共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

ルール

2011年09月05日 11時40分51秒 | 日記
韓国で開催中の世界陸上は、何だか本来の趣旨とは違う方向が盛り上がっていたようです。それは何かといえば、御存知『フライング問題』です。

今大会からルール改正で、トラック競技でのフライングは如何なる理由があろうと一発失格になってしまうことになったのです。このようなルール改正に至ったのは、かつて意図的にフライングをすることで対抗選手の士気を削ぐという卑劣な行為があったため…ということでした。

その規定に則り、今大会では100米走予選で大本命のウサイン・ボルトがフライングで一発失格になってしまい、昨日も女子リレーで中国チームがやはりフライングで一発失格になってしまいました。

勿論改正理由のように、他選手の出鼻をくじくような意図的な行為なのであれば断固糾弾すべきですし、あってはならないことです。ただ、そういう気が全く無くて単に先走ってしまった選手まで十把一絡げにしてしまうのはどうかと思うのです。それはすなわち『人間の行為としての失敗をも許さない』ということになりかねない危険性を含んでいるように思えてならないからです。

アスリートは何年かに一回の大会で結果を出さなければならないわけですから、心理的プレッシャーは相当なものでしょうし、スタートに向けてテンションも高めてくるでしょうからアドレナリンだってMAXの状態で臨んでいるわけですよね。そんな中にあっては人間のすることなんですから、つい先走ってしまうことだってあるでしょう。それに対して1チャンスも与えられないというのは、あまりに非情かつ短絡的じゃないでしょうか。

話はそれますが、オーケストラの演奏会で合わせにくい曲の筆頭として、かのベートーヴェンの名曲《運命》があります。あの曲の出だしと言えば、泣く子も黙る(笑)『ジャジャジャジャ~ン』ですが、実は楽譜上では頭に8分休符という休みの記号が付いているので、正確には『ン!ジャジャジャジャ~ン』と演奏するんです。ところがこの『ン!』の指揮の振り方が指揮者によって違う上に、指揮者も人間ですから本番の舞台の上でテンションが上がってリハーサルと全然違う振り方をしてくれちゃう場合もあるわけです。

そんなわけで振る方も緊張するならば、当然振られる方だって緊張するわけです。そんな中で休みの感じ方が先走って思わず『ジャ…』と出てしまう…そう、正にフライングしてしまうことだってあるんです(引っぱったな…)。だからって当たり前ですが、演奏者即刻退場なんてことにはなりません(あったらコワイわ…)。

まあ、同じフィールドで論ずるわけにはいかない事柄だと思いますが、それでも何とか再考されないものか…と思わされるような事項ではありました。
コメント
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