共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

超大作

2013年11月07日 17時01分17秒 | 日記
今日は教室への出勤前に、《午前10時の映画祭》で映画を観賞すべく、海老名のTOHO CINEMASに立ち寄りました。以前《ウェストサイド・ストーリー》を観賞しましたが、今日は一大長編スペクタクル《ベン・ハー》です。

ストーリーについてはウィキペディア辺りを御覧頂くとして、とにかくこの頃のハリウッド映画には金があったんだなぁということを、嫌と言うほど実感させられます。

先ずは何と言っても音楽。本編が始まる前にオペラのような序曲がついて、そこから次から次へとフルオーケストラで奏でられる音楽は、この作品のみならず《十戒》や《サムソンとデリラ》のような聖書物語に《ウェストサイド》や《サウンド・オブ・ミュージック》、最近では《レ・ミゼラブル》等のミュージカル映画に至るまで、打ち込みものには逆立ちしても出せない迫力があります。

そして、御覧になった方はご存知かと思いますが、《ベン・ハー》と言えば何を置いても、後半最大の見せ場である馬車競馬の場面です。4頭立て馬車が8台も横一列になって走れるようなコースを、どこやらの砂漠に実際に建てたというのですから驚きです。これまたやはりCGとは違った圧倒的な迫力があります。レースの様子も、ハイスピードカメラなどなかった時代だけに場面によっては映像が激しくブレるのですが、それがかえって十分過ぎるほどの臨場感を与えてくれます。

そして印象的なシーンの一つが、チャールトン・ヘストン演じる主人公ジュダ・ベン・ハーが、後に出場を決意する馬車競馬の4頭の馬と初めて出会うところです。馬主に呼ばれて天幕の中に入って来た馬たちは、まるで馬主の言葉を本当に理解しているかのような仕草や表情を見せるのですが、一体どうやって撮影したのかと思うくらいに人と馬との間に自然な意思疎通がはかられています。この場面は何度観ても不思議です。

そしてこの物語には、イエス・キリストの生涯がちょっとだけ関わっています。何しろベツレヘムに輝いた明星を目指して東方三博士が厩に辿り着いて、嬰児に礼拝するところから映画がスタートしますし、しばらくして、無実の罪でガレー船の漕ぎ手として連行されるジュダがある村に差し掛かった時に、一人だけ水を与えられずに倒れてしまったジュダに、若きイエスが水を与える場面もあります。

その後、様々な艱難辛苦を乗り越えた末にジュダが故郷に戻ると、共に冤罪で投獄されていた母と妹が獄中で業病…かつては癩病、現在はハンセン氏病と呼ばれる病気…に感染して、人里離れた谷間に隔離されていたのですが、その二人を、かつてジュダと心を通わせ、ジュダの留守中に二人の面倒を見ていた下女と共に連れ出してエルサレムに向かいます。しかし、エルサレムに到着した時にはイエスは裁判にかけられて総督ピラトの前に引き出され、盗賊2名と一緒に磔刑に処せられるところでした。

女性たちを置いて、群衆と共に十字架を担いでゴルゴタの丘に連行されるイエスの後を追ったジュダは、その人がかつて自分の道行きで水を差し出してくれた人だと気づき、倒れたイエスに水を差しだそうとします。結局はローマ兵に邪魔されてしまうのですが、瞬間二人はしかと顔を見合わせます。

磔刑に処されてイエスが息を引き取ると、昼間なのに辺りは真っ暗になり、凄まじい地鳴りと共に激しい雷雨が襲います。すると、その雨に打たれたジュダの母と妹が業病から解き放たれるという奇跡が起きて終わります。

子供の頃に観た時には、このエンディングに「馬車レースと全然関係ないじゃん」と思っていたのですが、もしかしたらその頃にはあのスペクタクルで頭がいっぱいいっぱいになってしまって、ストーリー前半に『布石』があったことを忘れてしまっていたのかも知れません。つまり、この作品はある程度大人になってから観た方がよかったということだ…と思っております(^^ゞ。

それにしてもこの作品は長い!何しろ10時に始まって、終わって出てきたらほぼ14時!あまりに長いので、12時半頃に10分間のトイレ休憩が入るのですからΣ(゜ロ゜ノ)ノ!これは《風と共に去りぬ》にもありましたが、昔の映画はそのくらい時間をかけてじっくりと観るものだったのでしょうね。

こういうスペクタクル映画は、やはりこういった映画館の大画面で観ると格別です。お近くにTOHO CINEMASがある方は、来週まで上映しているようですから、是非御覧になることをおすすめします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする