漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「帯タイ 」<腰に巻くオビに巾(前垂れ)をつける>と「滞タイ」

2020年05月21日 | 漢字の音符
[帶] タイ・おびる・おび  巾部
 公卿夏束帯(日本服飾史より)

解字 春秋戦国期は、上にベルトの形、下に巾(前垂れ)を二つ重ねて描いてる。腰にまくベルトから巾(前垂れ)が下がっている形。篆文はベルトの形が変化し下部の前垂れは同じ。旧字は二つ重ね巾の上部巾のつきぬけがなくなった。新字体はベルトが丗に簡略化された帯になった。
 ベルトに前垂れが付くのは礼装であり日本の場合、貴族の正装である束帯に締める平緒(ひらお)がこれに似ている。写真は公卿夏束帯で、腰にベルトを巻き、そこから太刀を下げ、前に垂(前垂れ)をさげている。
 意味は、腰に巻くベルトから帯。帯から太刀を下げたり、巾(前垂れ)をさげるので帯びる意となる。新字体は帶⇒帯に変化する。
意味 (1)おび(帯)。長い布で作り腰に巻くおび。帯状の細長いもの。「帯封おびフウ」(紙で帯のように巻くこと)「包帯ホウタイ」「帯留(おびど)め」 (2)帯状の土地・地域。「温帯オンタイ」「地帯チタイ」 (3)おびる(帯びる)。帯に下げる。身に着ける。「携帯ケイタイ」「帯剣タイケン」「所帯ショタイ」(身に帯びるもの。住居をもち生計をともにする集団)

イメージ 
 「おび」
(帯・蔕)
 「おびる」(滞)
音の変化  タイ:帯・蔕・滞

おび
 タイ・テイ・へた  艸部
解字 「艸(植物)+帶(おび)」 の会意形声。トマト・柿などの実についている萼(がく)。帯が巻いているようにみえることから。
 柿のへた
意味 (1)へた(蔕)。トマト・柿などの実についているへた。へたは花弁の付け根にある萼(がく)が、果実と枝をつなぐ役割をしてそのまま残ったもの。「果蔕カテイ」(果物のへた)「柿蔕シテイ」(柿のへた。しゃっくり止めの漢方薬になる)「南瓜蔕ナンカテイ」(かぼちゃのへた。漢方薬)  (2)うてな。花のがく。

おびる
 タイ・とどこおる  氵部
解字 旧字は滯で「氵(水)+帶(おびる)」 の会意形声。「帶びる」とは身につけて常にある状態のこと。水がついた滯は、水が常にある状態をいい、水が引かずにとどまっていること。転じて、とどこおる状態をいう。新字体は滞に変化。
意味 (1)一所にとまって動かない。とどまる。「滞水タイスイ」「滞在タイザイ」「滞留タイリュウ」 (2)とどこおる(滞る)。はかどらない。「渋滞ジュウタイ」「停滞テイタイ」「延滞エンタイ
<紫色は常用漢字>

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