はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

来たな! ツバメ

2012-07-02 15:46:08 | はがき随筆


 燕尾服。
 謎の多い服であったが、ツバメから来ていたとはな。
 代々が農家。私とは縁遠い物と考えていた。君は毎年飛んできては、軒先に巣をつくったな。フンの処理は困ったが、じいさんは今年も来たと喜んでいた。巣は、板の目に沿って作るとか。低く飛んでいるときには、明日は雨だという。自然界では、君たちに教わることも多い。
 おや、聞き覚えのある鳴き声だ。見上げると電線に整列しているではないか。来てくれたのか。おや、どうした? 天高く飛び去った。今日、明日は晴れるだろう。
  姶良市 山下恰 2012/7/2 毎日新聞鹿児島版掲載

たいした90歳

2012-07-02 15:40:16 | はがき随筆
 不注意から父の車に傷つけてしまい、修理を頼んで、マニュアル車を借りて帰った。
 事情を聞き終えた父は「どら、乗ってみろかい!」。
 「えーっ!」
 心配しながらもキーを渡すと、庭からバックで試運転に出陣。しばらくして戻って来ると、今度はスーパーへ買い物に。難なく乗りこなし、パンと牛乳を手に帰って来た。
 免許証を返そうかどうか迷っているというのに、たいしたものだ。
 翌日は、母と二人で、いつもの別荘へ出かけていった。芋植えと魚釣りである。
  肝付町 永瀬悦子 2012/7/1 毎日新聞鹿児島版掲載