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♪「クライマーズ・ハイ」横山秀夫著 文春文庫







う~~~ん、まいった!凄い!凄すぎる!!
何たる臨場感、何たる緊張感、何たる疾走感・・・!
本を読んでいる自分が、新聞社の大部屋で主人公と机を並べていると
錯覚しそうになる。今期最高傑作! ☆5つ!!
「半落ち」にしても「第三の時効」にしても、臨場感とスピード感に溢れていたが
この「クライマーズ・ハイ」は更にも増して凄い。
85年の8月に起きた世界最大の飛行機事故、日航123便の墜落を巡る
地元新聞のベテラン記者のさまざまな葛藤が主軸の物語だ。
いかに社内の各セクションや上司の思惑と闘って
ジャーナリストとしての使命感を果たしてゆくか・・・。
そこに息子や同僚との確執、山仲間である同僚の病気
かつて部下を死なせた後悔などが織り混ざる。
横山は事故当時、現場の群馬県の上毛新聞の記者だった。
だから新聞社の内部や編集現場のディティールはまさに迫力いっぱいだ。
ぜひ今後も「新聞記者もの」を書いて欲しい。
そういえばTVや映画では、警察ものやテレビの報道局ものなどは結構ある。
でも「新聞記者もの」って、大昔のNHKの「事件記者」以来ないんじゃない?
この本を読んで、ぜひテレビや映画で事件記者も取り上げて欲しいと思った。
主人公は、植物状態になった同僚の
「山には下りるために登るのさ」という、なぞなぞのような言葉に拘る。
最後にその意味に気づき、その先の人生を決めるのだが
主人公の生き方には、しがない中年サラリーマンとして共感を覚える。
自分の息子、そして倒れた同僚の一人息子との関わり方も
また心に染み入るものがある。
そう、やっぱり血は水より濃し!
いつかは分かり合えるものなんだよ!!