「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

ミステリー2冊~読書コーナー~

2024年12月18日 | 読書コーナー

「杉江 松恋(Sugie Mckoy)」氏の著作「日本の犯罪小説」を一読したところ、たいへんな力作だと思った。



あまりにも丹念かつ詳細な考証に「書き下ろし」ではこうも行くまいと思っていたところ、やはり「ジャーロ」というミステリー雑誌に隔月で3年間に亘って連載されたものを集大成した本だった。

ミステリー・ファンには一読の価値ありです。

ちなみにペンネームの「松恋」を「マッコイ」と読ませる粋なネーミングに感心しました(笑)。

たしかジャズ・ピアニストに「マッコイ・タイナー」という人が居ましたよね。

それでは、ネットレヴューから2件引用。

「帯文の言葉を借りると、本書は〝18人の作家の創作の秘密に、「犯罪」のキーワードから迫る、迫真の文芸評論〟だ。まったく手を出していなかった作家さんもいれば、既読ながらすっかり忘れている作品もあったが、読んでみたくなったり、読み返したくなった作品がわんさか。

この作家さんはこんな経緯であのスタイルに辿り着いたのか、なども興味深く、とにかくなるほどの連続だった。杉江氏の豊富な知識と真摯な眼差しで記された作家論・作品論集であり、自分にとっては、めちゃくちゃおもしろい「犯罪小説」の参考書兼副読本。付箋まみれですわよ。」

2件目

「普段からYouTubeでわかりやすくミステリを紹介されているので、ついつい作者の本も買ってしまうが犯罪小説という切り口の本はあまりなくて、ミステリの書評は数あれどあまり取り上げられてこなった作家も読めて興味深いですが、本人のせいではないが、労作だと思うけどやや高い値段設定が悔やまれる。」

次いで、「松本清張はよみがえる~国民作家の名作への旅~」


国民的作家といえばイメージとして浮かぶのはまず「司馬遼太郎」さんだが、「松本清張」さんだって引けを取らないと思う。

本書の前書きにこうある。

「戦後日本を代表するベストセラー作家であり、映像メディアの世界にも巨大な足跡を残した国民作家だった。映画化された作品が36本、ドラマ化された作品は無数にあり、放送回数は千回をゆうに超える。「張り込み」「一年半待て」「霧の旗」「天城越え」「わるいやつら」「黒革の手帳」などの映像作品が時間を経ても変化しない人間の欲望や感情を巧みにとらえている。」

たとえば、毎月、1か月間のテレビ番組を紹介した「デジタルTVガイド」を購入しているが、頻繁に見かけるのが「清張ミステリー」と銘打った2時間番組で、膨大な量に上るミステリー作品をもはや録画する気になれないほど繰り返し、繰り返し放映されている。

しかも社会派という色彩が色濃く反映されており、ありふれた市井の人間がふとしたきっかけで犯罪者や被害者になる怖さといったら・・、いつの時代にもありそうな話なので古びた感じがしないところも、今でも重宝されている理由だろう。それに「タイトルの命名」が実に巧いと思う。

「ゼロの焦点」「点と線」「波の塔」「歪(ゆが)んだ複写」「球形の荒野」「時間の習俗」「Dの複合」「砂漠の塩」「砂の器」

次いで、ネットレヴューから4件紹介。

「清張の代表作50作を紹介した入門書。作品のテーマ、当時の世相、題材となった事件、作者の思想を一作一作丁寧に解説している。面白いのは作品ごとに他の作家の類似作を挙げていること、例えば「張込み」には角田光代の「空中庭園」のように。これが50作全部に。それから文中しきりに「感情の訛り」という言い回しが使われているがこれは清張の文章にはないように思うので、著者の造語だろうか。特に注釈もなくて気になる表現だ。清張の作中人物に見られる特有の感情の動きを指しているようで、分かったような分からないような不思議な表現だ。」

「2022~3年にかけて西日本新聞に連載されたものとのこと。筆者の印象に残る50作を、年代順に並べて粗筋や見どころの紹介をしている。なかなか読み応えがあって良かった。あと表紙もそうだけど鉛筆画?の挿絵のインパクトと味がすごい。時々恐い。連載時にも掲載されていたのかな。 未読作品中、気になるものを図書館のリストに登録していたら、『花実のない森』が2冊とも貸出中だった。きっとこの本の影響だ!」

「オススメの清張作品を50個、挿し絵付きで紹介している。作品の概略と、類似した現代小説も紹介されており読書体験が広がりそう。また、清張さんが作家になる前の戦中戦後の苦難がどのように作品に影響しているかという言及もあった。

私は、松本清張記念館でそのような苦難を初めて知り、それがきっかけで作家本人を好きになった経緯があるのでここは興味深かった。挿し絵もとても良い!ポストカードがあれば買いたい!まず挿し絵だけ見て作品名を当てるゲームをひとりでしていた。難問多し(笑)『西郷札』は秀作だった。」

「清張の作品解説として面白く読み通した。ドラマや映画などの映像が清張作品を高めたのは確か。未だに時代に合わせた変化を持たせながら発展しているのもすごいと思う。筆者が挙げた類似作を読んでみようと思う。」

清張さんに興味のある方は一読の価値ありです。

厳冬期は出歩く機会が少なくなるので、「読書とオーディオ」にピッタリの季節だと思うんだけどなあ~(笑)。



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