今日は憲法記念日でお休みです。
本来なら、小田原城址公園で開催される『北條五代祭り』にでも出かけてみようかと思っていたのですが、直前になってやめました。よく考えたら、今年に入ってから教室も練習もデスクワークも小学校も何もない一日というものを何日もとっていないことに気づいて、とにかく今日は自宅でゆったり過ごそうと思い立ったのです。
ベランダに椅子とテーブルを出して、心地よい風に吹かれながらいろいろな音楽を聴いていました。今日はあまり大きくないアンサンブルをテーマにして聴いていたのですが、その中にあったのがレスピーギの組曲《鳥》です。
組曲《鳥》は
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先日もとりあげたオットリーノ・レスピーギ(1879〜1936)が1927年に作曲した作品です。17世紀のクラヴサンなどのために作られた楽曲を元に作曲した管弦楽組曲で、初演は1927年6月にサンパウロの市立劇場で、作曲者の指揮、シカゴ交響楽団により行われました。
『ローマ三部作』などの派手なオーケストラ作品で知られるレスピーギですが、この曲のような古風な曲もいくつか作曲しています。中でも3つの《リュートのための古典舞曲とアリア》シリーズと、この組曲《鳥》が有名です。
この曲は17・18世紀のクラヴサン曲を編曲したもので、前奏曲の後にいろいろな鳥を描写した曲が続きます。いずれもレスピーギならではの巧みなオーケストレーションを堪能できる、楽しい描写音楽となっています。
第1曲 前奏曲
行進曲風の素朴な感じのメロディで始まります。一区切り着いた後、第3曲に使われる「めんどり」の旋律をヴァイオリンが演奏します。
その後は第5曲に出てくるカッコウに基づく部分が続き、ヴァイオリンが「カッコウ」と一声鳴いた後に木管楽器による愛らしい感じの部分が続きます。そして再度最初の行進曲風の部分が再現して終わります。
第2曲 鳩
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(原曲:ドメニコ・ガロー)
弱音器をつけたヴァイオリンが鳩の鳴き声を真似する中、オーボエがハープの伴奏に乗って切なくも甘い旋律を演奏します。中間部では弦楽器やフルート、クラリネットに鳩の鳴き声の音形が出てくる中、チェロをはじめとして色々な楽器による表情豊かな旋律が続きます。最後は鳩が飛び立つようなハープのグリッサンドの後、静かな和音で結ばれます。
第3曲 めんどり
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(原曲:ジャン=フィリップ・ラモー)
第1曲にも出てきた曲で、原曲も描写的な曲ですが、レスピーギの編曲によってさらに色彩的でユーモラスな感じになっています。様々な楽器でめんどりの鳴き声が描写される中、最後はクラリネットが主題を演奏して一瞬静かになった後、トランペットが鋭い音をひと吹きして終わります。
第4曲 ナイチンゲール
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(原曲:作曲者不詳のヴァージナル作品)
弦楽器の柔らかい音の動き上に木管が愛らしいメロディを演奏し、そのメロディがホルンに移ったところでピッコロやフルートがナイチンゲールの声を描写します。まもなくチェレスタも加わり、最後は低音弦楽器だけのざわめきになって終わります。
第5曲 カッコウ
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(原曲:ベルナルド・パスクィーニのクラヴィーア曲『かっこうの鳴き声をもつトッカータ』)
前奏曲に印象的に出てきたカッコウの鳴き声を折り込んで、爽やかな森の様子を描いています。ヴァイオリンとチェレスタに音階風の動きが出てくる中、カッコウの声が木管楽器で次々と出てきます。
一旦速度を落とした後に展開風の動きになり、再度テンポが速くなってヴァイオリンが静かに細かく動き始める後ろでフルートがカッコウを模倣します。やがて前奏曲の中間の雰囲気が再現した後、最後は前奏曲の冒頭が戻ってきて全曲が華やかに締めくくられます。
この曲は私が生まれて初めて演奏したレスピーギ作品で、そういった意味でも個人的に思い出深い一曲です。爽やかな風を感じながら、ゆっくりと堪能することができました。
そんなわけで、今日はレスピーギの組曲《鳥》をお聴きいただきたいと思います。アンタル・ドラティ指揮、ロンドン交響楽団による1957年の録音でお楽しみください。