
久しぶりに「毎日新聞社に入って良かった」と心から思った。3月21日開幕の第86回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に、県内から私立上村学園(いちき串木野市)と県立大島高(奄美市)の2校が選ばれたことだ。上村学園は2年ぶり4回目。21世紀枠の大島は初出場で離島校としても初。県内からのダブル出場は21年ぶり。
発表があった1月24日以降、会合や居酒屋で私の肩書きを知ると、大島高の卒業生が駆け寄ってきて「よくぞ選んでくれました」と握手を求められ、感謝の言葉をいただく。地元支局長に選抜出場の決定権はないが、こちらもうれしい。同校や奄美大島など島出身者は早速、喜びの宴会。多くの県民の皆さんがこの吉報を祝福している。
選考委員会が選抜するため、支局の私たちは首を長くして待つのみだった。昨秋の九州大会で4強入りした上村学園でもフタを開けるまで分からない。九州の21世紀枠候補の大島だって確証はなかった。転勤の先々で、誰もが太鼓判を押す有力校が選抜から外れるのを何度も見てきた。選抜に関して「絶対大丈夫」とは言い切れないのだ。
高校野球を担当する土田暁彦記者からは上村学園の厳しい練習や取材時の高校球児らしいさわやかな対応を聞いており、好感を持っていた。大島も高額な交通費や練習相手の不足など離島のハンディがある。島全体が元気になるよう「何とか行かせてあげたい」と念じていた。だから、本社から連絡が入った時、私も思わず「ウルッ」ときた。支局員も手をたたき、握手しあって喜んだ。センバツを何度も経験した私だが、初めて「万歳!」と叫んだ。
さあ、今度は本番の甲子園だ。選手や部員だけでなく両校の生徒、関係者もグランドで、そして応援席で「ファインプレー」をみせてほしい。
鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2014/2/3 毎日新聞鹿児島版掲載