パオと高床

あこがれの移動と定住

『シルクロード』第2部

2007-03-29 00:04:30 | 雑感
待望の『シルクロード』第2シリーズのデジタルリマスターの放送。第1シリーズの長安からカシュガルまでは何回か放送され、これは見るたびに感動していたのだが、その度に第2シリーズの再放送を待っていた。それが、やっと始まった。第1回の「パミールを越えて」、よかった。フィルムからデジタル化して修正してと技術を駆使したのか、映像もきれい。内容も、妙な欲がないというか、取材を素直に受けとめ、それを伝える喜びに満ちている。構成も膨大な取材テープから、無駄をなくし、臨場感を残し、時間の経過や空間の広がりが伝わるように選りすぐられているような気がする。
当分、楽しめそうだ。感謝、感謝。石坂浩二のナレーション、いいな。
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宮城谷昌光「沈黙の王』(文春文庫)

2007-03-28 22:07:19 | 国内・小説
気楽に楽しいものという感じで初めて宮城谷を読む。でも、「沈黙の王」は以前読んだような。
言葉を獲得し、文字を創出する、甲骨文字創成の物語である。沈黙の王武丁は、その心を代弁できる人物に出会い、言葉を伝達する術を身につける。こうして言葉を発した王は、次に「象(かたち)を森羅万象から抽き出せ」と、あまねく世界を表せる文字を生み出す作業を命じる。これが漢字の元になる甲骨文字である。漢字は、さまざまな読みに耐えながら表意文字として意味を伝達し、広大な中華文明の根幹となった。その前段階の物語が面白い。また、この素材は、作家が自らのその仕事に向き合うことで書かれた作品だと思う。もう少し長くてもいいのにと、物足りなさは残った。
「妖異記」「豊饒の門」の鄭公・友の連作は、友の行動の背景が表裏で書かれ、ひとつの王朝の滅亡をめぐる人の動きも手際よく書かれている。笑わない王妃褒姒も興味深い。他に「地中の火」を読む。
夏、殷、周、春秋戦国の人物がなかなか珍しくて面白いかも。この人の長編を読んでみようかという気になった。


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夏目漱石『草枕』(角川書店)

2007-03-10 02:32:52 | 国内・小説
去年の10月に熊本の金峰山に行った。峠の茶屋でだご汁を食べたのだが、道路脇には『草枕』『二百十日』発表100年の幟旗がたくさん立っていた。その後、漱石旧宅にも行ったのだが、夏目漱石はやっぱり国民的作家だよなと思った。
この『草枕』、その後の漱石作品に比べると美文で、ある意味難解な文章かもしれない。漢文と英文学の素養が爆発している。おまけに俳句の俳文的風情も混ざって、酔えるように楽しいところと少々頭が痛くなるところが混在。時代的には自然主義文学の動向と屹立対峙する漱石という印象である。
登場人物のしぐさや場面転換などに絵画的描写を加え、一方で「ムード」という言葉などによって表されるような、そこから立ち上る印象派的気配も言語化しようとする。ぱっと止まるような場面があるかと思うと色彩や音や詩についての芸術論が横溢したり、細部へと視点が動いた後に遠景が描写されたりと、なかなか達者で、同時に蘊蓄ものである。
漢詩や俳句の「根本的態度」としての「非人情」とは違うのかもしれないが、その「非人情」が人情のくだりになるところに、また妙味があるという気がした。「非人情」への格闘、憧憬を持ちながら人情の境を渡る。小説とは案外、そんなものなのかもしれない。



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小田空『中国の骨は一本すくない』(創美社)

2007-03-04 20:16:53 | 国内・エッセイ・評論
この人の漫画とエッセイは面白い。「旅行人」で名前を覚え、『中国の思う壺』で思う壺にはまり。
今回、この本やっぱりいい。
情報が、漫画になって、コメント差し挟みつつエッセイを読んでるような知的満足感とヴィジュアルの立体感を同時に味わえる。
表題の「骨」、ふふふ、だし。中国語の大陸、香港、台湾のパソコン入力の仕方も驚異。北京の住環境、香港の交通機関、どちらもなかなかどうして、愉快だ。
またまた香港に行きたくなった。
あー、それにしても、北京オリンピック後の北京はどうなるのだろう。

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国会

2007-03-04 03:27:23 | 雑感
どうして、なんで?
予算案が審議されずに、どうして衆議院を通過しちゃうの。で、予算の決算審議も毎年、通しになっちゃう。一体、予算って何?国の歳入って何を基盤にして成立しているの?国会議員は、国民の代表者であるわけで、国民を統治するものではないでしょ。こりゃ、いかんよ。与党が決めようと思ったら、与党のタイムスケジュールで、強行採決にいけちゃう現状は、ひどすぎるよ。で、連立政権の貸し借りで話決まって。
決める法案も、国民の優先順位と内閣の優先順位で、こんなに乖離しちゃってていいのかよ。一体、誰が、教育を今の内閣の手によって改革してもらいたいと思っているのか。何で、最優先のように国防論議が進むのか。
二世三世議員が、お家の悲願を国民に押しつけるなよ。
何か、いかんよ。
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