今年(2024)の1月に入って早々のこと、「71Aシングル」アンプを「LS7(英国GEC)シングル」に代える「改造話」の記事をご記憶だろうか。
右側のアンプが今回改造の対象となった「71Aシングル」アンプ、ちなみに左側は「2A3シングル」で、出力管は「VISSEAUX」(フランス:刻印)。
改造するに至った理由は二つあって、今後「LS7」を前段管として使う見込みが無くなったものの、希少な「ナス管」だし、オークションに出すには忍びないと未練が残ったこと、もう一つはそっくり同じ「71Aシングル」アンプをもう1台持っている、ということによる。
改造者は10年近くお付き合いのある「N」さん(大分市)で、腕前の方は誰もが認める保証付きの大ベテランである。
ご自宅に持ち込んだのが2週間ほど前で回路図が出来上がったのが1週間ほど前のこと。画像として表示できないのが残念なほどの極めて緻密な回路図だった。
「これでいいですから進めてください。しかし、71Aを上回る音が出ますかね?」
「ハイ、まったくやってみないと判りません。これから改造するための部品を集めます」
ワクワクしながら待つこと5日あまり、昨日(28日)になって、ようやくうれしい一報が入ってきた。
「出来上がりましたよ・・、今アルテックのA5で鳴らしてますが、堂々とした音が出てますよ」
「エ~ッ、すぐ取りに行きます!」
大いに気が逸(はや)るが、こういう時こそ運転は慎重に~(笑)。
いつもの45分程度で無事到着。さっそく聴かせてもらった。
「パワー不足をいちばん心配してましたが、これだけあれば十分ですね。安心しました!」
「ハイ、我が家のWE300Bシングルとまったく遜色がありませんね・・、これだけの音が出れば十分でしょう。LS7ってとてもいい球ですね。感心しました。アメリカ球とは明らかに一線を画していますよ」
丁度(アンプの)裏蓋を外されていたので、この際とばかり「携帯」でパチリ。
定評のある「シルヴァード・マイカコンデンサー」(左下部の茶色)を、カップリングコンデンサーとして使ってもらった。
「アンプのボリュームを絞ってみますからスピーカーにピッタリ耳を付けてください・・、どうです、ハムノイズがまったく聴こえないでしょう・・。アースとグリッドラインの調整で完璧に抑えるコツを習得しましたよ」
まったく・・、九州の片田舎に置いておくにはもったいないほどのお方である(笑)。
部品代と「雀の涙」ほどの手間賃(笑)をお支払いして、ワクワクしながら帰途に就いた。
このアンプでぜひ「AXIOM80」を鳴らしたい一心である。
アンプを所定の位置に据え付けてパチリ・・、「オール・ナス管」の威容をとくとご覧あれ~。
世界で唯一のアンプなので、改めて概要を記録しておこう。
左側の前段管は「AC/HL」(英国マツダ:初期版)、中央部の出力管は「LS7」(英国:GEC)、右側の整流管は「ナス管の80」(アメリカ)
で、夕食前とあって準備万端怠りなく「AXIOM80」を鳴らす前に「音を音楽に変換する」肝心の「脳」をとりあえず ”ほぐして” おくことにした(笑)。
日本酒はめったに飲まないのだが、知人から頂いたこの「東一」(あずまいち)だけは別格で実に口あたりがいい。これに「橙」を少し絞って入れてやると、「香り・品格」ともに特上の味わいとなる。
で、ちびりちびりやりながら「AXIOM80」に耳を傾けた。まさに「至福の時間」だな~(笑)。
極めて気難しくて用心深い「AXIOM80」は慎重にアンプを選ぶ。
気に入らないアンプだと中高音域がキャンキャンと甲高い音を出してあからさまに拒否する、ところが・・、このアンプだと絹のように滑らかな肌触りを醸し出してくるのに驚いた。
「気品と色気」が見事に両立している・・、このサウンドにこれ以上何を望むことがあろうか。
ちなみに、オーディオ最大の難問とされる「低音」なんかどうでもよくなるのが不思議で、「お前は朝令暮改だ」と言われてもしかたがないなあ(笑)。
このアンプは「帯に短し、たすきに長し」の我が家のアンプ群(9台)の中で最高峰に位置することは間違いなし。
今年一番の収穫が早々に登場しましたぞ~、やはり無謀といえどもチャレンジはしてみるものですな。
改めて「オーディオの原点は行動力だ」を実感しました。
このサウンドはぜひ仲間たちにも聴いてもらいたいなあ~(笑)。