先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

北海道開発局人事(16日)

2024-07-17 | アイヌ民族関連

有料記事

北海道新聞2024年7月16日 10:31

▽開発監理部長(北海道局総務課アイヌ政策室長)梶本洋之▽建設部調整官(国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所監査役)河津裕▽北海道局総務課アイヌ政策室長(建設部調整官)藤田望

▽辞職 ・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1038041/


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札幌観光バス、アイヌ文化の拠点巡る「セタプクサ号」運行

2024-07-17 | アイヌ民族関連

観光経済新聞 2024年7月16日

札幌観光バス(札幌市)は、新千歳空港からアイヌ文化の二大拠点である平取町の二風谷コタンと白老町の民族共生象徴空間「ウポポイ」を巡る周遊バス「セタプクサ号」の運行を7月25日から始める。

 二風谷コタンとウポポイは100キロほど離れていて交通機関も不便であることから、周遊バスを通じて観光客の交流の促進を図るため平取町の委託を受けて実施。5年目の運行となる。セタプクサはアイヌ語で「すずらん」の意。車体全体にアイヌ文様を施した専用バスで、乗車定員は24人。

 JR札幌駅近くのホテル前を午前9時に出発し、新千歳空港を経由して二風谷コタンとウポポイを訪れ、午後6時過ぎに戻る。途中、温泉施設で昼食時間を設けるほか、バスガイドがアイヌ文化の説明なども行う。

 期間は9月16日までで、8月31日までは毎日1往復(ウポポイ休業日の7月29日、8月5、13、19、26日と同25日を除く)運行。9月1日からは土日祝日のみ運行する。料金は乗車するコースにより大人1人2千円と3千円、昼食とウポポイ入場券付きが6500円。乗車券は6月2日から販売している。

 同社は「両地域を効率よく巡ることができるので、ぜひ、多くの皆さんに利用してもらいたい。現地を訪れてアイヌ文化に触れ、理解を深める機会にしてほしい」とPRに力を入れている。

https://www.kankokeizai.com/札幌観光バス、アイヌ文化の拠点巡る「セタプク/


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台湾とニュージーランド、先住民文化にスポットライトを当て深い文化的結びつきを再確認

2024-07-17 | 先住民族関連

時事通信 2024年07月16日17時44分

台湾、台北--(BUSINESS WIRE)-- (ビジネスワイヤ) -- ニュージーランド・台湾経済協力協定(ANZTEC)は2024年に11周年を迎えます。歴史的に、ニュージーランドのマオリの人々と台湾先住民の人々は、歴史的遺産を多く共有しています。マオリの起源は台湾であるという学説もあり、両国の先住民が文化遺産を共有していることから、盛んに交流が行われてきました。

本プレスリリースではマルチメディアを使用しています。リリースの全文はこちらをご覧ください。:https://www.businesswire.com/news/home/20240716890783/ja/

Rukai artist Eleng Luluan's artwork on display at the Govett-Brewster Art Gallery, as part of a collaborative initiative inviting four Taiwanese indigenous artists to create and exhibit their works in New Zealand. (Photo: Business Wire)

最近、台湾とニュージーランドはここ数年で最大規模の文化交流プログラムを開始しました。ニュージーランドのゴベット・ブリュースター美術館が、異なる部族出身の台湾先住民アーティストを4人招聘し、レジデンスプロジェクトを実施しています。7月6日から10月13日まで、彼らの作品は同美術館で開催される特別展「Without Centre, Without Limits」で展示されます。アーティストらは、地元の芸術機関やマオリのアーティストとのオンサイトの交流イベントにも参加し、オーストロネシア文化外交に新たな章を記します。

台湾とニュージーランドの先住民の交流には豊かな歴史があります。今年3月、ニュージーランドのオークランドで、ニュージーランドのマオリと台湾の16の先住民族をテーマにした油絵展が開催されました。作品は、2024年ニュージーランド台湾デーの期間や、マオリの集会場でも展示されました。4月には、マオリの文化パフォーマンスグループとニュージーランド・ロトルアの地元高校バスケットボールチームが台湾を訪れて、国を超えたバスケットボール親善試合と文化ダンス交流に参加し、台湾とニュージーランドの先住民の独自のつながりと友情を披露しました。

また、7月10日にニュージーランドで開催された第13回世界合唱大会には、30を超える国から1万人以上の合唱団が集まり、台湾の代表も活躍しました。台湾から出場したニブン合唱団、宝来中学校合唱団、カフザス児童合唱団が、先住民族や客家コミュニティの伝統的な曲を通して台湾の豊かな文化遺産を紹介し、台湾先住民芸術の文化的重要性を強調しました。

本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

businesswire.comでソースバージョンを見る:https://www.businesswire.com/news/home/20240716890783/ja/

https://www.jiji.com/jc/article?k=20240716890783&g=bw


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サングラス / Sunnies【ドラマ/11分】 おとなは、わかってくれない

2024-07-17 | 先住民族関連

SST Jul. 17, 2024

【あらすじ】
ある朝、問題を抱える不良少年のマルコムは、近所をぶらつき、店でサングラスを盗む。この万引きは、ある大きな計画の一部であった…。

Director

Ismail Khan
オーストラリア先住民族のWailwanとパキスタン人を祖先に持つ脚本家兼監督。Australian Film, Television and Radio School(AFTRS)の修士課程を修了したばかり。主に長編映画を開発し、監督することに関心がある。「サングラス」はAFTRSの卒業制作作品。

Info

製作国:オーストラリア
ジャンル:ドラマ
製作年:2021
上映時間:約11分
配信期間:2024/7/10~2024/10/10
上映歴:シドニー映画祭2021(シドニー、オーストラリア)
フリッカーフェスト(シドニー、オーストラリア)
ShortShorts Film Festival & Asia 2022

https://sst-online.jp/theater/15809/


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「ニューカレドニア独立運動」が浮き彫りにする太平洋諸島地域の地政学――日本は“懸け橋”になれるか

2024-07-17 | 先住民族関連

フォーサイト 2024年7月16日 黒崎岳大 

日本にとって、歴史的にもビジネスの面でも極めて関係の深いニューカレドニアの問題は他人事ではない[首都ヌーメアで独立派勢力の旗を掲げる人々=2024年5月13日](C)AFP=時事

太平洋に浮かぶフランスの海外領土ニューカレドニアでは、先住民カナックの抗議活動が暴動にまで発展した。フランス政府は独立派の背後に中国の工作を疑い、米国やオーストラリアと協力しながらメラネシア地域における中国の影響力拡大を牽制している。日本は7月16~18日、ニューカレドニアの自治政府大統領を含む島嶼国首脳らを東京に招き「第10回太平洋・島サミット」を開催する。太平洋における地政学的な競争が激化する中、日本が国際社会にどのようなメッセージを発するのかが注目される。

 2024年5月、南太平洋でも指折りのリゾート地であり、「天国にいちばん近い島」として知られるフランス領のニューカレドニアから、衝撃的なニュースが届いた。13日夜、ニューカレドニアの先住民カナックの若者たちが南部の中心都市(首都)ヌーメア郊外の幹線道路を占拠、車両に放火したり、商店に侵入して略奪を行うなどの大規模な暴動が発生した。現地からの報道によれば、この暴動で治安部隊の隊員2名を含む7人が死亡、90人以上が負傷する事態となった。また暴動に参加した若者たち約350人が拘束された。暴動時には観光客を含む約300人の日本人がニューカレドニアに滞在しており、空港が閉鎖されたことで海外へ逃れることができず、現地に住む日本人から事態の収拾が見えないことへの不安の声がインターネットを通じて届けられるなど、日本国内でもその深刻さを多くの人々が知ることになった。

 今回の暴動は、フランス本国で進められていた憲法改正の動きと深く関係している。従来ニューカレドニアでは先住民カナックの権利を守るという目的から、ニューカレドニアの地方選挙の参政権は「1998年以前にニューカレドニアで選挙人名簿に登録された者およびその子孫」に限定されてきた。しかし、今回の改正ではそれが緩和され、「ニューカレドニアに10年以上暮らす住民にまで拡大する」という案がフランス議会に提出され、賛成多数で可決されたのである。このことで、新たに移住してきた人々にも参政権が付与されることになり、先住民カナックは自分たちの票の重みが失われかねないと反発した。当初は抗議活動によるデモであったものが、徐々に暴動へ発展していき、上述の略奪や放火へとつながったのである。

 今回、カナックの若者たちの残虐な行為が映像で繰り返し放送されたこともあり、彼らに対して非難する声が大きかったように思われる。ただし、カナック側の視点から見ると、この暴動が起きたのは、これまでのフランスの植民地並びに海外領土という歴史の中で先住民の権利が十分尊重されてこなかったためであり、その歴史を知ることが必要だ。また、暴動の背景にはフランスとニューカレドニアという二者の関係にとどまらず、周辺諸国の思惑も大きく関与しており、太平洋諸島を取り巻く新たな国際秩序をめぐる動きの中で理解しなくてはならない。

住民がボイコットした3度目の住民投票

 ニューカレドニアがフランス領になったのは1853年である。当初フランスはこの地を流刑地としていたが、ニッケル鉱山が発見されるとヨーロッパやアジアから多くの移住者が次々とやってきた。フランスはニューカレドニアを植民地化する過程で、メラネシア系の先住民カナックから武力で土地を奪い、山間部に作られた居住地に強制的に移住させるなど、「土着民法」の下で彼らの権利を奪っていった。第二次世界大戦後、土着民法は廃止され、カナックも市民権を獲得したが、それでも彼らが従来住んでいた南部の地域には多くのヨーロッパ系住民が移り住んでおり、自分たちの土地を回復することはできなかった。

 1950年代になると、植民地独立問題に端を発して第四共和政が崩壊したフランス本国の政治状況の影響を受け、フランスに留学していたヨーロッパ系住民と協力して、カナックたちもフランスからの解放を求める反政府運動に参加するようになる。さらに1970年代に入ると、近隣のイギリス植民地であるパプアニューギニアやフィジーなどの独立達成を目にし、カナックも権利回復やフランスからの独立を目指していった。しかしながら、ニューカレドニアでは、フランス系をはじめとしたヨーロッパ系住民ら、独立に反対するグループが人口の多数を占めていた。そこでカナックは、自分たちの活動はフランスによって奪われた権利を回復する脱植民地運動であり、先住民文化を回復するための運動であると訴えた。1980年代以降、独立運動を牽引するカナック社会主義民族解放戦線(FLNKS)を中心に、各地で暴動が起こされ、ニューカレドニア全土に非常事態宣言が出されるほどにまでなった。

 フランス政府も国際社会からの注目が高まる中でカナックたちの要求を無視できなくなり、FLNKSとの間で協議が行われた。その結果、1988年にマティニョン協定が締結され、カナックの自治権拡大が約束された。さらに、1998年に結ばれたヌーメア協定では、2014年から18年までの間に独立の是非を問う住民投票を実施すること、否決された場合でも議会の3分の1以上の要請があれば、2020年、2022年と、最大3回まで住民投票を実施できることが決められた。

この続きは会員登録をすると読むことができます。

https://www.fsight.jp/articles/-/50744


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「地理を学ぶと人生が豊かになる」地理教育の専門家が語る地理の面白さ

2024-07-17 | 先住民族関連

ダイヤモンド 7/17(水) 6:02

 ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯の出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。そういった中で「世界の国々をざっと理解できる」「聞いたことがない国でもイメージが広がる」と支持されている本がある。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。

本書は世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、世界の重要問題をスッキリ理解することができる1冊だ。今回は本書の編著者である地理の専門家・井田仁康氏に「地理を学ぶ面白さ」について詳しく話を聞いた。

井田仁康(いだ・よしやす)

1958年生まれ。筑波大学名誉教授。博士(理学)。日本地理学会会長。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。著書に『ラブリーニュージーランド』(二宮書店)、『社会科教育と地域』(NSK)などがある。● 異文化への理解が深まる地理の学び

 ──井田先生は、長年にわたって地理教育にたずさわっていらっしゃいますが、地理を学ぶ面白さはどんなところにあると考えていますか?

 井田仁康(以下、井田):地理と聞くと「地形」や「気候」という言葉をまず連想する人も多いと思いますが、このような自然現象にかかわって人を知ることが地理の一番の面白さだと私は思っています。

 地理は、日本を含め、世界のいろんな国の特徴を学べる科目ですが、地理を学ぶ過程でその国に住んでいる人々の様子がだんだん理解できるようになります。

 たとえば、地理を学ぶうえで「自然災害」は1つの大きな観点としてあげられます。

 日本人が自然災害という言葉を聞くと、ほとんどの人がまず地震や津波、大雨による洪水などをイメージするのではないでしょうか。

 一方、現在のヨーロッパやアメリカで自然災害と言えば、山火事が特に大きな問題になっています。これは、主に乾燥や熱波が原因で発生していると考えられています。

 他にも、たとえばシンガポールは自然災害の少ない国ですが、デング熱(蚊を媒介とするウイルスの感染症)の流行が社会的な問題になっています。熱帯地域や亜熱帯地域で発生している問題です。

 こんなふうに自然災害と一言で言っても、住む場所によって状況は異なります。当たり前のことですが、国が異なれば異なる自然災害が発生し、人々は異なる社会問題に対処しながら生活をしています。

 1つの場所に住んでいると、その他の国の生活をイメージすることは難しいですし、知ろうと思うきっかけも少ないかもしれません。

 地理を学ぶと、自分と異なる場所に住む人々の暮らしに興味が湧いてくると思います。

● 海外と比較してわかる日本の食文化の特徴

 ──私たちの生活は、住んでいる場所の地理的な特性から大きな影響を受けているんですね。

 井田:たとえば、食文化について考えてみましょうか。

 日本は海に囲まれた島国ですので、魚や海産物が食文化に根付いていますよね。また、雨が比較的豊富で農業がしやすい土地ですので、よく野菜を食べます。寒い地域では野菜の漬物といった保存食が親しまれてきました。魚や野菜を中心とした食文化が発展してきた国だと思います。

 対照的に乾燥している国に目を向けると、野菜をあまり栽培できないので、肉食中心の食文化が見られます。

 たとえば、中央アジアの内陸国カザフスタンはほとんど乾燥地帯ですから、野菜は手に入りづらいんですね。そうなるとやっぱり肉料理が食生活の中心になります。羊肉や牛肉、ラクダの肉を食べることもあります。

 私がカザフスタンに行ったときには、朝から煮込みの肉料理が出てきて、そして昼も夜も肉料理……。慣れない日本人にとっては胃がもたれ、かなりこたえた思い出があります。

 ──肉をたくさん食べることが、カザフスタンで住む人にとっての日常なんですね。

 井田:そうですね。ちなみにカザフスタンの隣にウズベキスタンがありますよね。

 ウズベキスタンは河川の灌漑を利用して畑を作っていて、カザフスタンに比べると野菜を多く収穫できるんです。ですので、食べ物は結構異なります。

 ──隣の国でも、結構違うんですね。

 井田:そうなんです。あまり意識しないかもしれませんが、たとえば同じ日本国内であっても、地域によって食文化は異なります。

 もちろん、現代の日本では流通網が整備されているので、全国的に同じようなものを食べるようになってきていると思いますが、地域の独自の食文化は残っています。

 日本国内で言うと、昆虫食の食文化が根付いている地域があることはご存じでしょうか。長野県や山形県の内陸部では色々な種類の昆虫が食べられています。

 このような地域で昆虫食が根付いた要因の1つとして、海と接していない地域の人々がタンパク質を効率よく摂取するために、昆虫食が発展してきたと考えられます。

 以前、授業の中で昆虫食の話題を出した時に、多くの学生たちが昆虫を食べることに驚くような反応をしていたのですが、長野県出身の学生は「なんでそんなに不思議がるの」という反応でした。

 場所が違えば、人々の暮らしや価値観が違うことは当たり前のことです。日本国内でもそうなのですから、国外に出てみれば、さらに違いは大きくなるでしょう。

● 多文化が共存するニュージーランド

 井田:ニュージーランドで、現地の高校生に授業を行ったことがあります。

 日本の学校では、オーストラリアとニュージーランドは、同じオセアニア地域として教えているという話をしたら、「オーストラリアとは全然違う国なのに、なんで一緒に教えるの」と言われました。

 ニュージーランドの高校生がそう言うのも当然ですよね。世界的に見れば、ニュージーランドとオーストラリアは近い国かもしれませんが、私たちが暮らしている日本にも近隣の国々とは異なる文化や暮らしがあるように、2つの国はまったく違う国ですし、まったく異なる文化があります。

 ですので、世界地図を広げてひとつひとつの国を細かく見ていくと、それぞれの国の文化や暮らしがとても興味深く見えてくるんです。

 私の研究者としての本来のフィールドはオセアニアで、特にニュージーランドが専門なのですが、ニュージーランドについて私が1つとても興味深い国だなと感じる点は、先住民と移民の関係性です。

 ニュージーランドの住民は、主に先住民であるマオリと、後にヨーロッパから移住してきた人たちで構成されているのですが、彼らの共存がかなり上手くいっている国だと思います。

 たとえば、ニュージーランドでは英語だけでなくマオリ語も公用語なんですね。そうすると、国歌もマオリ語バージョンと英語バージョンがあって、それをみんなちゃんと覚えるんですよね。

 ニュージーランドの最高峰にマウントクックという山があります。マウントクックは英語の名前ですけれども、「アオラキ」というマオリ語の名前があって、両方の名前が地図や看板に併記されています。英語とマオリ語の2つの名前がこの山の正式名称なんです。

 他にも、たとえばラグビーのナショナルチーム「オールブラックス」が、試合前にハカを踊るのはよく知られていますよね。ハカはもともとマオリの踊りです。国の代表選手が、国際試合で、世界中の人が見ている中でハカを踊るということは、選手たちの中にマオリを代表しているという意識があるからではないでしょうか。

 ──どうしてニュージーランドでは、先住民と移民の共存が上手くいっているのでしょうか?

 井田:世界を見渡すと、先住民と移民との軋轢で、社会問題が生じている国はたくさんあります。

 たとえば、オーストラリアは先住民であるアボリジナルピープルに対する優遇政策をとっていますが、なかなか上手くはいっていません。優遇政策によって、かえって先住民が働く意欲をなくしてしまい、アルコール中毒や薬物中毒といった問題が生じています。カナダでも類似するような問題が起きています。

 ニュージーランドで先住民と移民が上手く共存できていることには、いろいろな理由があると思いますが、先住民の人口の割合がとても多いというのが1つの大きな理由だと考えられます。

 ニュージーランドの人口の割合を見ると、ヨーロッパ系の住民が7割程度、マオリは15%程度を占めています。

 先ほど例にあげたアボリジナルピープルの人口は、オーストラリア全体の人口のほんの数パーセントなので、マオリの割合がいかに大きいかということがわかると思います。

 ちなみに私がニュージーランドの現地で強く感じたことは、ニュージーランド人の「垣根がない、フレンドリーな国民性」です。

 私のような異国の人が道に迷っていると、すぐ横に人が来てくれてさっと助けてくれるんです。押し付けがましく何かを言ってくるわけではなく、「ああ、困ったな」と思っていると、自然と手を差し伸べてくれます。

 私にとってはものすごくありがたいことですが、現地の人を見ているとそれが全然特別なことじゃなくて、ごく普通の自然なことなんです。

 ──ひょっとすると、多文化の共存がそのような国民性につながっているのかもしれませんね。

 井田:そうかもしれません。色々と話が脱線してしまいましたが、地理の面白さは、自然現象の観察を通じて、自分とは異なる場所で暮らす人々の生活を知り、もっと理解したいという気持ちが湧いてくることだと思います。

 自分が住んでいる場所とは別の場所に目を向ければ、実にさまざまな価値観で暮らす人がいることを感じられます。世界を今よりも少し深く見てみたいと思ったときに、地理の知識が役立つのではないでしょうか。もし世界を旅する機会がある人であれば、現地で得られる発見や感動がきっと何倍にも大きくなると思います。

井田仁康

https://news.yahoo.co.jp/articles/a229dbb2fb01f0dcb8cf993211c3b6c845f15567


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