カルテ番号 も・6(16)
婦人は優しい笑顔で言った。
「もちろんです。
私、社交的でないから他人とほとんど話はしません。
長く引きこもりをしていましたから・・・
友達とかもほとんどいません。
それでも、その先生を紹介するのは2人目ですの。
人を紹介するのは、とても私には荷が重い。
でも、その先生の紹介なら、自信があります」
茂木滋は、基本的に他人を信用しない。
紹介されても、信用しているわけではない。
人でも物でも、期待するほどの事はめったにない、と知っている。
期待はしないが・・・興味はある。
仕事を引退してから、興味が起こったのは初めてかもしれない。
いや、今までの仕事、会社での知り合いの中でも興味はなかった。
会社や自分の利害という土俵で相手を判断していただけだ。
それは、時には研究対象ではあったが、興味ではなかった。
婦人は自分の名前を名乗ってくれた。
そして、その治療院の場所と連絡先を教えてくれた。
茂木滋も、婦人に自分の名前と電話番号を伝えた。
礼儀として、その先生に会ったら経過報告はしておこうと思った。
場所は、少し不便なところにあるようだ。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
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