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子供の取り違え事件を取り上げた映画が日欧で作製され、同じ時期に日本で公開された。
フランス映画の「もうひとりの息子」と日本映画の「そして父になる」
福山雅治主演の「そして父になる」は、涙なくしては観られない感動作という評判も多いが、実際観た某氏は「イマイチ物足りなかった」と言っていた。なので、子供の取り違えだけでも重いテーマなのに、そこにパレスチナ問題まで絡む「もうひとりの息子」にとても期待して、ぜひ観たいと思っていた。でも全国でもほんの一部でしか上映されない。そのひとつがシネスイッチ銀座。
よし、久しぶりに東京・銀座で映画を観よう!もちろん比較の意味もあって「そして父になる」も観るぞ!
♪映画「もうひとりの息子」
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隔離壁で隔てられたイスラエルとパレスチナに住む二つの家族。両家族にはそれぞれ18歳の息子がいた。ある日イスラエル側の病院から連絡があり、子供の取り違えが発生していたことを告げられる。
この子は自分たちの子供ではない、他人の子だ。それも対立するユダヤ人、アラブ人だったとは…。親たちも悩むが、18歳で大人の入口に立つ息子たちも、自分のアイデンティが崩れ、どうしたらよいのか分からなくなる。
日本人の我々には複雑でよく理解できない中東の宗教問題、民族問題が絡む家族の苦悩。でもそれぞれの家族や本人たちは少しずつ打ち解けていく。う~ん、これが家族の、親子の絆というものか。
民族紛争は、この若者たちが解決していくのか?そんな将来の一縷の望み、僅かな光を見るようなエンディングは良かったが、ちょっと物足りなかった。もう少し、あと30分ぐらい(?)かけて、家族の絆が深まる過程や周りの人間も巻き込んで民族問題を少しでも解決するような兆しを表現して欲しかった。
そこのところは、少し残念。でも良い映画でした。(フランス映画)
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♪映画「そして父になる」
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フランス映画「もうひとりの息子」とまさにテーマが被る作品。福山雅治、リリー・フランキー、尾野真千子、真木よう子、樹木希林ら役者も揃っているので、前から観たかった。でも新聞で、中東の民族問題も絡む「もうひとりの息子」の記事を読んで、俄然そっちに興味が移ったのは確かだ。いずれにしても、この2作品を観比べてみたかった。
う~ん、こちらも結構良かったです。家のことは妻に任せっきりの仕事人間エリートサラリーマンと、群馬で小さな電気店を営む自営業者。人生感も子育ての方針も全く違う2つの家族が、取り違えた子供を挟んで少しずつ交流を深めていく。そして息子を交換し暮らし始めるが…。
「あー、この二家族はこういう風に暮らしていくんだなー」という明るい予感を漂わせるエンディングが良かった。やっぱりカンヌ映画祭で審査員賞を受賞するだけのことはあると思います。お薦めです!