じゅんむし日記

心は急いでいる。それなのに、何も思い通りの形にはなっていかない。がまんがまん。とにかく、今できることから始めよう。

「心」 姜尚中

2013-09-24 | 


話題の本だったこともあり、市立図書館から借りて読んでみました。
著者のご子息が、自ら命を絶ってしまったという悲しい出来事も、小説の中に組み込まれているとかで、その辺りも興味を持って読んでいきました。

表題から見てもわかるように、夏目漱石の「こころ」と重なるところは多いです。

・表題の「心」
・書簡形式
・親友の死
・一人の女性をめぐる親友への裏切り
(この本では、青年が裏切り行為をしてしまったのではないかと悩む)
など。

夏目漱石の「こころ」を読んで何回目かに、ふと、もしこの場面がこういうふうに変化していたら、
というような物語の膨らまし方をして、そして違う小説になった、というような感じを持ちました。

↑意味わかんないね^^;スミマセン、表現がヘタで。

小説は、大学の先生である姜先生と、青年との往復書簡の形式を取っています。
その中で、
人間の間には説明しえない親和力が働く、というのは、本当にそうだなぁと思います。
(ゲーテの小説「親和力」を引用しています)

小説の中の姜先生が、青年との対話の中で”あの子”に重ねる表現が各所にでてくるので、
いつ”あの子”が物語の中心になっていくのだろうと期待しながら読んだのですが、
あの子=息子のくだりは、少ししかありませんでした。

もう少しページが欲しかったです。
もっともっと内面をえぐりだしてくるのかと思っていました。
怖いけど、でも人間の本質みたいなものが浮き出てくるのではないかと、ドキドキしながら息子のくだりを読んだのですが…。

小説ではなく、エッセイとしてご子息のことを書いたほうがよかったのかな、とも思いました。
東日本大震災という、日本にとっても大きな災害が小説に組み込まれてもいて、青年との関わりはうまく表現できていると思いますが、
どうしても息子につながるところ…
”あの子”という表現で最初から意味を持たせていたのに、やはりご子息の記述が少ないなと思いました。

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