平日の疲れがまとめてやって来たらしく、今日はかなり遅く目覚めました。何だか身体のそこいら中が痛く、ちょっと動いただけで身体中がバキバキいいます…。
さて、ノソノソと起き上がってからあれこれとやることをしながら過ごしていましたが、シン…としているのも何なので音楽を聴きながらやることにしました。今日は何だかモーツァルトな気分だったのでいろいろと聴いていたのですが、そう言えば随分と聴いていなかったCDがあったのでそれも聴いてみることにしました。
それが
モーツァルトとアントニオ・サリエリとがカストラートのために書いたモテットやオペラアリアを、カウンターテノールの歌唱で収録したものです。30年以上前の学生時代に買ったものですが、ここしばらく聴いていませんでした。
カストラートとは、かつてヨーロッパで美しい高音を歌える少年が変声期を迎えないように、第二次性徴が始まる前に去勢して高い声のままでいられるようにした男性ソプラノ歌手のことです。この奇習ともいえる行為は何と20世紀始めまで存在し続けていて、『最後のカストラート』といわれるアレサンドロ・モレスキの声はレコードが残されています。
一部の限られた『成功したカストラート』はヨーロッパで熱狂的な人気を博し、作曲家は彼等の技巧を存分に発揮させるべく様々な曲を世に送り出しました。その中には当然モーツァルトや、当時ウィーンの宮廷作曲家として成功していたサリエリもいました。
現在カストラートは、人道的見地からも存在していません。なので、現在カストラートの役どころをつとめるのは男装したメゾソプラノ歌手か、裏声を駆使するカウンターテノールです。このCDではウィーン少年合唱団でソプラノ・ソリストとして活躍した後にカウンターテノールに転向したアルノ・ラウニヒが、かつてライバル的存在であったといわれるモーツァルトとサリエリの作品を歌っています。
カウンターテノールの声に関しては、正直好き嫌いが別れます。私も、例えばジェラール・レーヌやアンドレアス・ショルといったカウンターテノールは好きですが、ルネ・ヤーコプスやドミニク・ヴィスの独特の声は曲によります。
このラウニヒの声も、人によって好き嫌いが分かれると思います。それでも、かつてモーツァルトやサリエリが想定していたカストラートの歌唱をしのぶものとしては貴重なものであることには変わりありません。
そんなわけで、今日はこのCDの中からモーツァルトの名曲として有名なモテット《踊れ喜べ、汝幸いなる魂よ(Exsultate jubilate)》から終曲『アレルヤ』をの動画を転載しました。このソプラニスタの声で、かつて活躍したというカストラートの世界に思いを馳せて頂ければと思います。