「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

南スコットランドからの「ウマさん」便り

2024年06月30日 | ウマさん便り

前回のブログ「イギリス人の おちょぼ口」と題して紹介したイギリス人気質について、いちばん詳しいのは長年日本人として現地に暮らされている「ウマさん」のはず・・、そこで、拙文の末尾に「ご意見をお聞かせくださいな」と、あつかましくも勝手に振ったところ、さすがに 筆まめ なウマさん・・、すぐにメールをいただきました。

ついでといっては恐縮ですが、この際最近いただいたお便りをまとめて「3題」紹介させていただきます。

☆ 「忍耐」

「ご意見をお聞かせくださいな」…と言うことだけど…

長年住んでて思うんだけど、英国人には、間違いなく忍耐強さがあると思うなあ。そして、それが社会的規範にまで昇華していると感じる。
どう言うことか?

例えば、スーパーのレジ(英語→キャッシャー)で客が並んでいる…
ある客がレジのおばちゃんの知り合いなのか、どうでもいい世間話をぺちゃくちゃやっている…並んでる他のおばちゃんたち、きっとイライラしてると思うよ。

だって人間だもんね。ところがや、文句を言うおばちゃんを見たことは今まで一度もない。これが僕の出身の大阪やったら…「ちょっとちょっと、あんたらええ加減にしなはれ!ンとにもう…」英国のおばちゃんたち、なぜ文句を言わないか? …「文句を言うのはハシタナイ」と言う社会的規範があるからとちゃうやろか?


何年か前の年末…僕の姉が大阪から来ていた時…
クリスマス後に二人で街に買い物に出た帰り…近郊では最大のランダバウト(交差点代わりの大きなサークル)に入った途端、車が動かなくなった。

年末、しかも夕方のラッシュ時で、何台もの巨大なトレーラーを始め、ひしめく多くの車で混乱を極めてしまった。姉が「押してみる」とは言うものの、僕の車は1.8トンもある。交通が完全に麻痺した状態の中、元中学体育教師だった姉の(火事場の)馬鹿ちからで、車をランダバウトの外に押し出すことが出来た。よかった。

帰宅後、姉が言った。「ウマなあ、あんな交通渋滞で大混乱やったのに、クラクションを鳴らす車が一台もなかったなあ」

「クラクションを鳴らすのははしたない」…英国人は忍耐強いと言うことですね。

そうそう、ブログの主どのも忍耐強いと思うなあ。だってさあ…
毎日毎日、取っ替え引っ替え、ああでもないこうでもない…かくもアンプやスピーカーをいじり倒す忍耐強さ!スゲェー

☆ 「ソプラノ歌手 レグラ・ミューレマン」



いやあ、癒されますねえ、レグラ・ミューレマン。

ほとんど音楽に関心を示さない女房ですが、どう言うわけか、昔から「ソルヴェイグの歌」は大好きだと言います。

カラヤン指揮のオーケストラによる「ソルヴェイグの歌」は、時々聴いているようですが、そんな彼女にレグラ・ミューレマンを聴かせました。

すると…「癒されるなあ…」
そうそう、音楽大好き人間の長男ジェイミーもいつだったか「ソルヴェイグの歌は大好きや」と言ってたのを思い出しました。
 
レグラ・ミューレマンの歌声に健気さを感じるのは僕だけかな?
ねえ、主どの、やっぱり見た目も大事だよねえ。美人で健気…しかも癒される声…
もう、言うことなし! サンキューでっせぇー!

☆ 「ヴァイオリンの名器」

「ストラディバリウス」「グヮルネリ」「アマティ」などの名器は広く知られてますけど、そのほかにも多くの名器があるようですね。
奏者の愛器を、ほんの少しだけ調べてみました。
 
ヨーゼフ・シゲティ…1694年製と1724年製「ストラディバリウス」1710製年「ピエトロ」1710年製「グヮルネリ」1740年製「カルロ・ベルゴンツィ」
 
D・オイストラフ…1705年製 「ストラディバリウス・マルシック」
 
ズッカーマン…1699年製 「カルロ・ジョゼッぺ・テストール」
 
「ピエトロ」「カルロ・ベルゴンツィ」「カルロ・ジョゼッぺ・テストール」なんて名器があるんですね。
 
木野雅之…1776年製 「ロレンツォ・ストリオーニ」
 
巨匠ルッジェーロ・リッチが引退を表明した時、その愛器を譲る相手を、世界中にいる弟子達の中から木野を選びました。LAのリッチ宅へその名器を受け取りに出かける前日、大阪で僕と呑んでた木野はやや興奮してました。師匠のリッチは「お金はいつでもいいよ」…ところが、まだ若い奥さんは、こっそり「木野、いつ払ってくれる?」(笑)
 
スコットランドの我が家を自分のリゾートハウスだと思ってる木野は、しょっちゅううちに滞在しますが、そのたびにキッチンで焼酎を呑みながら演奏してくれます。

上記のシゲティの1724年製「ストラディバリウス」ズッカーマンの「カルロ・ジョゼッぺ・テストール」なども、うちのキッチンで鳴りました。ズッカーマンから、当時の金額で6千万円で譲ってもらったそうですが、後年、彼から返して欲しいと言われた木野は「ダメ!」(笑)
 
ある時「長年欲しかった弓をとうとう手に入れた」と大喜びの木野…「楽器屋が僕の熱意に折れて、かなりまけてくれた」

でいくらだった?「千二百万円!」ギョッ! 馬のしっぽが千二百万円?
その後、彼は毎月50万円づつ支払っていたけど、もう全部支払い終えたようです。彼が言うに、弓はフランス製がいいそうです。
 
世界最高の「ストラディバリウス」は、クレモナのヴァイオリン・ミュージアムにあり、もちろん値段などありません。その超々名器が一度だけ日本で披露されたことがありましたが、選ばれた奏者が木野でした。彼、曰く…「文句なく素晴らしい。ねぇねぇ、ウマ!買って!」(笑)
 
余談ですが、パガニーニ生誕200年の時、木野は、パガニーニが実際に使っていた愛器をパガニーニの墓の前で演奏し、その様子はヨーロッパのテレビで放映されました。

以上、ウマさん・・、このブログに彩を添えていただき大変ありがとうございました!


 

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