今日の神奈川県は、朝から冷たい雨の降る生憎のお天気となりました。昼過ぎからは雨足も強まり、家の中にいても雨音が聞こえるほどでした。
こうして一雨毎に冬らしくなっていくと思うと、冬生まれの私としては、それもまた楽しからずや…と思えてきます。もういい加減、半袖の上着にはご退場願っても大丈夫かなと思います(まだしまってなかったのかよ…)。
ところで、今日11月22日は『いい夫婦の日』ではなく、ロドリーゴの誕生日です。
ホアキン・ロドリーゴ・ビドレ(1901〜1999)はスペインの作曲家です。
スペインのバレンシア州のサグントに生まれたロドリーゴは、3歳のころに悪性ジフテリアにかかって視覚障害者となり視力を失ってしまいます。そんな中でも8歳でピアノとヴァイオリンの学習を始め、パリのエコール・ノルマル音楽院で、ディズニー映画『ファンタジア』にも登場する交響詩《魔法使いの弟子》で有名なポール・デュカス(1865〜1935)に作曲を師事しました。
1924年には管弦楽曲《子どものための5つの小品》を発表し、スペイン国家賞を授与されました。1933年にはトルコ人ピアニストのビクトリア・カムヒ(1905〜1997)と結婚して、一女のセシリアをもうけました。
生前のロドリーゴは後進の育成にも力を入れていて、亡くなる半年前には当時パリに在住していた日本人ギタリスト村治佳織が訪れて、ロドリーゴが作曲した曲を数曲披露したこともありました。そして1999年に、老衰のためマドリードで逝去しました(享年97)。
ロドリーゴの代表作といえば、何を置いてもギター協奏曲の《アランフェス協奏曲》です。これは音楽の教科書に掲載されているので、曲名だけでも知っている方も多いかと思います。
《アランフェス協奏曲》は1939年にパリにおいて、クラシック・ギターの独奏と管弦楽のために作曲されました。ロドリーゴはスペインの古都アランフェスがスペイン内戦で被害を受けてしまったことから、スペインとアランフェスの平和への想いを込めてこの作品を作曲したと伝えられています。
特に有名となった第2楽章については、病を得て重体となっていた妻の平癒を願う神への祈りや、亡くなった娘セシリアに対する追慕の念が込められているとも言われています。この楽章は単独で様々に編曲されて親しまれていて、特に1959年に発表されたトランペット奏者マイルス・デイヴィス(1926〜1991)のアルバム『スケッチ・オブ・スペイン』でのバージョンは有名ですし、今年他界したチック・コリア(1941〜2021)は自身の楽曲『スペイン』のイントロにこの楽章のフレーズを使っていますので、そちらのバージョンでメロディを御存知の方も多いのではないでしょうか。
勿論、有名な第2楽章だけでも十分聴き応えのある曲ですが、ギター協奏曲としてはやはり全曲聴いてこそ真価を感じることができます。そんなわけで、ロドリーゴの誕生日である今日は《アランフェス協奏曲》全曲を、山下和仁さんのギターソロでお楽しみください。