ヤクルト1000の人気が続いている。我が家ではヤクルトレディーから宅配でヤクルト400をとっているが何度か1000も買ったことがある。生産が追い付いていないそうで、小売店(SMやCV)では点数制限がかかっており、入荷してもすぐに売り切れていまい、棚がからになっていることが多い。また高齢者の購買頻度が高く、早朝SMでは開店と同時に売り場へ駆けて行く客も多い。(それだけ健康なのだろう)

ヤクルト1000の人気の秘密は乳酸菌シロタ株を約1000億個含み、ストレス緩和と睡眠の質向上をうたっている点だろう。もともとは地域限定商品だったそうで、21年4月以降全国に販売を広げ宅配利用者の口コミがヒットに繋がり、品薄となるほどの人気をはくしている。
これだけ人気が出てしまうと当然他のメーカーも同様の商品を投入して来ており、森永乳業、日清ヨークなどが類似品を投入しているが、まだまだ及ばない。調査会社によるとストレス緩和、睡眠サポートをうたう食品市場は本年度460億円になると予測されている。コロナ禍で行動範囲が狭まり、巣籠もり生活の結果、睡眠に対する質の向上を期待する人が増えたというのは非常に分かりやすい理論である。
掲載している新聞記事も結びで、機能性表示食品はその摂取によって病気が改善するというものではなく、国の認可に基づいて事業者が食品の安全性と機能性を根拠を示して届け出れば表示可能なものであるから、過剰な摂取や依存に気を付けるべきだとしている。

睡眠に対して質の向上を願う人が増えたのはまさしく時代の流れで、むしろコロナ禍による生活の変化は結果論であろう。
実は根本的な需要は超高齢化社会の進行によるものだと思う。高齢者の睡眠に対する悩みは多い(はず)
そうした人々が40年ほどまえに何を飲んでいたか。
リゲインだ。「24時間戦えますか、リゲイン、リゲイン、僕らのリゲイン」
CMキャラクターは若き日の時任三郎。
まさか寝る間を惜しんで働き、遊び、生きてきた人々が、安心して眠るためにヤクルトを求めて早朝のスーパーを駆け回る時代が来るとは思わなかった。
残念ながらこれが今の日本の現状であろう。全否定するつもりはないが、目先の安心のため手軽な食品ですべて片付くほど人の身体は単純ではない。食品はもちろん運動、思想、環境等改善すべき項目は多岐にわたる。
そうしたことに多くの人が気づくことを願っている。
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ビックマックの経済学

2022-09-12 21:47:02 | 物と人の流れ

為替相場が連日騒がしい。1㌦140円を優に超え、行き着く先がいくらか見通しが立たないようだ。1998年以来の140円台だということで四半世紀ぶりの円安水準。1997年に消費税が5%となり当時新卒一年目のサラリーマンだった私は、日々忙しいだけで当時の経済状況をあまり覚えていない。こんなに騒ぎになってはいなかった気がする。ラジオの経済学者の見解によれば1㌦90円から100円が安定水準だというから、要するにいま日本はものを輸入するのに1.5倍の資産を費やしていることになる。デフレで給料が上がらないから2%の物価上昇を目標にしてきたはずなのに、とんだ見当違いな政策だったのだろうか。7月の消費者物価指数(生鮮品を除く)は前年比2.1%だったそうだ。(目標ピタリ)

ところが世界を見渡すと、物価指数の上がり方は日本と比べものにならないくらい上がっているという。その分給与水準も上がっているので、日本だけが取り残されているわけではないとも言っていた。ただし給与水準が20年前と比べ減っているのは日本だけだということで、まさしく「失われた20年」。先進国(もう零れ落ちている)の中ではダントツに給与水準が低いそうだ。
世界の中の価格水準を比較するのに「ビックマック指数」というものがあるらしい。現在日本国内でのビックマックの価格は390円。
アメリカ    710円
スイス     915円
オーストラリア 638円
などこうした価格水準を均衡化するための仕組みが為替相場だというが、現実には購買力評価から乖離してしまってゆがんだ状態だという。
仕組みについてあまり私自身理解できないでいるが、明らかなのは日本の購買力は間違いなく低いということ。(残念ながら)

景気対策としてインバウンドによる爆発的な購買を期待している向きがあるが、反対に日本人が外国に行って自由に(経済的負担なく)旅することは不可能になりつつある。
雇用と給与、社会保障、経済的自由度など国々で違いがあろうが、人々が安心して世界中で取引できる時代ではなくなった。
日本は令和の実質的経済鎖国へとむかいつつあるとラジオの経済学者は結んでいた。
有事は静かに侵攻するとはよく言ったもので、私たちの自由度はすでに浸食されつつあるそうだ。
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