はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

水俣病展

2017-12-19 12:24:25 | はがき随筆
 11月の中ごろ、熊本で初めて開催された「水俣病展」を見に行った。壁一面の遺影、雑魚寝の子どもたちをうちわであおいでいる父親、未来を奪われた人たちの写真の前で足がすくんだ。
 公害病の原点「水俣病」患者たちの苦しみは今も続いている。
 福島、そしてわが町川内も水俣から学んでいないのか、それに気づいたときにはもう遅いのかも知れない。
 「水俣」を忘れないこと、これからも関わっていくことを心に刻んで会場を後にした。
  薩摩川内市  馬場園征子  2017/12/17 毎日新聞鹿児島版掲載
  

そろそろ

2017-12-19 11:52:51 | はがき随筆
 「あっ! 割れた!」。台所で叫ぶ。洗ってキッチンペーパーでふいていた皿が手から落ちた。このところめったに茶わん類を割ったことがなかったのに。白い無地の直径30㌢の平皿、5枚一組の一枚で、用途が広く使いやすく重宝してきたのだが。
 しばらくして自分に納得させる。現在住んでいる家は築38年もたち、モノがあふれている。近ごろ耳にする断捨離をしようと思いつつ一向に腰をあげない私。「まずは私が捨てられる役を引き受けましたので、あなたは行動に移してください」とお皿が教えてくれたのだと。少しずつ台所から始めよう。
  阿久根市 的場豊子  2017/12/16 毎日新聞鹿児島版掲載