ELLE 2024/07/18
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20代の大臣や30代の首相などの若手から長年にわたり国を支えてきたベテラン陣まで、社会を変えてきた女性リーダーを紹介
BY SHINO NISHIZAWA公開日:
7月19日は「女性大臣の日」。日本で初めて女性大臣が誕生したことを記念し制定された日。日本の内閣では、現在、上川陽子外務大臣(71)や高市早苗経済安全保障担当大臣(63)を含め5人の女性大臣がいる。実はこれは過去最多の人数! そして選挙イヤーと呼ばれる今年は、各国でリーダーを決める重要な選挙がたくさん。これを機に世界でも女性リーダーが増えるかも⁉
「グローバルジェンダーギャップ指数ランキング」では、日本の政治部門のジェンダーギャップは146カ国中113位。2023年の138位から比較すると改善はしてるけど、G7(主要7カ国)のなかでは最下位という現実。世界を見渡せば人種や民族の壁を超えて重要なポジションに任命されたり、異例の若さで大臣に就任する女性がでてきている。そんな社会に変化をもたらしてきた女性たちを紹介! 逆境に負けず、リーダーとして人々に希望と勇気を与えてきた彼女たちの姿からパワーをもらえるはず。
(※)本記事は2024年7月16日時点の内容です。
1 カマラ・ハリス(アメリカ副大統領)
女性初、黒人初、南アジア系初のアメリカ副大統領。インドとジャマイカから移住してきた両親のもと、カリフォルニア州に生まれる。多様なバックグランドを持つ彼女の2020年の勝利宣言は、多くの女の子と女性たちに希望と勇気を与えたに違いない。「私は初めての女性副大統領になるかもしれませんが、決して最後ではありません。なぜなら、今夜この場面を見ているすべての少女たちが、アメリカは可能性に満ちた国だとわかったはずだからです」
今年の米大統領選で再選を狙うバイデン大統領は11月に82歳になる。その第一継承者として、60歳になるハリス副大統領も大注目されている。
2 デブ・ハーランド(アメリカ内務長官)
2021年に初めてネイティブ・アメリカンの女性が入閣するという歴史的な出来事が起こる。その人物が1960年生まれのデブ・ハーランド。ニューメキシコ大学のロースクールを卒業。彼女の家系は、ニューメキシコ州に土地を持つプエブロ・ラグナ族とつながっている。
自身の祖父母・父母世代のように、差別や迫害を受けてきたネイティブアメリカンコミュニティの復興のために尽力している。ほかにもハーランドは環境保護に強い関心を持ち、2030年までにアメリカの海の少なくとも30%を自然保護区化する目標を掲げている。
アメリカにはほかにも、ジャネット・イエレン財務長官、ジーナ・レモンド商務長官、ジェニファー・グランホルム エネルギー長官、アヴリル・ヘインズ国家情報長官などの女性大臣がいる。
3 エミリエ・エンゲル・メール(ノルウェー法務・公共安全大臣)
1993年生まれのエミリエ・エンゲル・メールが法務・公共安全大臣に就任したのは、2021年。当時の彼女はまだ28歳。ノルウェー史上最年少の女性大臣の誕生だった。
彼女の政治キャリアは、2013年から議員としてはじまる。就任直後はオスロでの銃撃事件など悲劇がつづき、大臣としてのリーダーシップが試されることに。国際協力の場では、防災分野でノルウェーを代表して国際的な取り組みをプレゼンしたりと存在感を高めている。
4 カリアンネ・トゥング(ノルウェーデジタル化・行政大臣)
ノルウェーに2024年にできたばかりのデジタル化推進を担う省庁で、初代デジタル化・行政大臣として就任したカリアンネ・トゥング。前例のないこのポジションに抜擢された彼女のバックグランドは?
2013年から国会議員としての経験も持っているトゥングは、大臣就任前までは、企業のCEOとしてデジタル化推進に取り組んでいた。まさに同ポジションに最適な人物! 「ノルウェーで最も重要な仕事の一つをはじめることを、とても楽しみにしています」と意気込みをインタビューで語っている。
「グローバルジェンダーギャップ指数ランキング」では、18年連続でジェンダー格差の少ない国トップ3にランクイン。ジェンダー平等を実現している国としてリードしているノルウェーだけど、彼女のリーダーシップでデジタル化でも、今後新たなお手本を見せてくれるかも⁉
ノルウェーでは、ルブナ・ジャフリ文化・平等大臣、マリアンネ・シーヴェットセン・ネス漁業・海洋政策大臣、アンネ・ベアテ・トヴィンネライム国際開発大臣など多くの女性大臣が重要なポジションで活躍中。
5 ロミーナ・ポルモクタリ(スウェーデン気候変動・環境大臣)
2022年に26歳の若さで気候変動・環境大臣に任命されたロミーナ・ポルモクタリ。スウェーデンといえば、10代から環境活動に参加するグレタ・トゥーンベリの出身国。気候変動の危険性について議論を巻き起こし、何百万人もの若者たちによる大規模な世界的運動を立ち上げた彼女の功績については、みんな聞いたことがあるかも。
ポルモクタリは、今年ケニア・ナイロビで開催された国際会議で、気候変動対策やプラスチック汚染対策、生物多様性への脅威への対応など重要課題を訴えるなど、気候変動・環境大臣として国際舞台でも存在感を見せる。
ストックホルム郊外のイラン系家庭に生まれる。学生の時から政治に関心があり、政党の青年組織のリーダーとして若い時から活動し、その後、スウェーデン史上最年少の大臣として就任。
スウェーデンでは、ほかにもエリサベト・スバンテッソン財務大臣やパリサ・リリェストランド文化大臣などの女性大臣がリーダーシップを発揮している。
6 オーロール・ベルジェ(フランス女男平等・差別対策担当大臣)
2024年1月に誕生したフランス史上最年少34歳のガブリエル・アタル首相による新内閣。その新体制下でフランス女男平等・差別対策担当大臣に抜擢されたのが、1986年生まれのオーロール・ベルジェ。
フランスはUN Womenの活動を積極的にサポートしている国の一つ。エマニュエル・マクロン現大統領も、ジェンダー平等を任期中の大義と宣言してきた。そして今年の3月、彼女が同ポジションを務めるなか、議会で憲法に女性が人工妊娠中絶を選ぶ自由を含める改正案が可決。アメリカを発端に、世界的に中絶をめぐる女性の権利の侵害が懸念されているなか、憲法に中絶権が明記される世界で初めての国となった。
7 シアオメイチン(台湾副総統)
2024年5月20日から台湾の副総統に就任した彼女は、実は兵庫県・神戸生まれ。1971年生まれの彼女は台湾人の父とアメリカ人の母のもとで日本で育ち、アメリカで政治学を学ぶ。2020年から2023年まで台湾の駐米代表を務め、この期間中に米台関係を強化し、コロナ禍にも多くの外交的成果を上げた。
ワシントン駐在の際に、当時飼っていた猫4匹を連れて行くことをインタビューで話していたことも影響したのか、彼女の外交スタイルを中国の攻撃的な「ウルフ・ウォリアー」に対して、柔軟で巧妙な「キャット・ウォリアー」と評価する声も。同性婚法案の提出者であり、台湾が2019年にアジアで初めて同性婚を合法化するのに貢献した一人でもある。
8 ジョルジャ・メローニ(イタリア首相)
イタリア初の女性首相になったのは、今年47歳のジョルジャ・メローニ。15歳で政治活動に参加、21歳でローマ県議会議員に選出、そして31歳で当時のベルルスコーニ政権下でイタリア史上最年少の青年大臣に任命されるという、40代にしてすでに政治活動歴が30年近い彼女。そんな政治エリートな彼女は、一体どんな人物なのか?
ローマ生まれのメローニは労働者階級の家庭で母親に育てられる。彼女自身は結婚はしていないが、長年のパートナーであった相手との間に一人の娘ができる。しかし2023年にパートナーの不適切な行動が原因で別れたことを発表している。カトリック教徒の彼女はプロ・ライフ(※)の立場をとっており、「自然な家族にYES!LGBT運動にNO!」などと公言。外交政策も含め保守的な傾向の政策には、国内外で賛否両論の声があがっているけど、一国の女性リーダーとして注目されていることには間違いなし。
(※)プロ・ライフとは、英語で直訳すると「命に賛成」(Pro=賛成、Life=命)。人工妊娠中絶に反対する考え方を意味し、胎児の命重視を強調。その反対である中絶容認派は「プロ・チョイス(選択)」と表現され、産むかどうかは女性の「選択」に委ねられるべきだという立場。
9 ハトラ・トーマスドッティル(アイスランド次期大統領)
アイスランドでは女性実業家としてのイメージが強いハラ・トーマスドッティルは、今年の6月の大統領選で当選し、8月1日から大統領に就任する。持続可能なビジネスを推進する非営利組織のCEOでもある彼女は、アリゾナ州立大学で国際経営学を学び、ビジネスマンとしてのキャリアをアメリカでスタート。その後、女性主導の投資会社を立ち上げるなど、ビジネスの世界における女性の視点や女性のリーダーシップを推し進めてきた。
彼女が大統領選に挑戦したのはこれが2度目。今回の当選で2016年の大統領選のリベンジを果たしたことに。これまでの彼女の実業家としての手腕が政治の場でも通用するのか期待大!
10 レイチェル・リーブス(イギリス財務大臣)
2024年7月4日の総選挙で政権が交代したイギリス。キア・スターマー新首相が発表した人事に女性初の財務大臣として載っていたのがレイチェル・リーブス。閣僚25人中11人が女性で、女性の入閣は過去最多となった。
イギリスの初の女性首相マーガレット・サッチャー政権が誕生した1979年に生まれた彼女は負けん気の強い少女だったよう。地元のチェス競技大会で並み居る強豪(相手は男の子)を打ち負かすことに誇りを持っていたとか。あるインタビューでは、過去の財務大臣に女性がいなかったことに対し、気後れしたりしないのかとの質問に「男性か女性かは関係ないですし、私がインポスター症候群(※)である必要もないのです」ときっぱり。
オックスフォード大学卒業。その後、大企業ゴールドマンサックスから誘いがかかるも、イングランド銀行(中央銀行)のエコノミストとして働く。高額の報酬ではなく、役に立つなにかを選択したかったという。芯の強い彼女の活躍で、今後もガラスの天井を破っていってほしい。
新内閣には、アンジェラ・レイナー副首相、イベット・クーパー内務大臣、リサ・ナンディ文化・メディア・スポーツ大臣などの女性大臣が新たに就任している。
(※)インポスター症候群とは、自分の能力を認められない心理傾向。成功しても「自分の実力ではなく運が良かったから」と考えてしまうことを指す。
11 リーッカ・プッラ(フィンランド財務大臣)
トップクラスレベルのジェンダー平等を実現しているフィンランド。その国で「フィンランドのサッチャー」と呼ばれる人物がリーッカ・プッラ。彼女はその公共支出の削減を支持する立場と強硬な移民対策が、かつてのイギリスの首相サッチャーの政策に似ているとの評判。予算削減発表時には、笑顔でハサミを持つ写真をSNSに投稿し、大きな議論を巻き起こしたこともある。
インタビューで彼女は12歳の時に母親を亡くしたことを語っていて、その経験が自身の成長に大きな影響を与えていると回答。つらかった時期があったおかげで、強い意思とリーダーシップを身に着けることができたとも話している。
1977年生まれ。大学で社会科学の修士号を取得。2019年からフィンランド議会のメンバーとして活動し、財務大臣に任命されたのは去年6月のこと。
12 エリナ・バルトネン(フィンランド外務大臣)
ヘルシンキ大学で工学と商学を学んだエリナ・バルトネンは、政治家になる前、フィンランドの大手金融機関で経済アナリストとして働いていた。2014年から同国議会のメンバーを務め、2023年に外務大臣にのぼりつめる。ウクライナ危機のなか、フィンランドのNATO加盟などの重要な外交政策をリードしてきた。
フィンランドでは、外務大臣や財務大臣のほかに、アナ・カイサ・イコネン地方行政大臣、レーナ・メリ法務大臣、マリ・ランタネン内務大臣などそのほか大勢の女性大臣が活躍中!
13 メッテ・フレデリクセン(デンマーク首相)
女性としてデンマーク史上2人目の首相。そして41歳という最年少の若さで就任した首相でもあるメッテ・フレデリクセン。 一時期はヨーロッパ最大の毛皮産業に壊滅的な打撃を与える問題を起こし支持率が急降下。しかし解散選挙に追い込まれるというピンチを乗り越え、現在も首相をつづける。
そんなフレデリクセン首相が話題になったのが、コロナ禍で全国的に休校&自宅待機となった時期に行った「子どものための記者会見」。自身も子どもを持つ母親であるメッテ。ストレスや不安をためはじめている子どもに寄り添い、やさしく、わかりやすい言葉づかいで子どもの質問に対応したことが賞賛の的となり、他国でも報道されることとなった。
14 ヴィオラ・アムヘルト(スイス大統領)
スイス初の女性国防大臣も務めたヴィオラ・アムヘルトは、2024年に大統領に就任。国防大臣として、スイス軍における女性の参画を増やすことに努力してきた彼女のバックグランドは弁護士。
1962年に彼女はカトリック教徒の両親の間に生まれる。その後、両親は離婚。姉とは非常に仲が良いとか。アムヘルト本人は独身で子どもはいないが、彼女にとって子どもや若者の保護、児童虐待防止は優先課題の一つ。また自身の母親が認知症だったことから、認知症ケアの充実にも力を注いでいて、彼女の家族や他者への強い愛情が見える。
スイスは副大統領もカリン・ケラー=ズッターという女性が務めている。
15 ディアナ・エレナ・モンディーノ(アルゼンチン外務・通商・宗務大臣)
マラドーナやメッシなどレジェンド級のサッカー選手が生まれた国でもあるアルゼンチン。その国土は日本の約26倍の広さに相当する。そんな広大な土地を持つ国で、経済学者として培ってきた経済&金融の専門知識を活かして、大臣に任命されたのがディアナ・モンディーノ。2023年12月に任命された彼女の任期中の目標は、アルゼンチンの国際的な地位を向上すること。
経済学の学士号とMBAを取得。さまざまな企業の取締役も務めた経験のある彼女。学術界、経済界、そして政界と股にかける彼女のパワフルな活躍には誰もが圧倒されてしまうかも。
16 エヴィカ・スィリニャ(ラトビア首相)
エヴィカ・スィリニャがラトビアで2人目の女性首相になったのは2023年9月のこと。2022年から2023年まで福祉大臣として重要な役割を担ってきた彼女が首相として掲げた目標の一つは、STEM教育(※)の強化。リガ工科大学(RTU)が世界のトップ500の大学の一つになることを目指している。RTUはQS世界大学ランキングで2023年から順位を上げて、現在721位から730位の範囲に! ちなみに1位は12年連続でマサチューセッツ工科大学(MIT)。日本の大学は東京大学が最も高く、28位にランクイン。
ラトビアの科学技術のレベルは、東ヨーロッパおよびバルト地域のなかで比較的高いと評価されることも。今後も彼女のリーダーシップで向上していくこと、期待大!
ラトビアでは、バイバ・ブラジェ外務大臣、アンダ・チャクシャ教育科学大臣、アグネス・レイス文化大臣などの女性大臣が政治の舞台でリーダーとして活躍している。
(※)STEM教育のSTEMとは(Science, Technology, Engineering, Mathematics)のことで、科学、技術、工学、数学の教育分野を総称した言葉。
17 フローア・アッヘマ(オランダ保健・福祉・スポーツ大臣)
2024年7月2日に任命されたばかりのフローア・アッヘマ。1976年生まれの彼女のバックグランドは建築。アムステルダムで建築の修士号を取得し、建築事務所でデザイナーとして働いていた彼女。政治キャリアのスタートは、州議会議員としてデビューした2003年のこと。
建築家だった彼女が政治家への転身を考えたのは、多発性硬化症と診断されたとき。建築家としてのキャリアは断念しなければいけないとわかったときに、人生の方向性を見直した結果、政治家の道へ。医療への深い関心から、より手頃な価格の医療サービスを提供するための改革を目指している。
彼女のほかにも、モナ・カイザー住宅・国土計画大臣やソフィー・ヘルマンス気候・グリーン成長大臣など、オランダ政府のなかで重要な役割を果たしている女性たちがいる。
18 アミーナ・パンガンダーマン(フィリピン予算管理大臣)
キリスト教が大多数のフィリピンで、2022年に初のムスリムの予算長官として歴史をつくったアミーナ・パンガンダーマン。開発経済学の修士号をとっていた彼女は、はじめは研究者としてキャリアをスタート。その後、上院議員のスタッフとして勤務。この期間に国家予算の策定について学ぶ。業務のデジタル化にも取り組む。
プライベートでは、仕事で忙しいスケジュールのなかでも家族や友人、そして愛犬ビンビーと一緒に過ごす時間を大切にしているという。
ほかにもフィリピンには、環境保護と気候変動対策のリーダーとしてマリア・ユーロ=ロイザガ環境天然資源大臣やクリスティーナ・フラスコ観光大臣などもいる。
19 ドロウパディー・ムルム(インド大統領)
インド初の先住民族の大統領で、2人目の女性大統領として2022年に就任したのがドロウパディー・ムルム。大学で芸術学士号を取得していた彼女は、はじめは教育者として働きはじめたが、その後に政治の道へ。私生活では2009年から2015年のわずか6年の間に、夫と息子2人、そして実の弟を次々に亡くすなど悲劇に見舞われた彼女だが、その2015年にジャールカンド州初の女性知事に抜擢。政治家として開花。彼女は先住民族の権利を守るために拒否権を行使するなど、しばしば州政府と対立することもあったとか。
権力の座にのぼりつめても、先住民族としてのアイデンティティはずっと失われることはなかった彼女の大統領就任によって、特に貧困層や先住民族の社会的地位向上に期待が集まっている。
20 ガブリエラ・ソメルフェルド(エクアドル外務・移民大臣)
あの有名観光地ガラパゴス諸島は、エクアドルの一部。その自然豊かで美しい国の外務・移民大臣を務めるのが、ガブリエラ・ソメルフェルド。彼女がCEOを務めたエクアドルの航空会社は、彼女の指導によって国内市場のシェアを大幅にUPするなど経営手腕はピカイチ。
もともと環境保全問題に関心があり、ガラパゴス諸島の保護に取り組む財団の理事を務めたり、温室効果ガスの排出を実質ゼロにしていると認定を受けたホテル・ル・パルクを経営していたりなど、解決のための行動力も高い彼女。気候変動への国際的な協調もリードしてくれると期待したい!
2023年11月に同大臣に就任。
21 クリスティーン・カンガルー(トリニダード・トバゴ大統領)
カリブ海に位置する島国トリニダード・トバゴがイギリスから独立したのは1962年のこと。その短い歴史のなかの7人目の大統領であり、2人目の女性大統領となったのがクリスティーン・カンガルー。これまで上院議長を務めながら、リーダーとしての頭角を現してきた。
2023年の就任演説では、大統領職の役割を国民に理解しやすくしたいとスピーチ。より親しみのあるリーダーになろうとする彼女の姿勢に心を打たれたはず。スピーチの最後には20年以上連れ添った夫に感謝の気持ちも忘れず添えられ、彼女のやさしさがにじみ出ていた。
22 セリンダ・ソサ・ルンダ(ボリビア外務大臣)
2023年に外務大臣に就任したセリンダ・ソサ・ルンダのトレードマークは帽子。ボリビアでは先住民族のなかでも女性たちが、それぞれ特徴の違った帽子をかぶる帽子文化がある。彼女がかぶる帽子は、派手さのおさえられたダークな色合いのものが多い。
彼女は外務大臣になる以前にも、別のポジションで農村地域の開発を推し進めてきた人物。多くの農村コミュニティを支援してきた彼女がいま外務大臣として重要視しているのが、主要な貿易相手国との協力関係の強化だ。就任以降、中国を訪問したり、ブラジルと会談を行っている。今年61歳。
23 ジャナイナ・テワネイ・メンコモ(パナマ外務大臣)
パナマ運河を中心とした貿易と輸送がメインの産業であるパナマ。パナマシティは、有数の国際的なビジネスハブとしても知られている。この国で2022年に外務大臣に任命されたジャナイナ・テワネイ・メンコモが力を入れているのが、環境保護。
国際的な水資源の持続可能な利用と保護の条約にラテンアメリカで初めて参加することになるなど、功績を残している。そんな彼女は今年40歳を迎えるという将来有望の大臣。
24 フロイラ・サラーム(ベリーズ総督)
日本の四国の約1.5倍ほどの大きさしかない中央アメリカに位置するベリーズ。その先住民マヤ族の血を引く女性として初めて総督になったフロイラ・サラーム。アメリカやイギリスでも学びを深めつつも、自身の文化的ルーツを大切にしている。
彼女はこれまでにもマヤ文化にある伝統的なハーブ医療や文化的な儀式に深い理解を持ち、それを現代社会に引き継ぐための活動を行っている。地域社会の伝統を守りながら、ベリーズらしい発展のあり方を模索しているたくましい女性リーダーだ。
25 ディナ・エルシリア・ボルアルテ・セガラ(ペルー大統領)
2022年にペルーで初の女性大統領として就任したディナ・ボルアルテ。2021年に副大統領として選出されてからの昇格だ。政界に入るまでは弁護士としての経歴を持ち、2007年から2022年まで、国民登録局で身分証明書の発行や出生、死亡、結婚、離婚の記録管理に携わっていた。
ジェンダー間の賃金格差や、女性に対する暴力の問題などのジェンダーギャップがあるペルーで、女性の大統領誕生は歴史的な瞬間。そんな彼女は1962年に、なんと14人兄弟の末っ子として生まれる。パワフルな彼女の活躍は、生まれた時から大家族の競争社会で鍛えあげられたおかげかも⁉ これを皮切りに次なる女性リーダーが生まれることを期待!
26 シオマラ・カストロ(ホンジュラス大統領)
2022年にホンジュラスの初の女性大統領となったシオマラ・カストロは、同国の女性問題に長年取り組んできた人物。そんな彼女は、2006年から2009年までファーストレディ。当時のマヌエル・セラヤ大統領を支えながら、4人の子どもを育ててきた彼女は、ファーストレディ時代から貧困対策に力を注いできた。
大統領選では掲げていた女性の権利向上や貧困問題解決の目標が支持を集め、歴代最多の得票数で当選! 就任式では「我が国の少女たちが暴力のない国で暮らせるように全力を尽くす」と改めてパワフルな決意を表明した。
27 カヤ・カッラス(エストニア首相)
IT先進国エストニアは、世界で初めて国政選挙にも電子投票を導入した国。その国で2021年、女性初の首相に就任したのがカヤ・カッラス。1977年生まれの彼女は政界に入るまで、ヨーロッパやエストニアの独占禁止法を専門とする弁護士として活躍していた。
就任当初からロシアのウクライナ侵攻に対する強硬な路線が支持を集めている彼女。最近でもロシアに外国首脳として初めて指名手配されたが、ひるまない姿勢を見せた。
28 グレース・フー(シンガポール持続可能性・環境大臣)
東南アジアに位置する小さな多民族国家のシンガポールは、高度な教育システムと緑豊かな都市があることでも名高い国。ガーデン・シティとしても評価が高いこの国の持続可能性・環境大臣を務めるのが1964年生まれのグレース・フー。
1985年に銀行員としてキャリアをスタート。ほかの企業でも財務とマーケティングのさまざまなポジションを歴任。2006年から国会議員として政界に入り、現職には2020年に就任。2024年にはシンガポール国家オリンピック評議会の会長に選出され、国内のスポーツ振興に尽力するなど、多様なポジションでリーダーシップを発揮している。
そんな彼女はプライベートで、ランニング、ヨガ、ハイキングなどのアクティブなライフスタイルをエンジョイ。結婚しており、3人の息子の母でもある。
29 カテリナ・サケラロプル(ギリシャ大統領)
2018年に国家評議会の初の女性議長になったカテリナ・サケラロプルは、さらに2020年にギリシャの初の女性大統領に! アテネとパリで法律を学んだ彼女は、弱き者に寄り添う一国のリーダーだ。
ギリシャは政治の舞台で重要なポジションに就く女性の数が、ほかのヨーロッパ諸国に比べて少ないため、彼女は女性の権利やジェンダー平等の促進に注力している。ほかにも性的マイノリティのコミュニティに対する偏見や差別をなくすための取り組みを実施したり、難民・移民支援活動にも前向きで、経済危機やパンデミックのなかでも難民支援をつづけた。まさに人権派の大統領!
ギリシャには、ほかにもリナ・メンドーニ文化大臣、ニキ・ケラメオス内務大臣、オルガ・ケファロヤニ観光大臣などの女性大臣がいる。
30 ドニカ・ゲルヴァラ(コソボ副首相兼外務・海外居住者大臣)
古代から近現代まで他国に支配されてきた長い歴史を持ち、1999年の紛争を経て、2008年にやっと独立を宣言したコソボ。1971年生まれのドニカ・ゲルヴァラは、独立宣言前後のコソボを知る人物の一人。コソボがユーゴスラビアの一部として統合されていた時代に、彼女は迫害を受けていた反体制派の父親を持ち、8歳の時に家族と一緒にドイツに移住。1982年には父親と叔父、友人が暗殺されるという悲劇にあう。
ゲルヴァラはドイツで政治活動をはじめ、コソボ独立のために学生運動に参加したり、10万人もの市民が参加する大規模なデモを組織したりする。2019年にコソボに戻り、現在の地位に就いたのは、2021年3月のこと。家族を失う辛い出来事を乗り越えて、コソボの国際的な認知度を高めるために、さまざまな国との関係強化に力を注いでいる。
31 ナターシャ・ピルツ=ムサル(スロベニア大統領)
2022年に大統領に就任したナターシャ・ピルツ=ムサルの特徴はさまざまな業界でのキャリア! テレビでニュースキャスターを長年務め、BBCやロイターでもインターンシップを経験した彼女。それ以外にも法学の博士号を取得した彼女は、人権弁護士としての経験も持つ。また同国の情報コミッショナーとして、個人情報の保護や情報アクセスの課題に対応してきた。
選挙では性的マイノリティの権利の擁護や気候変動対策などリベラルな政策が支持獲得につながり、保守派を負かして当選。
32 ターニャ・ファヨン(スロベニア副首相兼外務大臣)
2022年からスロベニアの外務大臣として活躍しているのが、1971年生まれのターニャ・ファヨン。大学でジャーナリズムを専攻し、ジャーナリストとしてキャリアをスタート。スロベニアのEU加盟交渉を取材してきた。欧州議会議員として政治家キャリアをスタートしたのは2009年。
プライベートでは、20歳の時に白血病と闘った過去があることをオープンにしている彼女。今年の世界希少・難治性疾患の日に発信されたメッセージは、難病に苦しんだ彼女だからこそいえるものかもしれない。「健康は私たちが持っている最大のものです。みなさんの回復を祈っています。そして健康に気を配ることを忘れないようにしましょう」
スロベニアでは、ドミニカ・シュヴァルツ=ピパン法務大臣、アレンカ・ブラトゥシェク元首相、現インフラ担当大臣などの女性大臣が政治の場で重要な役割を担っている。
33 ハジャ・ラビブ(ベルギー外務欧州問題・対外貿易・連邦文化施設大臣)
政治経験をほとんど持たなかったハジャ・ラビブの外務大臣任命は、ベルギーの人々にとって驚きのニュース! そんな彼女のバックグランドは、ジャーナリスト。国営放送局で20年以上ニュースアンカーを務め、アフガニスタンや中東の戦争、イスラエルの紛争など、数多くの国際問題を報道してきた。「それ(現場での取材)は危険なことでした。でも歴史の証人になりたいと思う私にとって、なにが起きているのかを説明し、世界をよりよく理解することに貢献できることは特権でした」と現地メディアに語る彼女。
彼女は同時にアフガニスタンの女性、ベルギーの北アフリカ系移民の女性、ケニアの村の女性など、さまざまな題材のドキュメンタリー作品も撮影している。信頼性のある彼女の報道と豊富な国際経験がこの異例の抜擢につながったのかも⁉
リュディヴィーヌ・ドゥドンデ防衛大臣、ザキア・カタビ環境・気候・持続可能な開発・グリーンディール大臣など、ベルギーでは多くの女性大臣が国の政治をリードしている。
34 イザベル・ベロ・アマデイ(モナコ対外関係・協力大臣)
フランスの地中海沿岸に位置する小さな国、モナコ。モナコの美しい海岸線や豪華なホテル、カジノ、ラグジュアリーなライフスタイルが観光客を魅了し、多くの富裕層に人気の地。モナコ出身のイザベル・ベロ・アマデイはフランスで法律を学び、モナコの裁判所の裁判官を務めるなど法曹として長年キャリアを築いてきた人物。
2015年以降、外交官として活躍しはじめ、2022年に現在の大臣の地位に。モナコでの女性の権利向上にも強い関心があり、女性の権利委員会の議長も務めている。1965年生まれの一児の母。
35 アナレーナ・ベアボック(ドイツ外務大臣)
2021年からドイツ初の女性外相として活躍しているのが、1980年生まれのアナレーナ・ベアボック。ドイツとイギリスで政治学と法学を学んだ。
2018年~2022年の間、環境保護を柱に掲げる「緑の党」の共同代表を務めていた彼女。「化石燃料から脱却していく」という文言が初めて記録された2023年の気候変動対策の国際会議(COP28)では、「この合意はスタート地点に過ぎない」と語り、ドイツの気候変動対策への本気度を改めて示した。
36 ドミニク・ハスラー(リヒテンシュタイン外務・教育・スポーツ大臣)
世界で6番目に小さい国、リヒテンシュタインはスイスとオーストリアに挟まれた内陸国。その小ささと美しい自然環境から「アルプスの楽園」と呼ばれることも。同国で2017年から2021年まで内務・教育・環境大臣を務め、2021年から外務・教育・スポーツ大臣として活躍しているのが、今年46歳のドミニク・ハスラー。
学生時代をリヒテンシュタインとスイスで過ごし、特別支援教育の教師としてキャリアをスタートしたハスラー。リヒテンシュタインのさまざまな教育機関で働いた経歴を持つ。
リヒテンシュタインでは、インフラ・法務大臣としてグラツィエラ・マロック=ヴァハターや、彼女と同世代のザビーネ・モナウニ環境・経済・内務大臣などの女性が同国の発展のために活躍している。
37 サンドラ・プルネッラ・メイソン(バルバドス大統領)
バルバドスはカリブ海に浮かぶ、日本の種子島とほぼ同じ面積の小さな島国。その国で初代大統領として活躍しているのが、サンドラ・プルネッラ・メイソン。1949年生まれの彼女はバルバドスで、同国弁護士協会に初めて女性として加入したり、最高裁判所の女性初の控訴裁判官を務めたりするなど、あらゆるポジションを初の女性として経験してきた。
国連の子どもの権利委員会で1991年から1999年まで活動し、ベネズエラやチリ、コロンビア、ブラジルで大使としても活躍してきた。2021年にバルバドスが共和国に移行するときに初代大統領に選出。彼女の大統領就任は、バルバドスが完全に独立した国としての新たな歩みを進めた象徴でもあった。
ほかにも、バルバドスには女性初の首相ミア・モトリーがリーダーシップを発揮している。
38 マイア・サンドゥ(モルドバ大統領)
ルーマニアとウクライナに挟まれた国モルドバで、2020年に同国初の女性大統領として選ばれたマイア・サンドゥ。敗れてしまった2016年の大統領選では、女性であることを理由に侮辱や差別的発言を受けることもあったという。落選当時のインタビューでは、「人は、性別、宗教、言語、民族の基準ではなく、プロフェッショナリズムに基づいて判断されるべきです。大統領といったリーダーの地位に就くのに、女性が男性よりも準備不足だとは思いません」と語った彼女。このようなジェンダー不平等があるなかで、一国のリーダーの座を女性が勝ち取ったことは大きなこと。これからもステレオタイプの声に負けずに、活躍してほしい!
モルドバでは、サンドゥ以外の女性大臣としてヴェロニカ・ミハイロフ=モラル法務大臣が重要な役割を果たしている。
39 イングリダ・シモニーテ(リトアニア首相)
2020年からリトアニアの2人目の女性首相を務めるイングリダ・シモニーテの強みは経済の知識。学士号も修士号も経済学の彼女は税務局局長、財務省次官、財務大臣とキャリアを重ね、財政赤字の削減と経済の安定化に尽力してきた。
首相という仕事のかたわらで、コロナ禍にさまざまなNGOのボランティア活動に参加。現在はウクライナからの避難民支援に積極的に関わっているという。首相というだけでも忙しいはずなのに、ボランティア活動にも参加するその奉仕の精神に感服!
現在、アウシュリネ・アルモナイテ経済・イノベーション大臣、アグネ・ビロタイテ内務大臣などの女性大臣がシモニーテ政権下でリーダーシップを発揮している。
40 サロメ・ズラビシヴィリ(ジョージア大統領)
ジョージア初の女性大統領であるサロメ・ズラビシヴィリの生まれは、フランスのパリ。フランスとアメリカで学位を取得し、外交官としてのキャリアをフランス外務省でスタート。なぜフランス生まれの彼女がジョージアの大統領になったのか?
実は彼女の両親は当時のソ連がジョージアを占領したあとにフランスに亡命した政治家の家系。彼女自身はフランスで育ちながらも、ジョージアの文化や歴史に深い理解と関心を持っていたという。フランスとジョージアの両国の同意を得て、ジョージアの外務大臣に任命された。そして2018年に、これまでの彼女の高い外交能力や国際的な視野と経験を評価され現在の地位に。2度の結婚を経験。最初の結婚で2人の子どもを授かっている。
ジョージアでは、アフヴレディアニ和解・市民平等問題担当国務大臣も女性リーダーとしてズラビシヴィリ政権下で活躍中!
41 アレクサンドラ・ヒル(エルサルバドル外務大臣)
日本の九州地方よりも小さいエルサルバドルは、かつて世界第3位のコーヒー生産国でもあった国。その国の国際的な地位を上げるために、2019年から外務大臣として活躍しているのがアレクサンドラ・ヒル。
再生可能エネルギーの普及を推進したり、他国との外交関係強化を戦略的に進めたりするなど、国内外でさまざまな取り組みを行っている。
42 シルビー・バイポ=テモン(中央アフリカ外務・フランス語圏・在外国民大臣)
1960年にフランスから独立した中央アフリカは、手つかずの大自然に恵まれ、希少な動物が生息しているなど生物多様性の宝庫! 地球の恵みにあふれるこの国でシルビー・バイポ=テモンは、2018年に外務大臣に就任。それ以降、同国の持続的な平和のために励んできた。
彼女は、学生時代とキャリアの初期をフランスで過ごし、合計18年間を同国で過ごす。高等教育を受け、海外でも活躍していたバイポ=テモンだが、中央アフリカはジェンダー格差が最も高い国の一つで、191カ国中188位。女性の政治参加や教育機会が限定的な現状で、彼女のような女性が活躍していることは中央アフリカの希望なはず! これからもリーダーシップを発揮して、彼女につづく女性リーダーが生まれることを期待したい。
43 バトムンフ・バトツェツェグ(モンゴル外務大臣)
2016年から2020年までモンゴルの外務副大臣を務め、48歳になった2021年に現在の外務大臣の座に就く。女性の地位向上に取り組んでいて、1990年までは10%以下だった女性の外務省職員も、現在では、職員と管理職それぞれの半数を女性が占めるように。
モンゴルとオランダで国際関係学と経営学を学び、モンゴル語のほかに英語とロシア語を流暢に話す。3人の子どもの母親。
44 ヴェロニカ・ナタニエル・マカモ・デリョーヴォ(モザンビーク外務大臣)
日本から飛行機で約20時間はかかる遠い国モザンビーク。地理的には遠いこの二国には昔から関係が。さかのぼること約400年前、初めて日本人がアフリカに降り立ったのが、モザンビーク島の港だったといわれている(外務省)。そんな歴史的なつながりがあるモザンビークが、独立したのは1975年。ヴェロニカ・ナタニエル・マカモ・デリョーヴォは独立前に生まれ、大学で法律を学んだあと、弁護士としてさまざまな役職を歴任。政治家としてのキャリアをスタートさせてからは、モザンビーク独立後初の女性議会議長となるなど活躍。国際的な舞台でも活躍し、2020年からモザンビークの外相に就任。
モザンビークには、カルメリタ・リタ・ナマシュルア教育・人間開発大臣、エルデビナ・マテルラ文化観光大臣など多くの女性が重要なポジションに就任し、それぞれの力を発揮中!
45 サーラ・クーゴンゲルワ=アマディーラ(ナミビア首相)
2015年から女性初の首相としてクーゴンゲルワが活躍しているナミビアは、ジェンダー格差が最も少ない国の一つ。「グローバルジェンダーギャップ指数ランキング」では2022年版から3年連続で8位にランクイン。重要ポストへの女性の登用を積極的に進めていて、女性の労働参加率は55.42%、企業の管理職に女性が占める比率も43.57%と高い。
今年57歳になるクーゴンゲルワ首相は、アメリカの大学で教育を受ける。若い頃から政治家として実績を積み、現在のジェンダー格差が最も少ない国を支えてきた一人でもある。
ナミビアの副大統領もネトゥンボ・ナンディ=ンダイトワという女性が務めている。
46 スリ・ムルヤニ・インドラワティ(インドネシア財務大臣)
インドネシアの「鉄の女」、スリ・ムルヤニ・インドラワティが初めて財務大臣に就任したのは2005年のこと。それから2010年まで、そして2016年以降再び財務大臣として、経済改革と汚職撲滅に尽力。インドネシアの経済を安定させることに貢献した。
アメリカ国際開発庁(USAID)のコンサルタントや世界銀行のマネージングディレクター兼COO、国際通貨基金(IMF)のエグゼクティブディレクターを務めるなど、グローバルな経歴を持つ彼女。2008年フォーブス誌の「世界で最も影響力のある女性」第23位にランクイン。
インドネシアには、ほかにも女性初の外務大臣になったルトノ・マルスディやシティ・ヌルバヤ・バカール環境林業大臣などがいる。
47 シェイク・ハシナ(バングラデシュ首相)
「バングラデシュ独立の父」で初代大統領ムジブル・ラーマンの長女として生まれたシェイク・ハシナ。父親、母親、弟を暗殺され、イギリスとインドで亡命生活を送る。その後、1981年に帰国。それ以降、貧困撲滅のために献身的な活動をつづけ、首相の地位に初めて就いたのは1996年のこと。
早稲田大学の名誉博士号を授与されているハシナ首相は日本との関係が深く、これまでに5回の来日を果たしている。父親譲りの強い個性を持った意思と信念の人とされ、かつて「世界最貧国」とまでいわれた同国の繁栄のため、力を注いでいる。
https://www.elle.com/jp/culture/career/g61246059/minister-ladies-240718-hns/