「本山寺」は香川県三豊市に在る高野山真言宗の寺院で、山号は七宝山(しっぽうざん)院号は持宝院で鎌倉時代再建の本堂は国宝で、本尊は馬頭観音菩薩。四国八十八箇所霊場・第七十番札所である。
寺伝に寄れば、大同2年(807年)、平城天皇の勅願寺として、空海(弘法大師)が自ら刻んだ馬頭観世音菩薩像を本尊、阿弥陀如来と薬師如来を脇侍として開創し長福寺と称したと云う。此の時、本堂は僅か一夜で出来たという「一夜建立」の伝説がある。
中世には寺領2000石、24坊を持つ大寺と成って栄えたが天正年間(1573年~1593年)、長宗我部氏の戦いに寄り讃岐国の主要寺院の大半は兵火を受けた。当寺も例外では無く諸堂を焼失したが、境内に攻め入る兵士に切られながらも止めようとする住職を振り切って攻め入った兵士が、本堂内陣の厨子を開いたところ阿弥陀如来の体から血が滴り落ちるのを見て驚き、本堂(国宝)と仁王門(重要文化財)は焼かずに撤退したと云う。其の阿弥陀如来は「太刀受けの弥陀」と呼ばれる。其の後、江戸時代には領主の生駒氏と京極氏に寄り再興され、天保年間(1830年~1844年)には本山寺と改称されて現在に至る。
又、境内には明治29年(1896年)に着工、明治43年(1910年)に完成した五重の塔が2015年に解体修理が着工され、今年の4月9日に竣工された立派な五重塔が聳え立っていた。