「采サイ」と「釆ハン」は、よく似ている。しかし、仔細にながめると采サイは「爫(ノツ)+木」であり、釆ハンは、「ノ+米」だ。采サイの爫(ノツ)は上からの手のかたち。釆ハンは部首で釆(のごめへん)となる字だが、米とは関係なく獣の足指や爪の分かれる形を表している。
采 サイ <つみとる>
采 サイ・とる 爪部または木部
解字 甲骨文は実のなっている木の上に手先を描いた形で、木の実をとる意。金文以降は「手先+木」の形になった。木の実を指でつかんでとること。採の原字である。手先は現代字で「ノ+ツ」の形になっている。原義は「とる」「えらびとる」意だが、この字から採サイや彩サイが分離したので、すがたや、かたち・ようすを表す語になっている。
意味 (1)とる(采る)(=採)。つみとる。えらびとる。(=採)(2)いろどり。あや。もよう。(=彩) (3)すがた。かたち。ようす。「喝采カッサイ」(やんやとほめそやす)「風采フウサイ」(人のみかけの姿)(4)[国]さい。大将が軍を指揮するとき使う道具。「采配サイハイ」
采は「つみとる」「えらびとる」のイメージで、さらに3つの常用漢字を作る。
イメージ
木の実を「つみとる」(采・採・菜)
良い実を「えらびとる」(彩)
音の変化 サイ:采・採・菜・彩
つみとる
採 サイ・とる 扌部
解字 「扌(手)+采(つみとる)」の会意形声。手でつみとる意。
意味 (1)とる(採る)。つみとる。とり入れる。「採光サイコウ」「伐採バッサイ」(2)集める。「採集サイシュウ」「採取サイシュ」(3)選び取る。「採択サイタク」「採用サイヨウ」
菜 サイ・な 艸部
解字 「艸(くさ)+采(つみとる)」の会意形声。つみとった野草や野菜。
意味 (1)な(菜)。つみな。なっぱ。「野菜ヤサイ」「菜園サイエン」 (2)あぶらな。「菜種油なたねあぶら」 (3)おかず。料理。「菜料サイリョウ」(飯の菜。おかず)「菜館サイカン」(料理店)
えらびとる
彩 サイ・いろどる 彡部
解字 「彡(模様)+采(えらびとる)」の会意形声。色を選んで模様をつける。
意味 いろどる(彩る)。いろどり。「彩色サイシキ」「色彩シキサイ」「彩雲サイウン」(ふちなどが美しく色づいた雲)
参考 音符「采サイ」へ
釆 ハン <獣の足のつめ>
釆 ハン・ベン 釆部のごめ
解字 甲骨文は手で物をはさみ持つ様子を表した形の中の一種。本来の意味で使われず、地名またはその長、および祭祀名となっている[甲骨文字辞典]。金文は米と似た形になり意味は地名、篆文から獣の足指や爪の別れている形として用いられた。わかれる意で部首となる。
意味 つめ。わかつ。
釆は部首「釆のごめ・のごめへん」になる。
「のごめ」の名称は「ノ+米」からきている。偏(左辺)になり、わかれる・ばらばらになる意を表す。この部首は非常にすくなく、主な字は、釈[釋]シャク・とく、釉ユウ・うわぐすり、の2字しかない。しかも釉ユウの釆は、采サイの変形字で便宜的な部首のため(音符「由ユウ」を参照)、本来の部首は釈のみ。
釆のごめへんの常用漢字
釈 シャク・とく 釆部
解字 旧字は釋シャクで、「釆ハン(分ける)+睪エキ(次々とつらなる)」の会意。釆は、けものの指の分かれた形と解され、分ける意。新字体は睪エキ⇒尺シャクに変化した釈になった(尺シャクは字の発音を表すので覚えやすい)。釈は次々とつらなっているものを分けて解き放つこと。解く意となる。転じて、解き明かす意ともなる。
意味 (1)ときはなつ。ほどく。ゆるす。「釈放シャクホウ」「保釈ホシャク」 (2)とく(釈く)。ときあかす。「解釈カイシャク」「注釈チュウシャク」 (3)言い訳をする。「釈明シャクメイ」 (4)薄める。「希釈キシャク」 (5)仏や仏教を表わす語。「釈迦シャカ」「釈門シャクモン」
釆のごめが含まれる常用漢字
番 バン 田部
熊の足うら
解字 「釆ハン(獣の爪)+田(あしのひら)」で、動物の足の爪と、ひら(掌)を表す。釆ハンは獣の爪の別れている形で、田は足のひら(掌)である。また、爪とひらがくっきりとつく、動物の足跡の形。大きな動物が通ったあとは、はっきりと順々に足あとが地上に残っている。そこで、足あとの形は、順序よくの意となり、当番・順番の意味となる。 音符「番バン」を参照。
意味 (1)順序。順位。「番号バンゴウ」「一番イチバン」 (2)かわるがわる。「輪番リンバン」「当番トウバン」 (3)見張り。「番人バンニン」
参考 音符「番バン」を含む常用漢字に、審シン・つまびらか、藩ハン、翻ホン・ひるがえる がある。
<紫色は常用漢字>
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采 サイ <つみとる>
采 サイ・とる 爪部または木部
解字 甲骨文は実のなっている木の上に手先を描いた形で、木の実をとる意。金文以降は「手先+木」の形になった。木の実を指でつかんでとること。採の原字である。手先は現代字で「ノ+ツ」の形になっている。原義は「とる」「えらびとる」意だが、この字から採サイや彩サイが分離したので、すがたや、かたち・ようすを表す語になっている。
意味 (1)とる(采る)(=採)。つみとる。えらびとる。(=採)(2)いろどり。あや。もよう。(=彩) (3)すがた。かたち。ようす。「喝采カッサイ」(やんやとほめそやす)「風采フウサイ」(人のみかけの姿)(4)[国]さい。大将が軍を指揮するとき使う道具。「采配サイハイ」
采は「つみとる」「えらびとる」のイメージで、さらに3つの常用漢字を作る。
イメージ
木の実を「つみとる」(采・採・菜)
良い実を「えらびとる」(彩)
音の変化 サイ:采・採・菜・彩
つみとる
採 サイ・とる 扌部
解字 「扌(手)+采(つみとる)」の会意形声。手でつみとる意。
意味 (1)とる(採る)。つみとる。とり入れる。「採光サイコウ」「伐採バッサイ」(2)集める。「採集サイシュウ」「採取サイシュ」(3)選び取る。「採択サイタク」「採用サイヨウ」
菜 サイ・な 艸部
解字 「艸(くさ)+采(つみとる)」の会意形声。つみとった野草や野菜。
意味 (1)な(菜)。つみな。なっぱ。「野菜ヤサイ」「菜園サイエン」 (2)あぶらな。「菜種油なたねあぶら」 (3)おかず。料理。「菜料サイリョウ」(飯の菜。おかず)「菜館サイカン」(料理店)
えらびとる
彩 サイ・いろどる 彡部
解字 「彡(模様)+采(えらびとる)」の会意形声。色を選んで模様をつける。
意味 いろどる(彩る)。いろどり。「彩色サイシキ」「色彩シキサイ」「彩雲サイウン」(ふちなどが美しく色づいた雲)
参考 音符「采サイ」へ
釆 ハン <獣の足のつめ>
釆 ハン・ベン 釆部のごめ
解字 甲骨文は手で物をはさみ持つ様子を表した形の中の一種。本来の意味で使われず、地名またはその長、および祭祀名となっている[甲骨文字辞典]。金文は米と似た形になり意味は地名、篆文から獣の足指や爪の別れている形として用いられた。わかれる意で部首となる。
意味 つめ。わかつ。
釆は部首「釆のごめ・のごめへん」になる。
「のごめ」の名称は「ノ+米」からきている。偏(左辺)になり、わかれる・ばらばらになる意を表す。この部首は非常にすくなく、主な字は、釈[釋]シャク・とく、釉ユウ・うわぐすり、の2字しかない。しかも釉ユウの釆は、采サイの変形字で便宜的な部首のため(音符「由ユウ」を参照)、本来の部首は釈のみ。
釆のごめへんの常用漢字
釈 シャク・とく 釆部
解字 旧字は釋シャクで、「釆ハン(分ける)+睪エキ(次々とつらなる)」の会意。釆は、けものの指の分かれた形と解され、分ける意。新字体は睪エキ⇒尺シャクに変化した釈になった(尺シャクは字の発音を表すので覚えやすい)。釈は次々とつらなっているものを分けて解き放つこと。解く意となる。転じて、解き明かす意ともなる。
意味 (1)ときはなつ。ほどく。ゆるす。「釈放シャクホウ」「保釈ホシャク」 (2)とく(釈く)。ときあかす。「解釈カイシャク」「注釈チュウシャク」 (3)言い訳をする。「釈明シャクメイ」 (4)薄める。「希釈キシャク」 (5)仏や仏教を表わす語。「釈迦シャカ」「釈門シャクモン」
釆のごめが含まれる常用漢字
番 バン 田部
熊の足うら
解字 「釆ハン(獣の爪)+田(あしのひら)」で、動物の足の爪と、ひら(掌)を表す。釆ハンは獣の爪の別れている形で、田は足のひら(掌)である。また、爪とひらがくっきりとつく、動物の足跡の形。大きな動物が通ったあとは、はっきりと順々に足あとが地上に残っている。そこで、足あとの形は、順序よくの意となり、当番・順番の意味となる。 音符「番バン」を参照。
意味 (1)順序。順位。「番号バンゴウ」「一番イチバン」 (2)かわるがわる。「輪番リンバン」「当番トウバン」 (3)見張り。「番人バンニン」
参考 音符「番バン」を含む常用漢字に、審シン・つまびらか、藩ハン、翻ホン・ひるがえる がある。
<紫色は常用漢字>
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