今日は憲法記念日です。従来ですと気難しい人たちが何処かに集まって、やれ憲法解釈だの、やれ改憲だ護憲だのと騒ぎ立てるのですが、コロナ禍の最中とあってはなかなかそれも思うに任せないようです。
さて、昨日のクルディスタンタンブールワークショップの余韻が個人的に冷めやらぬ中、今日はひたすら自宅に籠っていました。生産的ではないなと思いつつ、世間からは巣篭もりを求められているのですからよかったのでしょう(笑)。
さて、自宅でお茶なんぞしながらのんびりしていたら、いい音楽が聴きたくなりました。こんな晴れ渡った五月晴れの空の下で聴きたくなるのは、やはりバッハです。
そこで今日はバッハの平均律クラヴィーア曲集を聴くことにしました。ただ、今日はちょっと変わり種のバッハを聴いてみることにしました。それが
アメリカのジャズピアニスト、ジョン・ルイスのピアノによるジャズバージョンのものです。今日5月3日がジョン・ルイスの誕生日でもあったため、今回チョイスしてみました。
ジョン・ルイス(1920〜2001)は伝説のジャズグループであるモダン・ジャズ・カルテット(MJQ)のピアニストとして有名ですが、実はクラシックピアニストへの志向の強い人物でした。しかし、現在では信じ難いことながら、当時は
「黒人がクラシックを演奏するなどとは言語道断!」
という空気が当たり前のようにまかり通っていたため、その夢を絶たれてしまっていました。
このアルバムはそんなジョン・ルイスが1984年にバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻から6曲の前奏曲とフーガをセレクトして収録したものです。ジョン・ルイスは、後に1989年までの5年の歳月をかけて第1巻全曲をコンプリートしています。
このアルバムでは、前半の前奏曲はピアノソロで、後半のフーガはギターやベース、ヴァイオリンやヴィオラを伴ったセッションでのかたちで演奏されています。基本はバッハのラインを辿りつつも、所々にジャズらしいグルーブが耳に心地良いものとなっています。
生前、何故バッハを採り上げたのかというインタビューを受けたジョン・ルイスが
「クラシックの作曲家の中で、スウィングしているのはバッハだけだからだ。」
と答えたというエピソードがあります。確かにバッハの作品には独特のスウィング感がありますが、ジョン・ルイスはそれを敏感に感じ取って我がものとしたのでしょう。
そんなわけで今日は、私が自宅で聴いていたジョン・ルイスによるバッハの平均律クラヴィーア曲集の第1弾アルバムと同じものの動画を転載してみました。これから暮れていく夕方のひと時、ちょっとお洒落な装いに身を包んだバッハに耳を傾けてみてください。