語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】安藤次男「食卓にて、夏の終わりに」

2015年07月01日 | 詩歌
 露を救うための
 籠と
 影を救うための
 一個のパン
 不動のものの周りに
 正確に 輪をちぢめる虫たち
 こころもち 内側へ向け替えられた
 灯のもとで
 予言のように 小粒になる果実たち
 死んだ者たちを蘇らせるために
 殺意なき者たちの殺意が
 かえってリンドウの色を深くする
 と 慌ただしい旅からまだ醒めきらぬ者たち
 の欠伸が
 いっそう その色を深くする 

□安藤次男「食卓にて、夏の終わりに」(駒井哲郎・画『からんどりえ』(ユリイカ、1960))
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 【参考】
【詩歌】安藤次男「夕立」
【詩歌】安藤次男「碑銘」 ~敗戦忌~
【詩歌】安藤次男「年齢について」
【詩歌】安藤次男「鎮魂歌」
【詩歌】安藤次男「球根たち」






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