今回の大相撲名古屋場所は新型コロナウイルス問題が発生してから初めて両国国技館を離れて地方で開く大相撲場所と成った。テレビ中継を見ても此れまでの場所よりは可也人が入って居て応援は拍手のみで声援は禁止されて居た様だが矢張り無観客場所よりは賑わいも有り漸く本来の大相撲地方場所と成って居た。
其れと『横綱 白鵬』の長い休場明けの進退を掛けて出場する場所で有った事と、片や大関まで上り詰めた『大関 照ノ富士』が怪我で序二段まで陥落した後に優勝を重ね大関に返り咲き、然も今場所は綱取りを掛けた場所であった事から特に注目された大相撲場所で然も其の両力士が昨日まで14連勝で勝ち進み、今日の千秋楽で両力士が激突し雌雄を決すると成ると此れを見逃す事は出来ずに今日は何時も寄り早い時間帯からテレビの前で待ち構えた。
私は両力士のファンでは無かったが照ノ富士関の過去3場所の取り組みを見て居ると此れまでの実績に裏打ちされた自信に満ち溢れた風格と土俵上の取り組みの安定感は既に横綱相撲で誰よりも強い感じがして居たし、今場所の取り組み内容を見て居ると今場所の優勝に一番近い力士と確信していた。
反して長い間、休場して居た横綱白鵬は春に痛めた場所の手術を受けた様で不安視されて居たが過去に超人的な44回の優勝した程の力士なので10日目辺りからは此の侭に連勝を重ねひょっとすると千秋楽に照ノ富士との決戦に成るのでは?と思ったが正に其の通りに成って仕舞った。
私としては此の力士のファンでは無いが怪我で地獄を味わった照ノ富士関には又と無い横綱昇進へのチャンスが巡って来たので今までの努力に対する御褒美として全勝優勝して貰い、文句の付け様の無い形で横綱昇進をして貰いたい気持ちで勝負を見守ったが勝敗は横綱の白鵬に輝いた。今場所は照ノ富士の実に沈着冷静な取り組みが続いて居たのに、白鵬の立会いの「かちあげ」(多分此れは予想して居たと思うが)其の後の強力な張り手を喰らった瞬間に照ノ富士が一寸冷静さを失い、張り手で応酬し事で少しバランスを崩して仕舞った。私は此の冷静さを欠いた事が勝敗を分けた様に感じた。照ノ富士に先日までの冷静さがあったら勝機も十分にあったろうと思うと一寸残念な気がして成らない。
厳しい勝負の世界の事なので仕方が無いが大横綱として名声を得て居る割には、兎角、指摘される資質に欠ける白鵬は勝負には勝ったが前日の立ち合いと云い横綱らしからぬ取り口で恥をかいたが本人が此れを恥とは思わぬ処に問題があるし、其れを強く指導出来ない相撲協会にも大きな問題がある。
そうしてもっと問題なのは日本人力士の不甲斐なさ!今場所の成績優秀者の殆どはモンゴル出身の力士ばかりで日本人力士の活躍は余り無かった。私は此の様な資質に欠ける横綱を蹴落とす実力のある関取さんの出現を心待ちにして居るのだが果たして現れるのだろうか?先行きが一寸心配である。