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アリゾナ山火事で考古遺跡に危機

2011-06-16 | 先住民族関連
for National Geographic News June 15, 2011

Ker Than
 アメリカ西部のアリゾナ州で5月29日、大規模な山火事が発生し、多数の考古遺跡が危険にさらされている。
 AP通信によると、「ワロー山火事(Wallow Wildfire)」と名付けられた同州史上最大の火災は、6月14日時点で1900平方キロ以上を焼き尽くした。現在も勢いが衰えず、東隣のニューメキシコ州まで燃え広がっている。
 アリゾナ州のアパッチ・シトグリーブス(Apache-Sitgreaves)国有林と、ニューメキシコ州のヒラ(Gila)国有林の一部も被害を受けているという。隣接する両国有林には、アメリカ先住民の石造遺跡や、19世紀の鉱山と工場など、考古学的価値が高い遺跡や史跡が数多く存在する。
 米国森林局の考古学者でヒラ国有林を担当するボブ・ショウィッツ(Bob Schiowitz)氏によると大半が、西暦紀元前後から1500年頃まで同地域で栄えた農耕文化「モゴヨン(Mogollon)」に属しているという。ショウィッツ氏は最大で1000カ所のモゴヨン文化遺跡が、山火事から何らかの影響を受けると推測している。
 多くの遺跡は山火事を乗り切ると期待する専門家も多い。「大半の遺跡が、少なくとも500年間から1000年間は放置されてきた。これまでに山火事が襲った可能性は高いが、今もその姿を保っている」とショウィッツ氏は説明する。また、遺物の大部分は、破片になった陶器の鉢や壺、石器、石の武器などであり、比較的燃えにくい。
 しかし、現在の遺跡は火災の被害をかつてないほど受けやすい状態かもしれない。一因は、山火事が制御不能になる前に鎮火する方針を、森林局が数十年間にわたり取ってきたことだ。その結果、燃えやすい草木が繁茂し、ひとたび火が付けば激しい火災になる可能性がある。
 「この15年から20年の間は、遺跡周辺の草木の除去にも力を入れてきた」とショウィッツ氏は述べる。「しかし、その対策が新たな問題を引き起こすことがある」。例えば、山火事の進路にある草木を意図的に焼いて延焼を防ぐ「向かい火」は、「山火事と変わらないダメージを遺跡に与えかねない」。
 また、あらかじめ樹木を伐採したエリア「防火帯」を作る場合には、ブルドーザーが地下に埋まった遺跡を気付かずに壊してしまう可能性がある。そのため、重要な場所にブルドーザーを近づけないよう、考古学者が消防士に同行するケースも多いという。「猶予時間があれば、ダメージを最小限にとどめられる。向かい火や防火帯の計画についてもアドバイスする」とショウィッツ氏は話す。
 アメリカ先住民の遺跡に加え、多くが木造の19、20世紀の歴史的建造物にも危険は迫っている。「史料価値が高い牧場や小屋、鉱山、工場など、全力で保護対策を進めている」。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110615003&expand&source=gnews

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吉川英治文化賞:宇梶静江さん受賞 アイヌ文化を国内外に発信 /千葉

2011-06-16 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2011年6月15日 地方版

 ◇震災復興でも活動
 古い布にアイヌ伝統の刺しゅうを施した古布絵(こふえ)作家としても知られる詩人の宇梶静江さん(78)=木更津市在住=が、文化活動に著しく貢献した人に贈られる「第45回吉川英治文化賞」(吉川英治国民文化振興会主催)を受賞した。古布絵や絵本を通じ、アイヌ文化を国内外に発信し続ける活動が認められた宇梶さん。東日本大震災後は、被災者に対する追悼詩を発表するなど復興に向けた活動へのかかわりも強めている。
 1933年、北海道浦河町のアイヌの家に生まれた。幼いころからいじめや差別に心を痛め、学校は決して居心地のよい場所ではなかったという。23歳で上京、38歳の時「ウタリ(アイヌ語で『同胞』)よ、手をつなごう」と新聞の投書欄で呼びかけたのが反響を呼び、関東圏アイヌ復権運動の草分けの一人となる。
 古布絵創作はそうした活動の一環としてたどりついた。神々や森の動物などアイヌの叙事詩からイメージした作品が多くアイヌ文化奨励賞(04年)も受賞。絵本を3冊出版している。
 日本人の中でのアイヌの生き方を追究してきた宇梶さんは、震災による津波被害を受け、アイヌの昔話「セミ神さまのお告げ」を思い出した。6代の人の世を生きた「おばあさん」が、歌で津波の襲来を予告するというエピソード。古来、自然と共生してきたアイヌ社会の価値観をうかがわせる話という。
 宇梶さんは「私が生まれた日も『津波がくる』と皆、裏山に避難したと母から聞かされたことがある。このことがダブってしまい、どうしても人ごととは思えなかった」と振り返る。
 震災を受け、追悼詩「大地よ」「路傍に居られるお地蔵様」を発表し、4日には札幌市で震災復興を願うチャリティーコンサートに参加した宇梶さん。「自然を大切にする考え方もアイヌ復権運動も、みな和人(アイヌに対する日本人の呼称)のみなさんと一緒に取り組まねばうそだと思っています」と語っている。【渡辺洋子】
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20110615ddlk12040170000c.html

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