<知恵だけでは権力に打ち勝つことはできない。そうした中で筆者が勧める磨き抜くべきものが、「知的サバイバル術」としての「非認知能力」である。
人は大きくわけて二つの「知の力」を持っている。一つは「認知能力」と呼ばれるもので、知識や学力などを定量的に計ることができるものだ。
もう一つが、忍耐力や社交性、自尊心など学力やIQでは測れない内面の力である「非認知能力」だ。
優秀とされるビジネスパーソンほど、これまで学力や専門能力、専門知識を高めることをしてきている。ただ、そうしたせっかく持っている知を、どんな状況でどのように使えば相手がその気になるのか、どうすれば未知の問題に援用できるのかといったことを考え行動に移す力が弱い。これも非認知能力である。
こうした知の力は未知の問題に遭遇したときの対応力、解決能力を高めてくれる。
『キングダム』でいえば、軍師・李牧が味方さえも欺いて取った流動戦術に対し、本能型武将のヒョウ公(ひょうこう)だけが計略を直感で見抜く場面がある。これもある種の「非認知能力」が働いたものといえるかもしれない。すなわち、李牧の洞察力や推論といった「認知能力」を、本能型の武将・ヒョウ公の「非認知能力」が凌駕した、というわけだ。
ヒョウ公のように本能だけで行動する人間は現代ではあまり好ましく思われないことが多いが、決して否定されるべきものではない。むしろ論理にばかり偏り、非認知能力にも通じる「本能」を消し去ったり弱めてしまったりすることは、生き残りの上ではマイナスのほうが大きい。
この力を高めるには「読書」が侮れない。読書によって、自分が経験していないことを追体験することで、作中の情景を心の中で思い描く力や、登場人物を想像することで、「共感力」「想像力」といった、頭で考える認知能力ではなく、自分の心、つまり本能で感じる非認知能力が鍛えられるのだ。
知識で動く「頭でっかち」にならないことはビジネスパーソンが身に付けるべき必須能力といえるだろう。そのためには仕事以外の人間との関わりを持つことも重要になってくる。対人スキルやソーシャルスキルの核になっているのもまた、この非認知能力だからである。国もこれまでが、あまりにも教育において前者を養う教育に偏ってきたため、後者を高めようと、倫理的、社会的能力といった非認知能力の養成を目的とするアクティブラーニング(双方向学習など)を取り入れることなどが2020年度の学習指導要領改訂でも決まっている。
これからの時代は、論理化できる「認知能力」と、論理化できない「非認知能力」の両方を持っている人間が評価され生き残れるのだ。>
□佐藤優/原泰久・原作『武器を磨け 弱者の戦略教科書『キングダム』 』(SB新書、2018)の「第2章 組織を泳ぎ切る」の「知恵の力を過信するな」の「高めるべき「非認知能力」とは」を引用
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【参考】
「【佐藤優】権力は金で買える ~『武器を磨け』~」
「【佐藤優】総合力=知恵×力の二乗 ~『武器を磨け』~」
「【佐藤優】「終わりの絵」を描く ~『武器を磨け』~」
「【佐藤優】生き抜くための目的思考 ~『武器を磨け』~」
「【佐藤優】中期展望を描いた者が生き残る ~『武器を磨け』~」
人は大きくわけて二つの「知の力」を持っている。一つは「認知能力」と呼ばれるもので、知識や学力などを定量的に計ることができるものだ。
もう一つが、忍耐力や社交性、自尊心など学力やIQでは測れない内面の力である「非認知能力」だ。
優秀とされるビジネスパーソンほど、これまで学力や専門能力、専門知識を高めることをしてきている。ただ、そうしたせっかく持っている知を、どんな状況でどのように使えば相手がその気になるのか、どうすれば未知の問題に援用できるのかといったことを考え行動に移す力が弱い。これも非認知能力である。
こうした知の力は未知の問題に遭遇したときの対応力、解決能力を高めてくれる。
『キングダム』でいえば、軍師・李牧が味方さえも欺いて取った流動戦術に対し、本能型武将のヒョウ公(ひょうこう)だけが計略を直感で見抜く場面がある。これもある種の「非認知能力」が働いたものといえるかもしれない。すなわち、李牧の洞察力や推論といった「認知能力」を、本能型の武将・ヒョウ公の「非認知能力」が凌駕した、というわけだ。
ヒョウ公のように本能だけで行動する人間は現代ではあまり好ましく思われないことが多いが、決して否定されるべきものではない。むしろ論理にばかり偏り、非認知能力にも通じる「本能」を消し去ったり弱めてしまったりすることは、生き残りの上ではマイナスのほうが大きい。
この力を高めるには「読書」が侮れない。読書によって、自分が経験していないことを追体験することで、作中の情景を心の中で思い描く力や、登場人物を想像することで、「共感力」「想像力」といった、頭で考える認知能力ではなく、自分の心、つまり本能で感じる非認知能力が鍛えられるのだ。
知識で動く「頭でっかち」にならないことはビジネスパーソンが身に付けるべき必須能力といえるだろう。そのためには仕事以外の人間との関わりを持つことも重要になってくる。対人スキルやソーシャルスキルの核になっているのもまた、この非認知能力だからである。国もこれまでが、あまりにも教育において前者を養う教育に偏ってきたため、後者を高めようと、倫理的、社会的能力といった非認知能力の養成を目的とするアクティブラーニング(双方向学習など)を取り入れることなどが2020年度の学習指導要領改訂でも決まっている。
これからの時代は、論理化できる「認知能力」と、論理化できない「非認知能力」の両方を持っている人間が評価され生き残れるのだ。>
□佐藤優/原泰久・原作『武器を磨け 弱者の戦略教科書『キングダム』 』(SB新書、2018)の「第2章 組織を泳ぎ切る」の「知恵の力を過信するな」の「高めるべき「非認知能力」とは」を引用
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【参考】
「【佐藤優】権力は金で買える ~『武器を磨け』~」
「【佐藤優】総合力=知恵×力の二乗 ~『武器を磨け』~」
「【佐藤優】「終わりの絵」を描く ~『武器を磨け』~」
「【佐藤優】生き抜くための目的思考 ~『武器を磨け』~」
「【佐藤優】中期展望を描いた者が生き残る ~『武器を磨け』~」