パオと高床

あこがれの移動と定住

本間ひろむ『アルゲリッチとポリーニ』(光文社新書 2020年1月30日)

2020-02-21 22:53:43 | 国内・エッセイ・評論


副題は「ショパン・コンクールが生んだ2人の〈怪物〉」。
60年にショパン・コンクールを制したポリーニ。65年優勝したアルゲリッチ。
この対照的な2人を軸に20世紀後半からのクラッシックシーンを描く。
「完全無欠な演奏」をスコアの読み込みから展開するポリーニと、
卓越した技術を持ってさらに情感豊かに弾くアルゲリッチ。そこに、ショパンコンクール歴代演奏家のことや
コンクールをとりまく選考委員の話、それぞれの師匠との関係や音楽との向き合い方、日本の音楽シーンの
変遷までもが加わえられ、読みやすく綴られている。
私生活が現れ出るアルゲリッチとあくまでも自らの生活と切り離したところで演奏家として生きるポリーニ。
そんな2人だから当然そこから生まれる音楽は異なる。
ミケランジェリ、ホロヴッツなどなど、出てくる音楽家がそれぞれ気になり、魅力的。
そうだよな誰がお気にいりだよなとか、思いながら楽しく読んだ。
日本の演奏家についても期待を持って書かれていて、あっ、この名前覚えておこうと思えた。
クラッシックの世界は広いし深いと思う。
最後には2人の名盤20が挙げられていて、ナビにもなっている。
ちょっと苦手だったアルゲリッチのラヴェルを聴いた。よかった。キラキラと輝いた音が情感を失わずに溢れ出していた。
ポリーニのブラームスのピアノ協奏曲、何だか違和感があったけれど、また聴いてみよう。
ポリーニのショパンは妙な感情移入や思い込み過多がなくて、一時期とても好きだった。
アバドは協奏曲の上手な指揮者だったのかもしれない。
ショパンコンクールについては、「ピアノの森」や「いつまでもショパン」を思い出しながら読んだ。
コメント
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