島根は東西に細長い県、西部に位置する江津市(石見の国)は、長い砂浜
の海岸線が続いている。
若い頃この地に勤務していた頃には、勤務が終わるとよくこの浜で泳いだ
ものだ。
当時の様に大きなハマグリが獲れるのだろうか・・・今では日本海が少し荒
れると、大きな波が押し寄せて来るため、県外からも多くのサーフィンが集
まって来る。
昔むかし、この地には万葉集の歌人・柿本人麻呂が、その晩年を石見の国
司として過ごし、この地で土地の女性(依羅娘子)と結ばれている。
その「万葉集」には、人麻呂が石見の国から都に上る際、愛する人とのし
ばし(?)の別離を、切々と詠い上げた反歌二首を残している。
「石見のや高角(たかつぬ)山の木(こ)の間より我(あ)が振る袖を妹見つ
らむか 小竹(ささ)が葉はみ山もさやに乱れども吾(あれ)は妹思ふ別れ
来(き)ぬれば」
「石見なる高角山の木の間よも吾(あ)が袖振るを妹見けむかも」
当時は、石見の国(江津市)は、浦も潟もないただ荒涼とした荒磯であった
様で、そこには最愛の妻が住んでいる。
その妻を一人残して、自分は旅に出掛けなくてはならず、とても恋しい。
と歌っている訳だが、万葉の時代夫が我が妻を恋うる、これほど率直な
気持ち(今も男は口にしたがらないが・・・)を詠った歌は、他に例を見ない
様である。
柿本人麻呂さん、なんとロマンチストであった事でしょうか。
絵の後方に描かれている山が歌の冒頭に出て来る「高角山」である。
~今日も良い一日であります様に~
今年は、出雲ナンキンが産卵しました~