今回の北海道の移動運用で発電機を駆けて運用中に突然発電機のエンジンの回転が乱調子に成り最終的には停止してしまいスターター・ロープを引くと直ぐに始動し発電動作もするのだが始動回数が多く成る度に動作する時間が短くなるトラブルに悩まされた。最初に症状が出たのは礼文町での運用時で有った。
今回の旅立ちの前に発電機のテスト運用をしたらエンジンが回らず点検したらキャブレターの中の燃料に水状のものが入って居たのでキャブレターの分解掃除と燃料タンクの洗浄を行い1時間くらいテスト運転したら正常に運転したので問題無いと車に積み込んだ。此の段階では原因として燃料タンクに少量残っていたガソリンが劣化した事が主たる原因と思っていた。北海道での最初の運用地の幌延町ではトラブルは無かったが2番目の運用地の礼文町で最初のトラブルが発生し、翌朝に一番に可能性のあるキャブレターを分解掃除して組み上げたが直らずオイルとエアーフィルターを交換したら(其の時に原因とは考えにくかったが?)その後は問題なく枝幸町、羅臼町、鶴居村、様似町、占冠村と長時間動作したので納得はいかなかったが何と無く安心していた。
そして今回の中富良野町でトラブルは再発した。症状の出るまでの1~1時間半は問題なく稼動するが一度症状が発生すると後は10~15分毎にエンジンの回転が乱調子に成って最終的に停まり其の時間間隔は段々と短くなる事から多分原因は燃料系であることは解っていたがキャブレターは分解し確認しているし???運用後の西山さん(JI3BKF)とのラグチューの中で「キャブレター・クリーナーを使ってノズルの掃除をしてみたら?」との意見が有ったので早速に中富良野町のスーパーセンター・ベストムの駐車場に車を停めてクリーナーを購入し駐車場で点検を始めた。最初はノズルが特殊な工具で無いと外れないのでノズルを外さ無い状態でスプレーを何回も吹き付け洗浄して組み上げてエンジンを駆けたが同じ状態、こうなればノズルを取り外し確認するしか無いと思い再びホーム・センターに入り高い工具を購入しノズルを取り外し目視したが詰まっている様には見えなかったが燃料が入る側から親の敵の様にスプレーを掛け捲った、ノズルの先は凄く小さい穴で在ったが其の穴から洗浄液が飛ぶのが見えたので此の段階でノズルの詰まりが原因で無い事だけは判明した。
エンジン・オイルとエアー・フィルターを交換しキャブレターが正常だと移動先での対応は万策尽きた感じ、嫌な感じが頭を過ぎったが最初の始動時は1時間ほど回る事から電気的な制御回路やプラグや点火回路に問題は無いだろうし?「冷静に成らなければ冷静に」と彼是考えている内にヒントらしいものが浮かんだ。其れは移動運用が終わった最後の保管の時にタンクとキャブレターに残ったガソリンを使い切る為に空運転動作をさせるのだが燃料を使い切る時の動作と今回の症状が類似している事、「矢張り原因は燃料系でしかない」と確信を持った。だとすると残りは燃料コックとコックとキャブレターを接続するゴムパイプしか関係するものは無い事と成る。コックとコック内のフィルターは礼文町のトラブルの時に確認済み、再度コック部分を点検したが問題は無かった。
残るは燃料コックからキャブレターの間を接続するゴムホースしかない。確かに此の発電機を購入したときから燃料コックからキャブレターの頭の燃料取入れ口の位置関係は近い割りに長いホースを使っていてホースの中央部はU字形の底の部分に成って居てその曲がりは可也窮屈な状態には成っていた。しかし天下のヤマハの発電機、私は不思議には思ったが購入後4年間は全くトラブルが無かったので安心仕切っていた。「まさか?」とは思ったが長年、家電の修理現場に居て難故障で苦労するのは自分の思い込みや修理手法の選択間違いで墓穴を掘る事が多い。「まさか?まさか?」と呟きながらゴム・ホースを半分の長さにカットして取付けると少し曲がりの窮屈さが取れた。エンジンを駆けて10分、20分、30分と運転を続けても発電機が停止する事は無かった。
原因はエンジン近くに位置する燃料ホースが時間と共にエンジンの熱で膨張して其の膨張力は燃料パイプの一番曲がったU字型の底の部分に集中しパイプの流量断面積を小さくする事により燃料の流量が段々と減り最終的には乱調子に成りエンジンが停止する事が解った。症状が場所によって出たり出なかったりしたのは多分運用地点の外気温が関係していたのでは?と考える。枝幸、羅臼、美幌峠、鶴居、様似、占冠で症状が出なかったのは位置的に北で在ったり海抜が高く外気温が低い条件下での使用状態であったからだろう。其の点、北海道の富良野の近辺は道内でも気温の高い所、其れだけにエンジン熱による燃料パイプの熱膨張が早く進んだと考えられる。
此の発電機が4年間トラブルが無かったのに今回の移動運用で急に症状が出始めた原因は思わぬところに有った。2013年の移動時に島根県隠岐郡西ノ島町の魔天崖の駐車場で此の発電機は観光バスがバック中にバスと縁石に挟まれタンクが傷付くと同時にパイプ・フレームが可也変形してしまった。多分其の時に変形したパイプに取り付けられた燃料タンクの位置が微妙に変化しタンクに取り付けられたコック部とキャブレターを接続するゴム・ホースの位置関係が変化し其の事が今回のトラブルに繋がった様に思われる。此の複線が無ければ今回の様に悩むことは無かったと思うが其れにしても物事の対処や機器の修理の段階で思い込み程、怖い物はない事を今更に思い知らされた。
私事ですが、この夏友人に貸していたヤマハの2.5kwインバーター発電機が現場作業中にユンボがあたって変形してしまいました。タンク、エンジン本体にはクラックなどは無かったのですが、スターターロープが引けない状態になってました。その後、箱入りの新品が私の元に返ってきました。