(吉永小百合)
当地で公開中の山田洋二監督のファンタジー映画「母と暮らせば」、長男夫婦が年末「二人で映画でも見に行
って来たら。」とプレゼントしてくれた、チケットの有効期限最終日の11日に観に行って来ました。
この映画の舞台となったのは、1945年8月9日の長崎市、多くの公開作品の中でこの映画を観ようと思った
のは、実は主人公の長崎医科大生・浩二(二宮和也)が水爆が投下された時、講義を受けていて犠牲になっ
たのがこの大学で、投下時、実際に放射線専門医として大学病院で教鞭もとっていたのが、当松江市出身の
偉人「永井隆博士」であり、自らも被爆によって白血病を発症しながら、命を捧げて被爆者の治療に当たった
永井博士。
博士の著書「長崎の鐘」、これを元に作られた名曲「長崎の鐘」が頭を過ったからである。
『長崎の鐘』
こよなく晴れた 青空を 悲しと思う せつなさよ
うねりの波の 人の世に はかなく生きる 野の花よ
なぐさめ はげまし 長崎の ああ 長崎の鐘が鳴る
召されて妻は 天国へ 別れてひとり 旅立ちぬ
かたみに残る ロザリオの 鎖に白き わが涙
なぐさめ はげまし 長崎の ああ 長崎の鐘が鳴る
こころの罪を うちあけて 更け行く夜の 月すみぬ
貧しき家の 柱にも 気高く白き マリア様
なぐさめ はげまし 長崎のああ 長崎の鐘が鳴る
~母と暮らせば~
昭和20年8月9日、長崎市に水素爆弾が投下され、一瞬のうちに多くの人命が失われた。
ある日、3年前の水爆で亡くなったはずの浩二(二宮和也)が、突然、助産婦として日々働きながら暮らしてい
る母伸子(吉永小百合)の前に姿を現す。
浩二の姿を見て唖然とする伸子。
その日、伸子は浩二の墓前で「あの子は、一瞬にして消えてしまったの。 もうあきあめるわ。」と言い、心に誓
ったばかりだったのだ。
伸子は、浩二の姿を見て思わず「あんたは元気?」と尋ねると、 「元気なわけなかろうや。僕はもう死んでる
んだよ。」浩二は、笑いながら答えた。
その日から、浩二は時々伸子の前に、たびたび現れるようになった。
母子は思い出話に花を咲かせていたが、中でも気がかりなのが、浩二の恋人・町子(黒木華)のことだった。
結婚の約束をしていたにも関わらず、浩二が亡くなってしまい、心のより処を失いながらも、母の事を気にかけ
てくれていたのだ。
それから月日が経って・・・「浩二、もし町子に好きな人ができたら、あなたは諦めるしかないのよ。」 伸子が
そう諭すと、浩二は「そんなの嫌だ、町子には僕しかおらん!」
頭ではわかっていても、浩二は、自分の死を受け入れられずにいるのだった・・・(公開中なので・・・ネタばれ
はここまで。)
キャストは、反戦読み聞かせ活動にも長年取り組んでいる大女優の吉永小百合、そして国民的アイドル「嵐」
の二宮和也、さらに国際的にも評価を受けている若手演技派女優の黒木華、三人三様それぞれに見事な演
技で観客を感激させる。(中でも二宮和也の演技は秀逸であった。)
映画を観ながら涙腺の弱くなった吾輩・・・不覚にも思わず落涙、々々の連続であった。
原爆投下の瞬間、劇場中にとどろく大音響と、迫力の映像がこの瞬間に失われ去った多くの人の叫びを・・・そ
して、映画の導入部分で、小高い丘の上に眠る浩二の墓地から、一人の老人が、見渡す長崎市街を臨みなが
らひと言、「キノコ雲が一瞬立ちのぼってなぁ~、あれは人間のすっことじゃ~ないど・・・」とつぶやく言葉が、
今も耳に深く残っている。
朝食後お母さんに抱かれるミカ嬢と、夜中にお父さんの枕を占領して寝るミカ嬢
「長崎の鐘」~秋川雅史