「潮だまり(タイドプール)に行きたい」という息子のリクエストに、ドラゴンホールに出かけた。番所鼻にある大きな潮だまりのことだ。潮で削られた溶岩には大小の穴が開き、黒いサンゴにも見える。「竜宮城の入り口」の別名を持つ海中池には、ルリスズメダイが青い身を翻し、ハゼやエビが跳びはねている。危険生物マニアの息子はゴンズイやガンガゼ、イモガイには危険フラッグを立てた。いつの間にか彼の知識は親を超えている。満ち引きを繰り返すこの潮だまりでも、世代は次々と移るのだろう。そのうち彼が竜宮城への道を見つける日がくるかもしれない。
鹿児島市 堀之内泉 2017/11/3 毎日新聞鹿児島版掲載