今日は朝から雲が多めの空となりました。午後からは遠雷も聞こえるようになり、大気の状態が不安定な様相を呈していました。
さて、一昨日アレッサンドロ・マルチェッロの《オーボエ協奏曲 ニ短調》のことを書いた時に、バッハがこの曲をチェンバロ独奏用に編曲していることについても軽く触れました。ただ、本当に『触れた』だけにしてしまったな…と思って、今日はそのことについて書いてみようと思い立ちました。
若い頃のバッハは、当時仕えていたヴァイマールの宮廷でヴィヴァルディをはじめとしたイタリアの作曲家たちの音楽を積極的に学んでいました。そして、その過程で彼らの音楽をチェンバロ用やオルガン用に編曲していきましたが、その中にはマルチェッロの《オーボエ協奏曲 ニ短調》もありました。
バッハの編曲は
基本的なラインは原曲に沿って書かれています。その上で、鍵盤楽器ではちょっと間延びしてしまうような箇所に音符を書き足して、鍵盤音楽としても聴き応えのある作品に仕上げています。
オーケストラのユニゾン部分はチェンバロでは両手のオクターブで弾くことになるため、マルチェッロのオリジナルと比べると軽やかさに欠ける感じがする場面もあります。それでも、若きバッハがこのマルチェッロの名曲から何かを学びとろうとする意気込みは十分に伝わってきます。
そんなわけで、今日はアレッサンドロ・マルチェッロの名曲を編曲したバッハの《チェンバロ協奏曲 ニ短調 BWM974》をお聴きいただきたいと思います。チェンバロでの演奏効果を狙った、バッハの意欲的編曲作品をお楽しみください。