3週間の期間限定だというので、映画「憧れを超えた侍たち〜世界一への記録」を観てきた。
タイトルの通り、先日のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで世界の頂点に立った侍ジャパンの足跡を追い続けたドキュメンタリーで、あの決勝戦をご覧になった方ならご記憶だと思うが、タイトルは大谷翔平が試合前ナインに飛ばした
「憧れるのをやめましょう。僕らは超えるために来たのですから」
という檄をそのまま使っている。
この映画の特徴は、とにかく一般のスポーツ中継やニュースでは扱われないオフショットが豊富で、しかも徹底的に人物をクローズアップしている事だ。例えばホームランを打ったシーンでも、歓喜に沸くベンチや打ちひしがれる投手をアップにするが、打球の行方は追っていない。打球がどこへ飛んだか、それにより何点入ったかは既に視聴者が知っているのでここで追う必要がないのである。
改めて思うのは、今回侍ジャパンが世界一に輝いたのは選手個々の実力もさる事ながら、ナインが前向きなプラス思考であり続けた事だと実感した。特に栗山監督の気遣い、言葉選びの巧みさは秀逸で、失礼ながら栗山監督は選手時代決して華々しい成績を収めたわけではなかったが何故ファイターズの監督を10年も務める事になったのかが分かるような気がする。自分が選手なら、ついて行こうという気にさせてくれるのだ。
また、あの「日本一、いや世界一メンタルを整えるのが上手い男」と私が勝手に呼んでいる大谷翔平でもさすがに緊張はしていたのだな、とわかるのがありがたい。どれだけ立派な実績を収めたとて、彼も人の子なのだ。
とりわけマイアミに行ってからの準決勝・決勝はシビレる試合だったが、特に準決勝はあの佐々木朗希が先制3ランを浴びて降板、苦しい闘いだった。通路にしゃがみ込んで涙を浮かべる朗希、それを慰めに向う中村(ヤクルト)の背中には、グッと来るものがある。
その悔しさがありつつ、失投を帳消しにしてくれた吉田正尚の同点3ランにまた朗希が涙…
感動だけではなく、選手一人ひとりをクローズアップしているためキャラが明確にわかり、感動だけではなくしばしば笑わせてくれる。特に吉井投手コーチ(現・千葉ロッテマリーンズ監督)はさすが箕島高校出身の関西人、随所で笑わせてくれる。
ネタバレになるので控えるが、最後の最後にはあの優勝直後に誰もが疑問に思った事が回収され、劇場は大笑いになるのでお楽しみに(笑)…