赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

『涙倉の夢』柏葉幸子

2017-08-14 08:24:10 | その他
先が気になってページをめくる手が止まらない、そんなファンタジー作品に久々出会いました。

『涙倉の夢』柏葉さんの最新作です
涙倉というのは、三番目の倉。たいしたものははいっていません。おしおきで閉じ込められることもあるというから、それで涙倉というんだそうです。
その涙倉の中から不思議な世界へ導かれるように行きます。

柏葉さんの作品はファンタジーであっても、魔法がつかえて解決というのでも、妖精が力をかしてくれて解決というのでもありません。主人公が知恵をしぼり、中の登場人物を協力して少しずつ謎をあかしていきます。
今回もそう。いきなりあらわれた不思議な世界。それを一枚一枚薄紙をはがしていくように謎を解決していってくれます。たくみに張った伏線が最後にすっきり解決してくれているので、読んでいてとてもきもちがいい。そして自然と人間との関わりに、深みも感じます。

盛岡在住の柏葉さん。その地をいかして柏葉さんならではの(似たものが他にない)、ファンタジーになっています。舞台の八巻市は、花巻市をモデルにしたのでしょうか? 花巻ならたくさん温泉宿があります。
東北は倉が多い地でもあります。
さがえと屋号で呼ばれる古い温泉宿。わたり廊下で続いている宿の風景。日本の原風景のような土地が下敷きになっているので、どこかなつかしさも感じる作品です。

柏葉さんは、20代からずっと一線で書き続けてきています。これはもう、すごいの一言。
今年はもうすぐ『竜によばれた娘』の続編がでるそうでとても楽しみ。わたしはこの『竜によばれた娘』が大好きで再読したばかり。早く読みたくて、うずうずします。