難解な字形です。
复 フク 夂部 fù
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上は复フク、下は復フク
解字 复の甲骨文の上部には「中央の長四角の上下に小さな四角が付いた形」がある。この字形について、いろいろな解釈があり原義は不明であるが、[甲骨文字辞典]は「酒樽の象形の酉ユウと足の形を下向きにした夂チから成る」とする。そして「夂チが復路を表すことは明らかであるが、酉については意義が不明である」とする。何故かというと、酒樽に下向きの足(夂)をつけてなぜ復路になるのかという理由がつけにくいからである。著者の落合氏は「あるいは神への供物(酒樽)を下げることが原義かもしれない」と補足しているが、やはり酒樽(酉)を本体とすると、復路の意味を出すのがむずかしい。他に原字は「畐フク」ではないか、との説もあるが、畐フクも形の別な酒樽であり、同じような問題が出てくる。
私は仮想の空間として3つの部屋がある住居を考えてみた。表玄関と広間それに奥部屋のついた住宅である。すると、夂チは、足が下を向いた形であり、もどる(復路)意味があるので复は、①訪れた人が住宅の玄関に「もどる」。②もどるときは入った方向と「向きを返る」。③入って奧の部屋に行き、戻ると行き来が「かさなる」。この三つの意味となる。
仮想空間の三部屋住居を案出したが、初文は何をもとにしたのか。難解な字形である。なお[説文解字]は「故(もと)の道を行(ゆ)く也(なり)(即ち戻る意)。夊に従い畗の省聲(声)。発音は房六切(フク)」とする。
復フクは复の原字
下の復フクは、复に彳ぎょうにんべん(行の片側でゆく意)が付いた形であり、もどってゆく意。复だけでも「もどる」意味があるので、復の原字といえる。
意味 かえる(=復)。もどる。
イメージ
「もどる」(复・復)
「形声字」(覆・複・腹・鰒・蝮・馥)
「その他」(履)
音の変化 フク:复・復・覆・複・腹・鰒・蝮・馥 リ:履
もどる
復 フク・かえる・また 彳部 fù
解字 「彳(ゆく)+复(もどる)」の会意形声。向きをかえて戻ること。また、行き戻りをくりかえす意としても使われる。[説文解字]は「往来なり」とする。
意味 (1)かえる(復る)。もどる。行った道をかえる。「復路フクロ」「往復オウフク」(行きと帰り)(2)かえす。もどす。「復活フッカツ」(3)くりかえす。ふたたび。また(復)。「復習フクシュウ」「反復ハンプク」
形声字
覆 フク・おおう・くつがえす・くつがえる 覀部 fù
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解字 篆文は「襾(ふたの形)+復(フク)」の形声。おおっていた襾(ふた)を、くつがえすことを覆フクという。器物に、おおったふた(襾)をひっくり返すこと。ふたをおおう意と、ひっくり返す意と二つの意味になる。[説文解字]は「覂ホウ(上が覀、下が之)(くつがえる)也(なり)」とする。現代字は篆文上部の、襾(ふた)⇒ 覀に変化した覆になった。
意味 (1)くつがえす(覆す)。くつがえる(覆る)。ひっくり返す。「覆水フクスイ」(入れ物からひっくり返した水)「覆水盆に返らず」(盆[容器]をひっくり返してこぼれた水は元に戻らない)「転覆テンプク」(船などがひっくりかえること)(2)おおう(覆う)。かぶせる。「覆面フクメン」「覆土フクド」
複 フク 衣部 fù
解字 「衤(ころも)+复(フク)」の形声。着物を重ね着することを複フクという。着物に限らず、かさなる・かさねる意となる。[説文解字注]は「重衣(かさねぎ)の皃ボウ(さま)。衣に従い复の聲(声)也(なり)。引伸インシン(広げる)して凡(およ)そ重(かさ)なる之(の)偁ショウ(意味)と爲す」とする。
意味 (1)かさねる(複なる)。かさなる(複ねる)。二つ以上ある。「複式フクシキ」「複数フクスウ」「複写フクシャ」「複製フクセイ」(2)込み入る。「複雑フクザツ」
腹 フク・はら 月部にく fù
解字 「月(からだ)+复(フク)」の形声。フクは畐フク(ふくらみのある器)に通じ、ふくらんだ身体の部分、おなかを表わす。
意味 (1)はら(腹)。おなか。「腹筋フッキン」「腹掛(はらが)け」(2)こころ。心のなか。考え。「腹案フクアン」(3)物の中央部分。「山腹サンプク」「船腹センプク」「中腹チュウフク」
鰒 フク・あわび・ふぐ 魚部 fù
解字 「魚(さかな)+复(フク)」の形声。[説文解字注]は[後漢書伏隆伝]の「郭僕三倉注」に曰(いわ)く。「鰒は蛤(はまぐり)に似る。一偏(一面)は石に著(つ)く。[廣志]に曰(いわ)く。鰒フクに鱗(うろこ)無くして殻有り。一面(片面)は石(いわ)に附く。細い孔(あな)雑雑(いろいろ)」とあり、あわびをいう。日本では、ふぐ(鰒)の意味でも用い、室町時代の国語辞典『節用集(せつようしゅう)』に「鰒(ふぐ)」が始めて表れる。
アワビ
意味 (1)あわび(鰒)。鮑ホウとも書く。「鰒魚フクギョ」(①あわび、②とこぶし、アワビに酷似する小型の貝)(2)[国]ふぐ(鰒)。河豚とも書く。フグ科の海魚。外敵に襲われると腹を著しく膨張させる。
蝮 フク・まむし 虫部 fù
解字 「虫(へび)+复(フク)」の形声。フクは畐フク(ふくらみのある)に通じ、頭部がふくらんでいるまむしをいう。
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マムシに注意!(京都府精華町・危険な虫・外来生物情報」)
意味 まむし(蝮)。くちばみ。スプーンのように膨らんだ頭部をもつ毒蛇。[マムシの特徴]全長45~60センチメートル。胴が太く、尾が短い。頭は三角形のものが多い。体には楕円形の斑紋がある。日本全国に広く生息しており、町内でも発見されています。[京都府精華町・危険な虫・生物情報より]
「蝮酒まむしざけ」(蝮を漬けた焼酎)「蝮蛇フクダ」(まむし)「蝮蝎フクカツ」(まむしとサソリ。悪類のたとえ)
馥 フク・かんばしい 香部 fù・bì
解字 「香(かおり)+复(フク)」の形声。フクは畐フク(ふくらみのある)に通じ、香りがふくらむこと。香りがたちこめてかんばしいこと。
意味 かんばしい(馥しい)。香ばしい。かおる。かおり。「馥郁フクイク」(良い香りのたちこめるさま)「馥馥フクフク」(香りがたちこめる)
その他
履 リ・はく・くつ 尸部 lǚ
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解字 篆文は、「尸(ひと)+彳(ゆく)+舟(舟型のくつ)+夂(あし)」の会意。人があしを舟型のくつに入れて行くこと。はきもの、及び、ふむ・ふみおこなう意となる。現代字は、「尸+復」の形に変化した。
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衲御礼履のうのごらいり(「宮内庁・正倉院宝物」より)
意味 (1)ふむ(履む)。ふみおこなう。実行する。「履行リコウ」「履歴リレキ」(現在までの学業・職業などの経歴)「履歴書リレキショ」「履修リシュウ届け」「履霜リソウの戒め」(霜を履む時季になれば、やがて氷が張る季節になる。小さな前兆を見て、やがてくる大きな災難に備えて用心せよという戒め)(2)はきもの。はく(履く)。くつ(履)。「履物はきもの」「草履ゾウリ」
覚え方 この(コノ=尸)ふく(復)路に履いた履物は私の履歴書リレキショ。
<紫色は常用漢字>
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复 フク 夂部 fù
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上は复フク、下は復フク
解字 复の甲骨文の上部には「中央の長四角の上下に小さな四角が付いた形」がある。この字形について、いろいろな解釈があり原義は不明であるが、[甲骨文字辞典]は「酒樽の象形の酉ユウと足の形を下向きにした夂チから成る」とする。そして「夂チが復路を表すことは明らかであるが、酉については意義が不明である」とする。何故かというと、酒樽に下向きの足(夂)をつけてなぜ復路になるのかという理由がつけにくいからである。著者の落合氏は「あるいは神への供物(酒樽)を下げることが原義かもしれない」と補足しているが、やはり酒樽(酉)を本体とすると、復路の意味を出すのがむずかしい。他に原字は「畐フク」ではないか、との説もあるが、畐フクも形の別な酒樽であり、同じような問題が出てくる。
私は仮想の空間として3つの部屋がある住居を考えてみた。表玄関と広間それに奥部屋のついた住宅である。すると、夂チは、足が下を向いた形であり、もどる(復路)意味があるので复は、①訪れた人が住宅の玄関に「もどる」。②もどるときは入った方向と「向きを返る」。③入って奧の部屋に行き、戻ると行き来が「かさなる」。この三つの意味となる。
仮想空間の三部屋住居を案出したが、初文は何をもとにしたのか。難解な字形である。なお[説文解字]は「故(もと)の道を行(ゆ)く也(なり)(即ち戻る意)。夊に従い畗の省聲(声)。発音は房六切(フク)」とする。
復フクは复の原字
下の復フクは、复に彳ぎょうにんべん(行の片側でゆく意)が付いた形であり、もどってゆく意。复だけでも「もどる」意味があるので、復の原字といえる。
意味 かえる(=復)。もどる。
イメージ
「もどる」(复・復)
「形声字」(覆・複・腹・鰒・蝮・馥)
「その他」(履)
音の変化 フク:复・復・覆・複・腹・鰒・蝮・馥 リ:履
もどる
復 フク・かえる・また 彳部 fù
解字 「彳(ゆく)+复(もどる)」の会意形声。向きをかえて戻ること。また、行き戻りをくりかえす意としても使われる。[説文解字]は「往来なり」とする。
意味 (1)かえる(復る)。もどる。行った道をかえる。「復路フクロ」「往復オウフク」(行きと帰り)(2)かえす。もどす。「復活フッカツ」(3)くりかえす。ふたたび。また(復)。「復習フクシュウ」「反復ハンプク」
形声字
覆 フク・おおう・くつがえす・くつがえる 覀部 fù
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解字 篆文は「襾(ふたの形)+復(フク)」の形声。おおっていた襾(ふた)を、くつがえすことを覆フクという。器物に、おおったふた(襾)をひっくり返すこと。ふたをおおう意と、ひっくり返す意と二つの意味になる。[説文解字]は「覂ホウ(上が覀、下が之)(くつがえる)也(なり)」とする。現代字は篆文上部の、襾(ふた)⇒ 覀に変化した覆になった。
意味 (1)くつがえす(覆す)。くつがえる(覆る)。ひっくり返す。「覆水フクスイ」(入れ物からひっくり返した水)「覆水盆に返らず」(盆[容器]をひっくり返してこぼれた水は元に戻らない)「転覆テンプク」(船などがひっくりかえること)(2)おおう(覆う)。かぶせる。「覆面フクメン」「覆土フクド」
複 フク 衣部 fù
解字 「衤(ころも)+复(フク)」の形声。着物を重ね着することを複フクという。着物に限らず、かさなる・かさねる意となる。[説文解字注]は「重衣(かさねぎ)の皃ボウ(さま)。衣に従い复の聲(声)也(なり)。引伸インシン(広げる)して凡(およ)そ重(かさ)なる之(の)偁ショウ(意味)と爲す」とする。
意味 (1)かさねる(複なる)。かさなる(複ねる)。二つ以上ある。「複式フクシキ」「複数フクスウ」「複写フクシャ」「複製フクセイ」(2)込み入る。「複雑フクザツ」
腹 フク・はら 月部にく fù
解字 「月(からだ)+复(フク)」の形声。フクは畐フク(ふくらみのある器)に通じ、ふくらんだ身体の部分、おなかを表わす。
意味 (1)はら(腹)。おなか。「腹筋フッキン」「腹掛(はらが)け」(2)こころ。心のなか。考え。「腹案フクアン」(3)物の中央部分。「山腹サンプク」「船腹センプク」「中腹チュウフク」
鰒 フク・あわび・ふぐ 魚部 fù
解字 「魚(さかな)+复(フク)」の形声。[説文解字注]は[後漢書伏隆伝]の「郭僕三倉注」に曰(いわ)く。「鰒は蛤(はまぐり)に似る。一偏(一面)は石に著(つ)く。[廣志]に曰(いわ)く。鰒フクに鱗(うろこ)無くして殻有り。一面(片面)は石(いわ)に附く。細い孔(あな)雑雑(いろいろ)」とあり、あわびをいう。日本では、ふぐ(鰒)の意味でも用い、室町時代の国語辞典『節用集(せつようしゅう)』に「鰒(ふぐ)」が始めて表れる。
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意味 (1)あわび(鰒)。鮑ホウとも書く。「鰒魚フクギョ」(①あわび、②とこぶし、アワビに酷似する小型の貝)(2)[国]ふぐ(鰒)。河豚とも書く。フグ科の海魚。外敵に襲われると腹を著しく膨張させる。
蝮 フク・まむし 虫部 fù
解字 「虫(へび)+复(フク)」の形声。フクは畐フク(ふくらみのある)に通じ、頭部がふくらんでいるまむしをいう。
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マムシに注意!(京都府精華町・危険な虫・外来生物情報」)
意味 まむし(蝮)。くちばみ。スプーンのように膨らんだ頭部をもつ毒蛇。[マムシの特徴]全長45~60センチメートル。胴が太く、尾が短い。頭は三角形のものが多い。体には楕円形の斑紋がある。日本全国に広く生息しており、町内でも発見されています。[京都府精華町・危険な虫・生物情報より]
「蝮酒まむしざけ」(蝮を漬けた焼酎)「蝮蛇フクダ」(まむし)「蝮蝎フクカツ」(まむしとサソリ。悪類のたとえ)
馥 フク・かんばしい 香部 fù・bì
解字 「香(かおり)+复(フク)」の形声。フクは畐フク(ふくらみのある)に通じ、香りがふくらむこと。香りがたちこめてかんばしいこと。
意味 かんばしい(馥しい)。香ばしい。かおる。かおり。「馥郁フクイク」(良い香りのたちこめるさま)「馥馥フクフク」(香りがたちこめる)
その他
履 リ・はく・くつ 尸部 lǚ
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解字 篆文は、「尸(ひと)+彳(ゆく)+舟(舟型のくつ)+夂(あし)」の会意。人があしを舟型のくつに入れて行くこと。はきもの、及び、ふむ・ふみおこなう意となる。現代字は、「尸+復」の形に変化した。
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衲御礼履のうのごらいり(「宮内庁・正倉院宝物」より)
意味 (1)ふむ(履む)。ふみおこなう。実行する。「履行リコウ」「履歴リレキ」(現在までの学業・職業などの経歴)「履歴書リレキショ」「履修リシュウ届け」「履霜リソウの戒め」(霜を履む時季になれば、やがて氷が張る季節になる。小さな前兆を見て、やがてくる大きな災難に備えて用心せよという戒め)(2)はきもの。はく(履く)。くつ(履)。「履物はきもの」「草履ゾウリ」
覚え方 この(コノ=尸)ふく(復)路に履いた履物は私の履歴書リレキショ。
<紫色は常用漢字>
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