漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「一イチ」 <ひとつ>

2014年08月01日 | 漢字の音符
[弌(異体)] イチ・イツ・ひと・ひとつ  一部

解字 横に一本の線をしるした形の指事文字。ひとつを表す。弌イチは、「弋(くい)+一(ひとつ)」の会意形声で、くいが一本の意。一の異体字。
意味 (1)数のいち。「一度」。 (2)最初。ひとつめ。「第一」 (3)一番すぐれている。「一流イチリュウ」 (4)ひとつにする。「一括イッカツ」 (5)あるひとつの。「一例イチレイ」 (6)わずか。「一刻イッコク」 (7)もっぱら。「専一センイツ

イメージ  「ひとつ」 (一・閂)
       「その他」 (壱・辷)
音の変化  イチ:一・壱  サン:閂  すべる:辷

ひとつ  
 サン・かんぬき  門部
解字 「門(もん)+一(ひとつ)」の会意。門に横の一線をくわえ、門の扉の左右にある金具に通す一本の横木。かんぬき(貫木)を表す。
意味 かんぬき(閂)。貫木(かんぬき)とも書く。門や戸をしめるときの横木。

その他
[壹] イチ・イツ・ひとつ   士部

解字 篆文は、壷の中に吉(とじこめる意)を書いて、中に満ちる気をとじこめている形。壷の中のものが発酵して中にみちる状態をいう。旧字は壹に作り、壷の上部と豆(たかつき)が合わさった形をしている。発音のイチ・イツから同音の数字の一に仮借カシャ(当て字)された。新字体の壱は、旧字の豆がヒに変化した。
意味 (1)ひとつ(壱つ)。(2)もっぱら。ひとたび。みな。(3)地名。「壱岐いき」(もと壱岐国。現在、長崎県壱岐市。九州と朝鮮半島との間に対馬とともに飛び石状にある島)
※金銭の証書などでは、間違いを防ぐために「一」の代わりに「壱」を用いる。
<国字> すべる  之部
解字 「之の旧字(ゆく)+一(たいらな所)」の会意。平らな所(一)を行く意で、滑るようになめらかに進むことを表す国字。
意味 すべる(辷る)。なめらかに進む。
<紫色は常用漢字>

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