パオと高床

あこがれの移動と定住

ウォレスとグルミット

2006-03-29 14:37:41 | 雑感
「野菜畑で大ピンチ」を見にいきました。
よくできてました。じゅうぶん楽しめました。
狼男ならぬウサギ男のおかしさと、その誕生の怖さ。いろんなモンスター映画に対するパロディ精神が溢れていました。
90分の時間がちょうどいい長さに感じられ、テンポの良さと内容の充実度がうまくマッチしていたような。
とにかく射撃したがる男の欲とかいうのもスマートに、でもしっかりといぎたなく描かれていました。
奇才の発明家ウォレスと冷静かつ情熱家でパワフルなグルミット。
近々、テレビで短編シリーズが放映されるらしいので、またまた見ようっと。
それにしても、ラストのクレジットの制作メンバーの多いこと。この作品を作る大変さをみせられたような気がしました。
ウォレスの服の着方やユーモアにイギリスっぽさを感じました。
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山口修『中国史を語る』(山川出版社)

2006-03-22 09:53:17 | 国内・エッセイ・評論
中国の歴史の大きな流れを見てみたくて読んだ。山川出版だけに、教科書的に流れを見渡せて、てきぱきと手際よく整理されていた。地図もあったし。
それでも、やはり歴史に学ぶという姿勢は貫かれていて、中国の王朝の移り変わりの中で、現代中国への流れのようなものが感じられるようにはできている。
北と南のせめぎ合い、西と東の攻防と、民族が広大な大地で版図を蠢かせていく様子がダイナミックだ。
個人的には明、清、中華民国、現在への流れと、北方の動向の箇所が参考になったかな。


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司馬遼太郎『韃靼疾風録』(中公文庫)

2006-03-15 14:28:15 | 国内・小説
この人の小説を読むと、面白さと同時にとても知識が豊かになったような気がする。歴史が大きな固まりとして自分の全身を包んだような感じにとらわれる。
17世紀、明から清への移り変わりの激動期を、その場に遭遇することになった日本人桂庄助と女真族の公主アビアの運命を中心に描き出していく。
当時の日本と大陸の関係や、海洋交流の歴史。華である明と蛮夷である周辺民族の関係。農耕と牧畜の文化的相違。文明と文化の違い。儒教を巡る明と朝鮮と日本の位置。さらに歴史が沸騰する、躍動するとはどういうことか等を巡っての司馬節が炸裂している。
1987年、日本のバブルという異常な時代に、世界の変動に個人の翻弄を絡めて描き出された本書は、その後の世界史的なベルリンの壁崩壊、ソ連解体、湾岸戦争などの激動と絡めて考えると古武士的な庄助の姿と鎖国によって閉ざされた日本の状況などが妙に意味を持ってしまうような気がしたりもする。
また、この作品には司馬遼太郎の『街道をゆく』での江南の旅やモンゴルの旅、またシルクロードへの旅の成果と憧れが凝縮されていて、厚く迫ってくる。
長い「あとがき」も読ませる。


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