今日も一日曇りがちで、気温も言うほどには上がりませんでした。そんな中でも子どもたちは今月末に開催予定の運動会に向けて練習をしていましたが、半袖半ズボンの体操服姿の子どもたちは一様に寒そうにしていました。
子どもたちは主にダンスを練習していました。ただ、どれもこれもいわゆる流行りの音楽にのせてのものなので、申し訳ないのですがアラフィフのオジサンにとってはちょっとおやかましいものばかりなのです。
そんな音楽を聴き続けて帰宅した頃には、耳がすっかり疲れてしまっていました。なので、とにかく心安らぐ音楽が聴きたくていろいろと探した結果、
やはり聴きたくなったのはバッハでした。
夕方になっていたこともあって協奏曲や管弦楽といった大編成のものではなく、落ち着いた室内楽が聴きたくなりました。なので今日は
ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタを聴くことにしました。
バッハがケーテンの宮廷に務めていた時 (1717〜1723)に、その宮廷楽団にはヴィオラ・ダ・ガンバの名手カール・フリードリヒ・アーベル(1682〜1761) が在籍していました。また当主のケーテン公レオポルトもヴィオラ・ダ・ガンバを嗜んだことから、バッハは3曲の《ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ》を1720年頃に作曲したと一般的に言われています。
その中でも第1番ト長調は唯一バッハの自筆譜が残っていますが、音楽の特徴から考えるに、現在では失われた2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタが原曲なのではないかといわれています。この作品と同じ曲に《2つのフルートと通奏低音のためのソナタ ト長調》があるのですが、これも同じ原曲の編曲の可能性があります。
優しい印象のメロディと折り重なるような16部音符の下降音型が特徴的な第1楽章、一歩ずつ踏みしめるような通奏低音にのって紡がれる心弾むようなメロディが心地良い第2楽章、ホ短調の上行音型が静かに歌われる第3楽章、弾むような主題でフーガを展開していく第4楽章と、どこをとっても魅力的な音楽が展開されていきます。恐らく、レオポルト公もニコニコしながら演奏していたのではないでしょうか。
そんなわけで、今日はバッハの《ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第1番ト長調》をお聴きいただきたいと思います。ジョナサン・マンソンのヴィオラ・ダ・ガンバ、トレヴァー・ピノックのチェンバロでの演奏でお楽しみください。