語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【ミステリーの雑学】中国式乾杯 ~白酒(パイチュウ)~

2016年12月11日 | ミステリー・SF
 <白酒(パイチュウ)は、中国の穀物を原料とする蒸留酒である。主原料から高梁酒(カオリャンチュウ)ともされている。白酒のアルコール度数は50度以上が当たり前だったが、近年はアルコール濃度を下げた38度の白酒が主流になっている。(中略)
 中国の公式晩餐会で乾杯の酒と呼ばれた、五穀すなわち高梁・トウモロコシ・粳米・糯米・小麦から作られた五粮液(ウーリャンイェー)が最高の白酒といわれていた時代があった。
 (中略)ややとろみを感じる透明の液体が乾杯用に使われる小さいグラス、小酒杯に注がれた。
 黒田はグラスを鼻先に持っていくと香りを味わった。
「いい香り」
 主人が笑顔で黒田の仕草を眺めている。
 黒田はグラスに静かに口をつけ、ほんの少し含んだ。数秒の間味わうと、そのままおもむろにグラスの中身を咽喉(のど)に流し込んだ。その後大きく息を吸って息を止め、ゆっくりと鼻から息を吐いた。
「美味しいなあ」
 そう言うと黒田は主人に向けて杯を逆さにして、飲み干したことを示した。
「お客様は本当にお好きなんですね。でも最近はその仕草をする人は少なくなりましたよ」
「ほお、乾杯の時もやらなくなりましたか」
「そのようです。中国の乾杯が酒の強要と思われるのを避けるためかもしれませんが、白酒が乾杯に使われないようになってきましたね」
 時の流れというものか。>

□濱嘉之『ゴーストマネー』(講談社文庫、2016)
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 【参考】
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