今朝の空は見上げると、どんよりと曇った冬空、今にも枝から離れそうなモミジの葉が、寒そう
に震えている。
今年ももう十二月、空を見上げながらフッと思い出したことがある。
それは以前映画にもなった「天城心中:天国へ結ぶ恋」のことである。
あのニュースを聞いたのは、1957年のことだから、私がまだ中学生の頃のことだが、何故か鮮
明に覚えている。
多分それ(記憶)は、当事者の女性が、あの映画「ラスト・エンペラー」の、最後の皇帝(旧満州国)
愛新覚薄儀の姪・愛新覚慧生であったことが衝撃的だったからであろうと思う。
『慧生の父・溥傑(薄儀の弟)は、政略で日本人:浩と結婚させられたもの「傀儡政権」』
「天国へ結ぶ恋」は、学習院大学の同級生である大久保武道と慧生が、学業を通じて出会い、恋
に落ちたことから始まる・・・純粋すぎる武道は、身分の違いや、他所に子供をもうけた父親の性
癖を良く思わず、自分の中にも父親と同じ血が流れていると嫌悪し、慧生を愛すれば愛するほど
、二人が結ばれることはないだろうと悩み、次第に追い詰められて死を意識するようになったよう
である。
結局そんな武道を、慧生は思い留まらせるようと説得したがかなわず、最後には「彼を一人で逝
かせる事は出来ない・・・」と心中を決意する。
1957・12・10、こんなどんよりとした冬空の下、天城山中において拳銃で若い二人が心中した
と云う衝撃的な(当時としては)事件である。
武道と慧生は死後50数年が経過する今も、山口県と青森県に離れ離れに祀られているという。
ただ、青森の武道の墓には慧生の名も刻まれ、それぞれの遺髪と爪は寄り添い続けていたとい
う。
~今日も良い一日でありますように~