今日は朝は少し冷えこんだものの、日中はそこそこ気温が上がりました。夏服をしまい込んでしまわなくてよかったと、密かに思ったくらいの暖かさとなりました。
ところで、今日10月15日はカール・リヒターの誕生日です。
カール・リヒター(1926〜1981)は、ドイツの指揮者、オルガン・チェンバロ奏者です。
1926年にドイツのプラウエンに生まれたリヒターは、父が牧師をしていたこともあって11歳から教会の附属学校に通い音楽を学びはじめました。その時に、後にライフワークとなるバッハの音楽に触れていたようです。
幼少期から音楽を学んだカール・リヒターは、1946年20歳の頃にライプツィヒの音楽学校に入学。3年後の1969年には教会音楽の試験に合格して、教会専属のオルガニストとして働きました。
その後、大きなコンクールで優勝したリヒターは、東ドイツの政治体制から離れるために西ドイツに移動し、ミュンヘンにある音楽大学で講師として教壇に立ちました。1950年代初頭から合唱団の指揮者を任されるようになったリヒターは、ミュンヘン・バッハ管弦楽団を設立し、この頃から積極的にレコード録音を行うようになりました。
30歳になったリヒターは勤めていた大学の教授に昇進し、ミュンヘン・バッハ管弦楽団を率いてアメリカへ演奏旅行をするなど、精力的に音楽活動を行いました。音楽家として経験を積んだリヒターは、当時バロック音楽を専門としていたアルヒーフレーベルでバッハの《マタイ受難曲》を録音し、リヒターの代表的作品となって現代まで語り継がれています。
リヒターはバッハの作品の中でも特にカンタータを積極的にとりあげていて、20年以上の歳月をかけて、およそ70曲の収録を行いました。晩年は心臓発作や目の手術などで一時活動を中断しながらも演奏活動を続けましたが、1981年に滞在先のホテルで心臓麻痺を引き起こして54歳という若さでこの世を去りました。
さて、先程から述べているように
リヒターといえばバッハです。ということで、今日は様々なリヒターの演奏の中から《イタリア協奏曲ヘ長調》をとりあげようと思います。
ご存知の方も多いかと思いますが、《イタリア協奏曲ヘ長調》BWV 971はバッハ作曲のチェンバロ独奏のための全3楽章の協奏曲で、原題は《イタリア趣味によるコンチェルト(Concerto nach Italienischem Gusto)》といいます。《フランス風序曲ロ短調》BWV 831と共に『クラヴィーア練習曲集第2巻』として、1735年に出版されました。
曲中には「フォルテ(強奏)」と「ピアノ(弱奏)」の指示があるのですが、これは器楽合奏の協奏曲における楽器群の対比表現を、2段鍵盤のチェンバロを用いて模倣するものとなっています。この曲はバッハが存命時にも人気があり、
「単一の楽器で演奏する協奏曲の最大、最高の曲である」
という賛辞も送られていたようです。
というわけで、今日はカール・リヒターの演奏による《イタリア協奏曲ヘ長調》をお聴きいただきたいと思います。リヒターが愛奏した
ノイペルトモダンチェンバロによる、重厚な響きをお楽しみください。