はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「むつまじさ」

2012-07-08 17:06:24 | 岩国エッセイサロンより


2012年7月 6日 (金)

 岩国市  会 員   片山 清勝

錦帯橋そばの吉香公園に「美しき天然」の作曲者で岩国市出身、田中穂積の銅像がある。その前を通ると曲が流れ始める。
 年配の観光客の男性。右手で拍子を取り、リズムに合わせ体を左右にゆっくり振りながら聞いている。その姿は何かを回顧しているように見える。背後から連れ合いがその姿を撮っている。主人が何を思い出しているのかよく分かっている、そんな仕草を感じる。
 訪れた地で夫婦共有の思い出に出会えるとは素晴らしい。そんな目の前の温かな雰囲気に、穂積の海軍帽にひげの軍人顔が少しほほ笑んでいるように思えた。

(2012.07.06 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載

ユースホステル存続を願う

2012-07-08 17:04:08 | 岩国エッセイサロンより
2012年7月 4日 (水)

  岩国市 会 員  樽本 久美

地元、岩国のユースホステル(YH)が閉館となった。広島市のYHも閉館に追いやられそう、という報道もあった。何とかならないものかと思っている。私はかれこれ30年、「青春18きっぷ」を使って旅し、YHを利用してきた。独身のころは年8回はYHに泊まっていた。

YHは、宿泊者のミーティングがあって、旅の情報を教えてもらえるし、友違もできる。泊まったYHで押してもらったスタンプも私の宝物だ。活動的な性格になれたのは、きっとYHのおかげだ。

山口県下関市や長崎市など印象に残るYHは数多いが、特に広島県府中市のYHでは、「母」と慕われる経営者から、明るさや、優しい言葉遣い、「相手のことを思って行動する」など多くのことを教えてもらった。いろんなYHの利用者減のニュースを聞き、私も久しぶりにぶらっと泊まりに行ってみようと思った。

(2012.07.04 朝日新聞「声」掲載)岩國エッセイサロンより転載