はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

鏡とにらめっこ

2016-10-12 06:12:36 | はがき随筆
 突然右目に違和感があり、まぶたの中が真っ赤だ。目頭には血腫のようなものがある。
 折しも病院は連休だった。どうしたもんじゃろかい。ため息まじりで鏡の中の赤目とにらめっこする事しきり……。結膜下の血管が破れて出血している。
 思いあたることがなくても起こる事があるが、自然に吸収されるとの説明を受けた。しかし年齢のせいか回復は遅く、気分まで晴れない。結膜下の出血から、なんとなく視力までもやもやして細かい活字が見えづらい。
 今は朝の「おはよう」はまず鏡とにらめっこから始まる。
 鹿児島市 竹之内美知子 2016/10/12 毎日新聞鹿児島版掲載


父の卒論

2016-10-12 05:58:50 | はがき随筆
 妹が断捨離をしていたら、母が大切と書いた亡父の卒論があったと持ってきた。昭和4年、日本語と英語の手書きで下水道の研究。全くびっくり、読もうとしたがわかりません。
 父は鹿児島の旧家に生まれ、早くに父親を亡くし、母親に甘えられる気のよいボンボン。勉強だけは七高、東大と進学。まあ気楽な学生生活を送れたらしい? 卒業時近く、東京に嫁いだ姉の不幸の世話に追われ、卒論が間に合わず苦労したみたい。その後母と結婚、人並みの生活。昭和18年、同窓生にだまされ、軍属としてスマトラ島に行き、母の苦労が続きました。
  鹿児島市 津田康子 2016/10/10 毎日新聞鹿児島版掲載