パオと高床

あこがれの移動と定住

鑑真がきた

2007-07-21 07:44:08 | 雑感
鑑真和上展に行く。金堂平成大修理期間の諸国行脚だろうか。
何といっても座像が素晴らしかった。
実際は軽いのだそうだが、その量感は存在感があり、きれいで穏やかな、それでいて毅然としているとでもいえそうな表情には思わず見とれてしまう。息づかいが聞こえてきそうな。
コピーは<世界の「大事」を見に行く。>なかなかだ。
金堂の仏像も展示されており、8世紀頃の立像の美しさを感じることができる。全体に量感がある感じがした。さらに、唐から同行した仏師による立像は、解説にも書かれていたが、石彫のような印象を与えるものもあった。
書や勅額、舎利容器なども見事なものだった。
あっ、それから、戒壇の場が作られていたのは、よかった。
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安永徹・市野あゆみと九州交響楽団

2007-07-16 01:23:16 | 雑感
またまた、コンサートに行く。モーツァルトの交響曲41番「ジュピター」とピアノ協奏曲22番にバッハのヴァイオリン協奏曲1番。曲からいっても、安心して楽しめるもの。安永徹のヴァイオリンの音がよかった。
指揮者がいない形式だったので、全体のアンサンブルはちょっとと思うところもあったが、幸せになれる曲に包まれた気分。交響曲41番は、いろいろあるかもしれないけれど、もうこれで交響曲の作曲は終わりだよって思わせるものがある。しかもハ長調だ。第一楽章に酔い、終楽章の降ってくる音の流れの心地よさは、やっぱり、いいよモーツァルト。
バッハの旋律は、そのくり返しの美しさと厳かな佇まいにうれしくなる。
九州交響楽団、がんばって下さい。
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陳真『北京暮らし今昔』(里文出版)

2007-07-15 01:32:18 | 海外・エッセイ・評論
中国に最初に行ったのは1988年だったか。その後93年から毎年一回は中国を訪れた。旅行者として。ただ広大な中国だ、行った場所をその国全体として語ることができるのだろうか。日本だって、日本としてくくっちゃって全てじゃないはずだ。日本はちょっと「?」もつくが・・・。

場所に生きた人の生がいきる文章がある。それは、その人が、自分自身の人生を引き受けた所にあるいさぎよさが、凛として響く文章だ。かつて、須賀敦子さんの文章にボクは絶句した。その衝撃とは違うかもしれない。しかし、陳真さんの「北京」は、彼女の生が慈しまれる場所で、彼女が慈しんだ場所を活写している。変化をただ喜ぶのではない。回顧を愛でるわけでもない。生活の場所が、いかに本人と人々の時間の積み上げの上に成立しているものか、だからこそ、今生きている自分たちの場所こそがそこにある場所であるのだという「今昔」の今が語られる。

自転車が減った中国。そう言えば最初に中国のケンタで食べた鶏の美味しさや吉野家のミックス丼を思い出した。マックの前で記念写真を撮っていた時代からそれが普通に日常化した現在。ゴミ箱の変遷。年収の金額の上昇変化。生活の豊かさと年金。「地書」「四合院」「水」「結婚式」と、話題は中国の今を伝えていく。その淡々とした文章に宿る情感は何だろう。時代は常に生活者のものであるべきだと、突然、ボクは思う。その一点を強く感じさせる。

NHKの「中国語講座テキスト」のコラムが元だという一冊。日本と中国の間には、国交のための友好のための、多くの人の人生がかかっているのだと思う。
作者陳真さんの人生も壮絶でありながら、しかし、穏やかさへと向かうものであったのかもしれない。

今、中国の持つ問題点がニュースで報道されている。中国が表す問題点は多い。そこに暮らす人々が、まず、場所を正すこと。
そして、ボクは、中国の豊穣さと貧しさを、浅薄さと分厚さを、普遍と特異を、見ていきたいと思うのだ。
外国人として、観光客として、中国の、北京の懐かしさが失われることが痛いのは、どうしようもないのかもしれない。

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吉松隆『図解クラシック音楽大事典』(学研)

2007-07-07 02:02:13 | 国内・エッセイ・評論
おもしろ解説本だ。イラストと説明の文の洒脱痛快滑稽さは、読者をとても得した気分にさせてくれる。
「コンサートを聞くマナー」の章の、会場に行って演奏を聴いて拍手をして会場をあとにするまでの妙に臨場感のある展開など、笑いながら納得。
NHKを日本拍手協会とかTBSを東京ブラヴォー・サービスと名づけたりして「拍手」の仕方をレクチャー(?)したり、指揮棒の振り方をイラストで面白く解説したり、いいかげんを装いながら、真摯にクラッシックの全体を語ってくれる。
コンサートの編成や楽譜、記号のイロハなども知ることができて、楽しい一冊だ。
最後のアンコールの章「吉松隆を読み解くキーワード」でのシベリウス、鳥、現代音楽、プログレへの言及は実は刺激的だったりする。

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