迷走するプロ野球ー
今週月曜日、選手会の運営委員会が神戸で、12球団代表者の実行委員会が東京で、それぞれ開かれた。
選手会はスト権の行使を決定。また、12球団代表者は、近鉄・オリックス両球団の合併を承認した(広島は棄権)。そして、各球団は選手会がストライキを実施した場合、損害賠償を請求する方向で検討するらしい。
また水曜日のオーナー会議では、月曜日の実行委員会同様、近鉄・オリックス両球団の合併を承認(実行委員会同様、広島は棄権)。来季については、セ・リーグ6球団、パ・リーグ5球団、計11球団による2リーグ制で行うことを決めた。今までいいかげんなことしか言ってこなかった経営側らしい中途半端な結論だ。しかし、どちらにしても残念な決定であることに変わりはない。
その中でストライキを実施した場合、経営側が損害賠償を請求する云々の報道をテレビで見ていて思った。
「選手やファンの損害(不利益)はどうなるんだ?」と。
そもそも今回の一件は、経営側が選手やファンを無視して、一方的な再編案などを強引に実行しようとしたことに端を発し、それによって選手やファンに生じる「損害」が問題になっているわけである。このまま経営側は思惑通りに事を運べば自分達の問題は解決するかもしれないし、選手会がストを決行すれば、損害したお金を請求すればそれで済むかもしれない。しかし、選手やファンの「損害」は単に「お金」だけの問題ではない。これは日本の野球というスポーツの将来に関わることであり、野球が人気スポーツであることを思えば、大人の娯楽や子供も夢などを含めた社会全体に関わることである。そのことは、これまでの間いろいろなところで議論や意見されてきたことであり、今さらここで詳細に触れる必要はないだろう。とても一言の言葉で言い表せるようなものではない。そして、それは最終的に経営側にも跳ね返ってくる問題である。そんな奥の深い問題でありながら、経営側はその「損害」について、ちっともわかっていない、いや、考えようともしていない。
選手会は自分達の死活問題とも受け取れる重大な事態にも関わらず、今回、ストの要求として挙げてきた事柄は決して自分達のことだけを考えているものではなく、無理なことも言わず、非常に筋のとおった冷静な要求で、むしろ各球団にとっても利のある事柄さえある。正確に言えば、野球界全体の将来のことをしっかり考えている内容なわけで、その場しのぎなことしか言わない経営側とは比べものにならない。
また今回、日本のプロ野球では初めてのストだけに、ストを実施すること自体にマスコミをはじめ多くの注目を集めそうだが、嫌なパターンとしては、選手会がストライキを実施することによってファン離れがおこるのではないか?それはどうか?などとするマスコミ論調(もう、すでにやったマスコミもあるようだが)。しかし、ちょっと冷静に考えてみてもらいたい。そもそも今回のストライキに至った原因は冒頭でも書いたように経営側にあるわけで、論点は選手やファンを無視する経営側の態度、その一点のはずだ。問題をすり替えてはいけない。ストはそこから生まれた状況のひとつでしかない。
そして、スト権は労働組合に認められた正当な行動であること。これについては、ある球団関係者が選手会自体「労働組合」ではない旨の発言をしているようだが、これもまた問題をすり替えようとする経営側の子供じみた発言に他ならない。その前に自分達に問われている問題をもう一度最初から整理し、真摯に対応するようにすべきではないだろうか?
どちらにしても、昨日の約6時間にも及ぶ労使交渉の中で双方から譲歩案が出たようだが、最終的にどのような結果になるのか、スト決行の最終決断期限である今日午後5時まで、注視したい。
選手会のHPから今回のNPB宛て文書(PDF)を実際に紙に印刷し読んでみた。
TB。--------
MIYABIさんの「三日坊主の雑記帳: ついにストライキへ!タイムリミットは9/10PM5時|スト突入か!回避か!」
wolfgang_aさんの「Blog de 司法試験:ストライキに損害賠償?」
井上哲也さんの「wonderful tonight:プロ野球選手会スト実施」
miyotanさんの「Magic White:5対6でやるんですか??」
めたかさんの「at most countable: ああ・・・」
ma-kunさんの「moving_ma-kun!: プロ野球、来期はセ6球団、パ5球団!」
藤希千歌さんの「星屑のキセキ☆縁側:決戦は金曜日。」
どうも、この関連の記事、TBでつないでたみたいなので、
9月15日追加TB。--------
自記事「プロ野球選手会で「ネット署名」がスタート。(していたw)」