はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

友とツル

2017-12-20 07:32:32 | はがき随筆
 11月中旬、福岡県に住む友がやって来た。積もる話をてくさんし、ツル観光センター、クレインパークへと足を運ぶ。
 ツル観光センターへ近づくと「クウァ、クウァ、クウァ」と鳴き声が聞こえる。たくさんのツルたち。毎年1万羽を超えている。万羽ヅルの群れは争うこともなく、田んぼに遊び、空に舞う。見事なながめだ。
 後日、友から「ツルは、広々とした平野と周りの山々、居ごこちのよい出水が気に入っているのだと、私は思います」という便りが、ツルの写真はがきで届く。よき思い出を心の糧に頑張っていこう。
  出水市 山岡淳子  2017/12/20  毎日新聞鹿児島版掲載

深い眠り

2017-12-20 06:58:30 | はがき随筆
 ラジオを聞きながら寝るのが心地よいので、毎晩そうしている。ある晩「老いを楽しむ」という題で、開口一番「老いを楽しむには きょうようと きょういくがいる」とのたもう。堅苦しいと思い、気分を眠りモードに切り替えようとしたら、今日用が、そして今日行く所があるときた。(ん?  面白そう)と聞き耳を立てる。「用は草取りでも料理でも、行く所は隣のおばちゃんち、スーパーでも、こうした自分の行動に生きがいを感じたら楽しくて目が輝いてくるはず」と結ばれた。
 品のあるトークだなぁ!  と思いながら眠りに落ちた。
  鹿屋市  門倉キヨ子  2017/12/19 毎日新聞鹿児島版掲載

幻の薬

2017-12-20 06:49:05 | はがき随筆
 5月「宝物」がはがき随筆に載った。50年前の母がくれた〝すいだし膏薬〟が残り少なくなり、捜してもみつからないというものだった。土曜の朝のラジオで放送されると効果絶大、友達や知らない人まで、薬の記事やインターネットで調べたものを送ってくれた。その中にあったのです。早速、随筆文まで同封して、これほどほしい薬である事を強調して送った。1個で50年もつとして私はいま71歳。120歳までもつな。安心してトゲを刺そう。と思ったのに、今は廃業して、ないとのこと。残りの膏薬はあと2.3回。私の世界遺産にするしかない。
  阿久根市  的場豊子  2017/12/18  毎日新聞鹿児島版掲載